#0022【北条政子(日本、12C後半-13C初)】

こんばんは! 1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

今週末3月3日は桃の節句ですので、女性特集をお送りします。まずは鎌倉幕府を設立した源頼朝の妻、北条政子です。

彼女は伊豆の豪族であった北条時政の娘に生まれます。政子自身の話に入る前に源頼朝について触れておきます。

彼らが生きた時代は、平家と源氏が覇権争いをしていました。

平清盛が1159年平治の乱に勝利し、敗れた源氏の本流は壊滅します。源氏の大将であった源義朝は部下に裏切られて殺され、その息子であった源頼朝は伊豆に流罪となりました。

政子の未来の夫は、彼女の実家近くに流されてきたのです。

頼朝は、流人の身ですが源氏の御曹司ということもあり、それなりの暮らしをしていました。流罪になったとき13歳だった少年も大人になり、政子以外の女性と深い仲となって子どもを授かります。

ちなみに当時の結婚は、夫が妻の実家に住みつく「妻問婚(つまどいこん)」という形態でした。妻は実家に残るため、結婚しても妻の名字は変わらない夫婦別姓が一般的でした。

愛する女性がいて子どもも生まれ、頼朝は平凡ながらも幸せな気持ちでいました。

しかし、事態は急変します。妻の父が、三年間の京都出張を終え帰ってきたのです。

この義父の手によって生まれた子どもは無残にも殺され、頼朝は命からがら逃げ出しました。当時は平家の天下です。地方の武士は交代で京都出張をし、平家に忠誠を尽くしていた時代です。

平家と対立していた源氏の御曹司と関係があり、しかも子どもまでいることを平家に知られてしまったら。。。義父は保身に走ったのでした。

自分の屋敷に逃げ帰った傷心の頼朝は、今度は北条政子に目をつけます。政子の父、北条時政が京都出張で不在をいいことに二人は良い関係になりました。

時政が帰ってくると、当然彼は政子と頼朝の間を引き裂こうとします。

しかし、政子は頑として応じません。抵抗します。「ワタシ、絶対に別れないから」と言わんばかりに実家を離れ寺社へと逃げ込みます。やがて根負けした時政は二人の仲を認めました。

平家から疑いの目を向けられることを覚悟しての決断です。もしかしたら、京都出張時に平家の堕落した姿を見て、平家は長くないと思ったのかもしれません。

その後、1180年に平家の政治に失望した各地の武士たちが打倒平家に立ち上がります。北条家と頼朝は一丸となって、その先頭に立ちました。1185年に平家は滅び、北条家は頼朝とともに鎌倉幕府成立の礎を築いたのです。頼朝は1192年に征夷大将軍となり、時政は執権(No.2)として補佐していました。

頼朝は1199年に死去しますが、政子と頼朝の間には二人の男子が成長していました。

頼朝の跡をまず長男の頼家が継ぎます。彼はわがままな性格で、家臣団から総スカンを受け、失格の烙印を押されて殺されます。

その跡を次男の実朝が継ぎますが、彼も1219年に殺されてしまいます。京都の朝廷を重んじる政治姿勢が問題視されたと言われています。この実朝暗殺の実行犯は、頼家の息子公暁(くぎょう)でしたが、公暁も犯人として実朝殺害直後に殺されました。

頼朝と政子の血筋は途絶えてしまい、征夷大将軍の成り手がいなくなります。

政子は、京都の貴族藤原氏から当時二歳の三寅(みとら)を迎え入れます。まだ赤ん坊であるため、政子が政治の実権を握り「尼将軍」と呼ばれるようになります。

一方、京都の朝廷は鎌倉幕府がゴタゴタしている状況をみて、政治の実権を取り戻そうと思案します。準備を整え、実朝の死から2年後の1221年に京都の朝廷は後鳥羽上皇の下、打倒鎌倉幕府の兵を挙げます。

相手は日本の正統な君主である天皇家の代表です。朝廷に味方するべきか、幕府に味方するべきか鎌倉武士団に動揺が走ります。そこで尼将軍政子は、迷う武士たちに語りかけます。

「亡き頼朝の恩は、山よりも高く海よりも深い。」

この言葉で鎌倉武士団は、頼朝から受けた恩義を思い出します。迷いを捨てた鎌倉武士団は、朝廷軍を一気に蹴散らします。京都を占領し、後鳥羽上皇を隠岐の島に流しました。

政子たちは、天皇の地位に後鳥羽上皇の血筋ではない後堀川天皇を立てて事態を収拾しました。以降、鎌倉幕府は京都の朝廷よりも優位に立ち、その権力基盤はより強固なものとなったのでした。

尼将軍、北条政子はこの戦後処理を見届けた後、1225年に亡くなります。次男実朝の隣に葬られ、その墓は今も鎌倉の寿福寺に残されています。

以上、本日の歴史小話でした!

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