カナダ旅行記 ワイナリーとナイアガラオンザレイクスを訪問した
ナイアガラの滝を後にしたバスは、再びトロント方面へと車を走らせた。
実を言うと、ナイアガラの滝を訪れる以外ツアーの詳細を理解していなかった自分。
次にどの場所へ行くのか全く知らず、てっきりそのまま来た道を走ってトロントに帰るものだと思っていた。
だが、現実はそうではなかった。
しばらくすると、バスは国道の道を外れて何やら小道に入って行ったのである。
「えっ?ちょっと待って!これ、どこに行くの?」
戸惑う僕を尻目に、バスは広大な農場の道に入って行く。
ふと窓の外を見てみると、見渡す限りのぶどう畑が目に入った。
あとでわかったことだが、ナイアガラ周辺はカナダでも有数のワインの生産地として世界的に有名な場所だったのである。
とにかく畑がデカく、おそらく東京ドームが何百個も入るであろう広大なぶどう畑は、日本では中々お目にかかれないダイナミックなスケールだった。
そんなぶどう畑に見惚れていると、すかさずドライバーからのアナウンスが。
「今からワイナリーを見学しに行く。この近くだからみんな降りる準備をしといてくれ」
こうしてバスは、とあるワイナリーに到着。
僕はいきなりの訪問に戸惑いながらも、内心ワクワクしていた。
なぜなら、静岡に住んでいたらこれだけ広大なぶどう畑に出会うことはないだろうし、個人で気軽に行けるとこでもないからだ。
バスを降り、僕はツアーの参加者と一緒にワイナリーの建物に入った。
カナダのワイナリーと極上のアイスワイン
建物の中は、木造の暖かみのあるとても素敵な造りだった。
真ん中には、ワインを試飲できるカウンターがあって、その周辺にはお土産として販売するための無数のワインボトルが展示されている。
しばらくすると、20代前半の若い男性が現れ、このワイナリーがどんなところなのかを解説してくれた。
彼の話によると、ここは観光客向けワイナリー以外に、ワインの生産者を育成するための学校も兼ねているとのこと。
そして説明をしてくれた男性は、ワイナリーで働くことを夢見るこの学校の学生だった。
そして、ここで生産されているワインのほとんどは、「アイスワイン」であるとのことだった。
アイスワインとは、甘口タイプのデザート向けワインのことである。
中でもカナダのアイスワインは上質なことで有名で、なんと世界最大のアイスワインの生産地とのことだった。
その中でもナイアガラのオンタリオ湖周辺は、栄養たっぷりな土壌と気候がワインに使用するブドウの生産に最適な場所ということで、糖度満点の芳香な味を満喫できるのである。
たくさんのブドウ畑はあるものの、実はアイスワインに適した果汁は一房にスプーン一杯分しか取れないとのこと。
品質にとことんこだわっているために、希少性の高いワインとして知られてているそうだ。
ちなみに、「アイスワイン」の名称は国際的な登録商標となっていて、ドイツ、オーストリア、カナダで生産された物しか「アイスワイン」を名乗ってはいけないこととなっている。
あまり日本では知られていないことかもしれないが、上記3カ国の中では世界最大のアイスワインの産地として有名なカナダ。
普段中々味わうことのできない味ということで、じっくり色々な商品を試飲してみた。
飲んでみた感想は、とにかく甘い。
「そんなの当たりメーだろ!!」と言われるかもしれないが、ブドウの酸味と甘さをそのまま堪能できるので、食後のデザート感覚として最高のワインである。
普通の赤ワインや白ワインは、甘みはあるが少し渋みも混ざっているので、ワインを飲み慣れていない人は苦手な人も若干いるかもしれない。
しかしアイスワインは、味が甘いことから普通にブドウジュースを飲むような感覚で味わうことができて飲みやすく、初めてワインを味わう人や元々ワインが苦手という人にも凄く飲みやすいのでおすすめだ。
ただし、キンキンに冷さなければ当然美味しくない。
常温で飲んだら、魅力は半減するのは確実なのでその辺は注意したい。
ワイナリーの後ろには、広大なブドウ畑が広がっていた。
アイスワインのブドウは、白ブドウが主流である。
訪れた季節は8月で、ブドウの収穫期である9月の前だったので、ブドウの木にはたくさんのブドウが実をつけていて、いかにも新鮮で甘そうなブドウに思わず興奮してしまった。
ついつい食べたくなってしまうが、取ったら泥棒になってしまうので、ここはじっと我慢だ。
それにしても驚いたのは、ブドウ畑の大きさである。
何もない広大な大地に、無数のブドウ畑が点在するその光景は本当に圧巻だった。
以前スイスに行った際に、レマン湖周辺のブドウ畑を見たことがあるのだが、それに匹敵するほどの迫力である。
大きな建物がないので空や大地が余計に大きく見える影響もあることが、迫力を演出していた。
こうして、ワイナリーと美味しいワインを満喫したツアー一行は、次の目的地のナイアガラ・オンザレイクという街に向かう。
ちなみに、この街がツアーの最終目的地だ。
ナイアガラ・オンザレイク
次に訪れたのが、最終目的地でなるナイアガラ・オンザレイクである。
ナイアガラ川の河口に位置する小さな街で、どことなく古いイギリスの植民地時代の雰囲気を感じる自然あふれる街だった。
実は、「カナダで一番美しい街」として指定されていることでも有名なナイアガラ・オンザレイク。
ナイアガラの滝を訪れたついでに訪れる人も多く、毎年多くの観光客を集めるカナダ有数の観光地だ。
到着してバスを降りた瞬間、あまりの空気の美味しさと緑の美しさに、思わず興奮してしまった。
それは、まあ当然だろう。
なぜなら、事前にこの場所に訪れるのを知らずに参加していたのだから。
与えられた時間はおよそ2時間。買い物や散策をするには十分な時間だ。
僕はテンションを上げたまま、色々と街を散策してみた。
ナイアガラ・オンザレイクのシンボルが、この時計塔である。
街の中心ストリートであるクイーンズ通りにある立派な時計台。
何でも、第1次世界大戦で命を落とした地元の住民を冥福を祈る為に建てられた慰霊碑とのことだ。
実はこの辺はイギリスの植民地時代、現在のオンタリオ州と呼ばれる前は「アッパーカナダ」と呼ばれていて、ナイアガラ・オンザレイクには総督の官邸が置かれるなど、重要な役割を果たす街だったのである。
その為、今でも街にはイギリス植民地時代の建物が中心に残されていて、それらの建物を利用して雑貨屋やレストラン、アイスクリーム店などが次々にオープンし、訪れる人の心を掴んでいるのだ。
2時間ということで、ゆっくり食事をする時間も無かったのだが、キャラメル味のアイスクリーム(観光地価格で高い!)を食べたり、街をゆっくり散策して時間を潰した。
正直、もう1時間ぐらい時間が欲しかった。
とにかく、居心地が良すぎるのである。
一瞬、この街にどうやったら移住できるのかを真剣に考えてしまった(笑)。
とにかく、それだけ魅力的な街である。
ナイアガラの滝を訪れたついでに、ぜひ行ってみることをおすすめしたい。
トロントに帰る
ナイアガラ・オンザレイクを満喫して、このツアーは終了。
再びバスに乗り込んで約2時間かけてトロントに帰る。
朝早くの出発だったので、ほとんどの参加者は疲れ果ててぐっすりと眠っていた。
行きの車内であれだけハイテンションで色々喋っていたドライバーも、その空気を察して黙ってバスの運転に集中している。
一方僕はあまり眠る気にはなれず、ただ窓の外のオンタリオ湖を眺めていた。
そしてバスはトロントのチャイナタウンに到着。
バスを降りる前、ドライバーはチップを入れて欲しいと言って半分に切ったペットボトルを出口の前に置いた。
いくら払おうか、僕は一瞬考え込む。
そして悩んだ末、あれだけ2時間近くも一生懸命ガイドしてくれたので少額のチップでは申し訳ないと思った。
そして降り際、僕は感謝の意味を込めて5ドルを入れた。
しかしペットボトルを見ると、大半はコインばっかりだったので、他の乗客はそこまで渡してなかったのかもしれない。
こうして、大満足のツアーは終了。
次回行く時は、もっと時間をかけてナイアガラの滝を見てみようと思った。