【ほんのりBL】通り雨ラプソディ 02
「まぁ、傘はいいからさ。お前んち着いたらシャワー貸せ」
「――――っ」
心臓が、跳ねた。
何か熱のような息苦しさが込み上げ、数歩前を行く友人の背に、全神経が集中する。
――や、これダメなやつだ。ダメなやつだこの感じ……っ!
友達相手に。
しかも男同士なのに。
でも、雨に打たれて濡れる宏明の肢体から目を離せない自分が
もう自分では制御不能だ。
「――ふんっぬーーーっ!」
俺は、咄嗟に差していた傘をホームランよろしくフルスイングする。
三段折りでコンパクト且つ軽量でお気に入りだった傘は、一瞬にして見るも無惨な姿に折れ曲がった。
ギミックが多い造りなだけに、一度のスイングで再起不能だ。
「はぁあっ? おま……っ! 何やってんのっ?」
宏明がぎょっとして振り返る。
そして、結局無防備に豪雨に投げ出した俺を
得体の知れないものに直面したような目で見る。
「傘……、壊れた」
「まぁ、うん。そうだな。バキバキに壊したな。お前が」
「うん。何やってんだろうな、俺」
「ホントその通り、だな」
真夏の雨が、茹だった頭を一気にクールダウンしていく。
- つづく -
※ エブリスタにも同時にUPしています。
エブリスタにて、長編BL小説更新中です
『巡る明日に君がいない』
http://r.estar.jp/.pc/_novel_view?w=23868932
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