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【ほんのりBL】通り雨ラプソディ 03 おわり




雨の中、ふたりしてずぶ濡れで立ち尽くす。
顔が上げられない。
宏明の顔が見られない。


いきなり傘を壊すなんて、誰が見ても異常行動すぎる。


呆れただろうか。呆れるどころじゃないかもしれない。

――絶対おかしいヤツって思われた変なやつだって思ってる絶対!

「――ぶ……っ!」


「……え?」


微妙な沈黙を先に破ったのは宏明だった。


「ははっ。お前アホすぎだろ。折るとか意味分かんねぇ。はははっ」


宏明はカラリと笑い、俺の背中をバンバンと叩く。


そういえば宏明は、理解不能なくらい笑いのツボが浅めの笑い上戸だ。


俺は内心胸を撫で下ろす。


宏明は、額に張り付いた髪を掻き上げると、やっと早足にかけ出した。


「取り敢えずさっさと帰って風呂! あーもう、早くパンツ脱ぎてぇ!」



「――っ!」


無防備に言い放たれた言葉にまたも心臓が跳ね上がる。



――だから何なんだよこれっ!



先ゆく背中を追いながら、不穏に跳ねる自分の胸が意味不明だ。


今日、両親は帰りが遅い。



――こんな気持ちでふたりきりとか、俺どーすんの? や、つかどーすんのって何心配してんだよ俺、なんなんだよ俺ぇ!



宛てのない胸の中の慟哭が虚しく響く。


「あ、雨止んできた。俺らツイてねぇなぁ」


宏明が遠い空に掛かる虹を指差す。


振り返りざまに、その髪に滴る雨の余韻が揺れて散る。


俺は、それに触れたい衝動に駆られるが、折れた傘の柄を握りしめ
再び心の中で咆哮を上げた。



- end -



※このお話はエブリスタにも掲載しています。




エブリスタにて、長編BL小説更新中です

『巡る明日に君がいない』

http://r.estar.jp/.pc/_novel_view?w=23868932



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