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バイリンガルギョウザ (ショートショート)

6時間待ちなのに賞味期限は10分。皆楽しげに急いで食べている。バイリンガルギョウザ…見た目は普通の餃子で6個で1万円。まず1個。

すると残りのギョウザが回転してシューマイになった。1個食べる。

見る間に黄色い三角形になった。カレー味だ。インド料理のサモサ。

次に四角形の白色になり、合間から黄色いチーズがとろりと出た。イタリア料理のラビオリ。

次、膨らんでパン生地になった。ロシア料理のピロシキ。

 これぞ幻影味覚料理。残り1つは、さあ何だろう。すると最初のギョウザに戻った。ギョウザから中国語と英語で話しかけられたがわからない。そのうちになんと爆発した。ぼくはちりちり頭になったのをスマホミラーで確認しつつ店主に詰問した。

食べ物にプログラミングさせる人が中米のバイリンガルだが日本語が全く通じない。ラストも焼けという意味でバーンといったせいかもと店主は返金に応じた。以来、その店の客は必ず10分以内に食べると誓約書を書かされる。

ありがとうございます。