春ギター (バレエショートショート)
ブローノバゥナはイタリア人教師兼ゲストダンサーだ。背も高く、舞台映えする容姿だが、顔面の彫が深すぎるせいか近くにいると体感温度が高く感じる。先日のレッスンではドンキのバジル役でギターを抱えながら踊るシーンをやった。それこそ彼のハマり役で楽しそうに踊る。が、どうも暑苦しい。
まだ春なのにこんなに暑いのはブローノバゥナ先生の顔のせいだよ~と誰かがいうと、ブローノバゥナは怒った。
君たち、日本人なのに意地悪ね? じゃあ、顔は隠すよ? 途端に彼は膝を深く曲げ、背中を後ろにやって皆から顔が見えぬようにした。藍たちからは、膝しか見えぬ。その状態でギターを弾いている仕草を続けたまま、リズムをとって片足を上や横に振り回す。圧巻の体幹と軸の強さに圧倒された。
これ、クリムキンイーグルよ、まさかバレエでやるなんて……
ブローノバゥナは、これをギターも離さず一曲通してやってみせた。レッスン場で長い拍手が湧いた。容姿を揶揄した人たちは彼に謝罪をしたことはいうまでもない。
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たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は「春ギター」です。
作中のクリムキンイーグルは、クラシックバレエではなく、フィギュアスケートの技です。
以下はウィキペディアより。
イリヤ・クリムキンが編み出したものです。片足を軸にして体を回転させながら、もう一方の足を上げてイーグルのように空中に広げるというもの。体幹、腹筋、背筋がしっかりしてないと、できない。素晴らしい。
スポーツ新聞からのスクショ。
動画もあります。元祖イーグル!
イーグル友の会ってあるの、すごいよね。
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