控えめなあの子の武器が最強になる時
ドラマ『やまとなでしこ』の桜子さんは武器をたくさん持っていたけれど、あの可愛らしい「声」も、間違いなく彼女の武器の一つだった。
……もしも「声」が違っていたら、あのドラマの印象も少し変わっていたかもしれない、それくらい声というものはイメージを左右する。
サッカー選手のあの人、声が低いと思ったら高かったとか……
あの童顔の俳優さん、意外と落ち着いた渋い声だったとか……
イメージとちがーうって思うこと、ありますよね。
私はアイドルのことはわからないけれど、齊藤京子さんの声、素敵だなぁと思いました。可愛らしい声とは違うけれど、とても魅力的。武器ですね。
黙っているとわからないのは本心とか考えだけではなくて、「声」そのものも同じ。聞いてみないとわかりません。
……いるんです。
久しぶりに「!!」って思った声の持ち主が。
とっても可愛くて控えめな女の子なんですけどね、とにかく声がいいんです。
「もしも私に力があったら声の仕事を紹介したい」
そう思うくらい、聞いていたい声。
私が行くと言ってくれるんです。
「いらっしゃいませ」と。
そう、店員さんです。
好みは人それぞれですが……一言で表現するならば、「鉄琴の音色みたいな声」というのがしっくりくるかな。
とにかく素敵。
その女の子のレジに並ぶと良いことがありそうで、すこしラッキーって気持ちになるんです。
仕事も丁寧で、カゴの持ち手を揃えて持ちやすくしてくれたりしてね。優しかったりもする。
その子が最後に言うんです。
「クーポンが出ています」って。
鉄琴の声で。
「クーポン」って鉄琴の音色、聞こえてきそうじゃないですか?
その彼女の「クーポン」がね、すごく可愛くて、耳に残るんです。
彼女は最強の武器でお客さんの心を掴んでいることに気付いていません。
私は後で鉄琴の「クーポン」を思い出しながらビールを買いに行ってきます。