残り物には懺悔がある (バレエショートショート)
研修会の演目を皆で選ぼうとしていた。1人1分前後でソロで舞台を踊る。先生が言った。今回は大人クラスの研修生優先で役を決めました。眠りと白鳥とジゼルと青い鳥は希望が出て許可しました。それ以外はかぶらないように演目を出してください。早い者勝ちですよと。
そんな……人気のあるヴァリエーションをすべて取られてしまい、声にならぬ声がレッスン場に満ちた。それでも、コッペリアにする、じゃあパキータ、ならばリラ……次々に役を取られてしまった。
まだ決めかねている藍に、先生は残り物には福があるわよと微笑む。つまり、何が残っても踊れるようになりなさいということか。そう解釈して藍は頷く。
やがて藍1人だけが決めてない状態になった。先生は言った。
あら、めぼしい役はもうないわね。同じ演目はしないと決めたのだし、藍、あなたは、創作バレエをやりなさい。
実はそれを狙っていた。藍はやったと心の中でガッツした。優柔不断なふりをしたという懺悔はない。
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たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は「残り物には懺悔がある」 です。
発表会や研修で多用されるソロヴァリエーションはたくさんあります。下記はその一覧と難易度の目安です。
ありがとうございます。