山岳フリマ　(ショートショート)

　フリマが流行っているが我々裏社会もやってみることになった。売り物は禁製品なので客も選別する。
　ただ監視社会で監視カメラも性能が向上しているのでどこかの地下より開放感あふれる大自然が逆によかろうとなった。
　そう、某県の某某山。山岳信仰で有名な山なので登山客はいない。我々は手下に担がれて安楽に登れる。
　目論見は当たったが、フリマも佳境に入った頃に変なジジイが紛れ込んで騒ぎ出した。

お前らすぐ下山しろ。さもないと神罰がくだるぞ！

　コワモテの手下がジジイを取り囲んでも平気な顔をしている。ジジイは死んでもいいのかと喚くと、我々はそれはこちらのセリフだろうと笑った。

　突然某某山に地震が起きたかと思うと頂上から地割れが深く起き、我々は一瞬で底に…そして地割れが何事もなく元通りに…

　1人頂上に残されたジジイ、すなわち某某山の宮司は跡形もなくなったフリマ会場に正座して拝礼する。

神様、流石の御所業でございますお見事でした

俗社会も悪人が一掃され少しは平和になった。