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誤字審査 (バレエショートショート)

 藍はバレエコンクール入賞の常連だと自負している。どんなに小さなコンクールでも手をぬいたりはしない。毎日のストレッチ、基礎のバーレッスンもこなしてこそ、観客を感動させるバレリーナになれると信じてやまない。 
 ところが、藍は直近の入賞が簡単だとされているバレエコンクールの書類審査で落とされてしまった。落ち込む藍に、先生は厳しい顔を崩さない。

あなたは、書類で一文字だけの誤字が見つかり落とされたのです。バレエの舞台に立つ以前に、主催者から相手にされないということはとても恥ずかしいことです。反省しなさい

 藍は恥ずかしくて泣きどおしだ。奨励さんの慰めも効かない。そこへ井伊野が藍の背中をぶった。

泣いている場合じゃないだろ。舞台で踊りたいなら今からでもここで踊れ。本当のプロなら日本語が不自由だろうが関係ないだろうが。主催者に誤字があろうがなかろうが、この人を落として損をしたと思わせてやれ

藍はその通りだと思って立ち上がった。





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たらはかにさまの企画に参加中です。
今週のお題は「誤字審査」 です。


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ふじたごうらこ
ありがとうございます。