綺麗な黒を着るために。座右の銘「黒って300色あんねん」
あるバラエティ番組で、アンミカさんはこうおっしゃっていました。
「白って200色あんねん」
リアルタイムで見ていた私は「なんて素敵な事を言うのだろう」と大変感銘を受けました。
また、後にこの発言の誕生秘話として語られた中で、このようにもおっしゃっています。
「すべての色を煮詰めると黒になるので、黒は300色あるって言われてるんです」
=「黒って300色あんねん」
黒い服ばかりを好んで着てきた私にとってこのフレーズは、濃縮された自分の人生が丁寧にラベル付けされ豊かに表現されているようで、自己を肯定する以外の何ものでもない「自信」に繋がる最高の言葉として私の胸に刻まれました。
*
亡き母は「白は汚れが目立つけれど、気をつけて着ること自体が好き」と言いながら、白い服を好んで着ていました。
母は服だけに限らず、キッチンのふきんもいつもキレイで、私は幼い頃から「白は真っ白に」という言葉を聞いて育ちました。
母に反抗しているわけでも対抗しているわけでもありませんが、私は黒が大好きで、「白は真っ白に」と育ったせいか、「真っ黒な黒」を見ると、とても心が落ち着きます。
そのため、いわゆる“味”を育てることも楽しいですが、これは革製品に留めて、衣類に関しては色落ちや色褪せが見られたものは染料を用いて黒く染め直しています。
夏の間に活躍した私の黒い衣類は、「黒は300色あんねん」の何色になっているのでしょう。真っ黒に染め上がったものは、何色になるのでしょう。
私は細かな黒色の名前はわかりませんが、長い間黒ばかり見てきたので微妙な違いはわかります。
この黒とこの黒はしっくりこないからこの黒にはこの黒とか、この黒は私には似合わないとか……面白いものです。
私はずっと黒が一番華やかで美しいと思いながら生きて来ました。
シンプルな黒いワンピースを着ているだけで気分が上がりますし、時には身が引き締まります。
思えば、私は今までのどの大切な場面でも、黒を纏っていたように思います。
アンミカさんの一言で、黒色のその奥深さにますます魅了され、更に黒が好きになりました。これから先の黒を纏う人生が楽しみで仕方ありません。
他の人の目には、あのちゃんが「黒はさすがに1色ですよね?」と質問をしたように黒一色にしか映らないかもしれませんが、私にとっては人生そのもの。「黒は300色あんねん」なのです。
黒は真っ黒に。これが私の至福の時。もう少し涼しくなったら、夏の衣類を真っ黒に染め直します。
鍋にお湯と染料と塩と服を入れて。
ほとんど魔女です。
アンミカさんありがとうございます。「黒って300色あんねん」、私の座右の銘とさせていただいております。