クチェジュ
1
知らない道を歩いては
知ったような気持ちになった
忘れたことはなんだろう
何を覚えているだろう
帰り道を覚えてる
帰る場所を覚えてる
鳥の群集が空を黒く染めていた
ぐるぐると旋回して白い線になる
2
毎日の小さな祈りはすぐにのまれてしまう
もう知っているはずだった
100回願っても100回叶わない
海を湿気で流し込む
大きな何かが生まれるために
3
わたしが死んだら半分に切って
中に種がないか探してから、埋めて
4
朝
目覚まし時計を止めてしばらく惰性で眠る
忘れるよ、人間だから
とあなたが予告した未来なんか来なければいい
5
わたしは何かになれるとずっと思っていた
わたしは34歳になった
流した涙がほうれい線になった
はじめてたべたウミは独特の味がした
甘いシッケで流し込む
6
朝おはようと言える事が、帰って来たらおかえりと言えることが
とても幸せだった
ある日突然その場所はなくなる
ここに居てもいいですよという場所は
手のひらで十分だった
7
死にたいと死にたくないの間には
どうやら川が流れているようだ
8
自分のタイミングで
自分の責任で
ツバメは越境する時ひとりで飛ぶそうだ
岩礁に稲藁でできた小船が、終わったあとのゴミと一緒に流れ着いていた
いつからか
帰りたい場所は、がんばらないと帰れない場所となった
9
強い風の後にはあたたかい風が吹く
10
その船は
同じ場所をいったりきたり、ちっとも進まない船だった
波の上から見た遠くの海は暗く、とても静かだった
とにかく見た
とにかく歩いた
ただそれだけのことだった
詰め込んだものをごちゃまぜにして、
ぐわんぐわんに撹拌した
吐いて、空っぽになんかしない
この気持ち悪さを持ち帰って、消化すること
11
腸に血を詰めて作るスンデくらいの発想で
一滴の血も無駄にしない
一滴の涙も無駄にしない
1日目 久しぶりの旧済州に到着。
2日目 近所を散歩。
3日目 紗羅峰を登る。帰りに東門市場で無花果を買った。
4日目 別刀峰を登る。国立済州博物館に行く。
5日目 五日市、新済州に行く。
6日目 帰国する飛行機が欠航となった。着るものがなくなったので洗濯をした。
7日目 山地川祝祭で「제주칠머리당영등굿」を見る。
8日目 海に行く。
9日目 三陽海水浴場、三陽洞遺跡に行く。風が強い。小雨が降っていた。
10日目 4.3平和公園に行く。夜バイキングに乗る。
11日目 スンデを食べる。帰国。
(2018.9)
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