今週の木刀素振り日記・4

▼2021年6月4日~6月10日の日記

みなさん今週もおつかれさまでした。
この1週間の木刀素振り日記をお送りします。
暇つぶしにどうぞ。


6月4日/手洗いの金曜

◆自宅用のハンドソープからやたらといい匂いがする。柑橘系でもナチュラルソープでもない、よくわからない匂い。パッケージを捨ててしまったのでもう手がかりはないが、とにかくいい匂いだ。
◆当然、衛生面から言って手洗いは大事だが、そうではなく、もはや「あの匂いを嗅ぎたい」という理由で手を洗っている。それがたまたまコロナ対策になっているという図式だ。たまたまだ。
◆で、よく考えると、いま使っている洗顔料も使うたびに「いい匂いだな」と思う。いい匂いがする方向に向けて歩いているだけの日々だ。
◆丸一日、木刀素振りせず。


6月5日/責任感の土曜
◆「ファイアーエムブレム風花雪月」をやりはじめて数日経つ。有名な「戦闘中に死んだ味方キャラはもう生き返らない」という現実ばりのシビアっぷりが心地よく、すべての味方に対してつねに気を配りながらプレイしている。そこで興味深いのが、主人公が「士官学校の教師」であるという設定だ。
◆味方キャラはみな生徒である。邪推するに、この設定は「味方キャラの生死について責任感を持たせる」ために効いていると思う。物語上の設定とゲーム性がきれいに溶け合うようだ。
◆ただ、厳密に言えば、責任感を持っているのは自分ではなくゲーム内の主人公のほうだ。もちろんコントローラーを握っている自分も、生徒たちの無事を願っている。しかしそう願うと同時に、寝転んだままプレイしたり、カップ麺を食べながらプレイしたりもしている。はたから見て「責任感がある人だなあ」とは評価されないと思う。わたしは投げかけているのかもしれない。プレイアブルキャラは、果たして自分自身かどうか。
◆丸一日、木刀素振りせず。


6月6日/フレグランスの日曜

◆うっすら汗ばむ陽気のなか、某家具店へ。かねてから欲しかったフライパンのふたを購入。透明で鍋の中身が見える。これでもう安心だ。ちょうどいい焼き加減の目玉焼きが安心して作れる。
◆店の一角のフレグランスコーナーに数多くの「いい匂い」が並んでいた。が、いろいろ嗅ぎくらべるうち、なにがどの匂いかわからなくなってくる。種類が多すぎて覚えられないわけではなく、そもそも匂い製品と匂い製品の置かれている距離が近すぎるため、どの品からどの匂いがしているのかわからない。完全に匂いが飽和している。
◆いっそのこと、フレグランスコーナーを店舗の四隅にバラして配置するのはどうか。柑橘系は西の隅に、せっけん系は北の隅に、みたいな。是非検討してほしい、ニトリには。
◆丸一日、木刀素振りせず。


6月7日/千切りレタスの月曜
◆完成度の高い油淋鶏を作りたい、という思いが芽生えたのでレシピ検索。なるほど、鶏肉の下に千切りレタスを敷くとかなりそれっぽいな、と思ったのでそうした。
◆とんかつの横のキャベツとちがい、油淋鶏の下のレタスを千切りにするのはとても楽だ。どこか快感すらある。キャベツの千切りにくらべると切る力が小さくて済み、千切りの幅も1センチ程度でいいので失敗がない。なにもかもがうまく行く。気持ちがいい。快感だ。この快感のためにキャベツの千切りでいったん苦労したのかもしれない。
◆丸一日、木刀素振りせず。


6月8日/千切りレタスふたたびの火曜
◆気がつくとまたレタスを千切りにしていた。きょうの目的はタコスだ。ひき肉、千切りレタス、チーズなどをトルティーヤで包む。メキシコで手巻き寿司を作っているような気持ちになる。
◆「事前のイメージの5倍、腹にたまる」それがタコスだ。もはや準備をしている時点で腹いっぱいになる。もっと言えば、買い出しの時点で行く末を想像して腹いっぱいになる。もっともっと言えば、買い出しに出る前「きょうはタコスにしようかな」と思いついた時点で腹いっぱいになる。考えただけで腹がふくれる。だからもう食べなくていい。それがタコスだ。宇宙食に向いている。
◆丸一日、木刀素振りせず。


6月9日/夏ポテト(梅)の水曜
◆「夏ポテト」とのつきあいもかなり長い。要するに「夏限定で発売されるポテトチップス」だ。塩味と梅味の2パターン展開があり、わたしはほとんど梅味一択でやってきた。いや、一時期わさび味というものもあった。ありありと思い出せる。あの夏は長かった。ずっと夏ポテトを楽しめた。
◆そんな夏ポテトに、夕食の買い出しから帰る途中のコンビニで今季初めて遭遇。その瞬間、帰ってごはんを炊く、メインのおかずを作る、ついでにサラダも作る、という予定がすべて破壊された。夏ポテトが粉々に叩き壊した。今季の梅味のパッケージはやたらと赤く、例年より食欲を刺激する。とりあえず瞬時に2袋買った。
◆丸一日、木刀素振りせず。


6月10日/汗ばんだ放送室の木曜
◆いま住んでいる地域では夕方5時にどこからか防災アナウンスが流れる。「緊急事態宣言が、発令されています」と女性の声だ。続けて男性の声も聞こえる。「緊急事態宣言が、発令されています」さっき聞いたばかりだ。でもありがとう。
◆単純な事実として、女性の高い声が聞き取りやすい人もいれば、男性の低い声が聞き取りやすい人もいるだろう。同じアナウンスを男女2声で繰り返すのも必然であり、べつにうるさいとは思わない。ただ、その男女2声が「なんかイチャイチャしてる」ように聞こえる点は指摘しておきたい。
◆もちろん妄想だが、2人は同じ放送室にいる。狭い部屋だ。隣り合って座る2人。体はどうしても触れ合う。最近暑くなってきたが冷房はなく、相手が汗ばんでいることがわかる。
◆もちろん妄想だが、女性が言ったことを再度男性が繰り返す、この構成が2人の距離を近づけた。
「緊急事態宣言が、発令されています」
「緊急事態宣言が、発令されていま、す」
◆もちろんここからも妄想だ。
池田「たかおくん、いまちょっと噛んだよね」
たかお「か、噛んでねえよ」
池田「ぜったい噛んでた~」
たかお「う、うるせえな。噛んでねえって」
池田「じゃあリピートアフターミー? 緊急」
たかお「き、緊きゅ、う」
池田「事態宣言」
たかお「じたい、宣言……」
池田「たかおくんにも出てる? 緊急事態宣言」
たかお「う、うるせえよ」
池田「……出てるよ、初めて会ったときから」
◆といったムードを感じるアナウンスだ。ひさしぶりに台本みたいな形式を書いた。
◆丸一日、木刀素振りせず。


以上です。ちょっと疲れています。
ワクチン接種が早く行き届きますように。
それではまた来週!

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今田健太郎/1mada
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