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令和5年10月26日(木)の あたりさわりない薬剤師日記


※令和5年 クリエイターフェスに参加※ 10月1日から31日まで毎日薬剤師日記を書く。



 錠剤分包機というものがある。錠剤1種類~1回分ずつ、患者名他いつ服薬するかを印刷された分包紙に包む機械だ。メーカーはいろいろあるが、令和になってから導入した最新版はとても優秀だ。

 錠剤分包機の黎明期は、結構トラブルがあった。機械の中で薬品が詰まっちゃったり、割れてしまったり。軟カプセル(なん・カプセルと読む。中に油や懸濁状態の薬品が入っている)だと機械にうまく滑り落ちなくて中で団子の状態になってしまったりで。
 ひどいときは、数種類なら1個ずつ手作業で包装した方が早いと思った。なんでもかんでも錠剤分包機に放り込むわけではなくモノによっては不可とメーカーがはっきりと添付文書に書いているものもある。温度差に敏感だったり、蛍光灯の光だけでも反応を起こすものもあるから。

 機械のトラブルはメーカーの技術者を呼べば直る。なかなか来ないときは、早く来て~っと電話で催促する。患者さんが待ってるからね……技術者も大勢いるわけではないので、大変そう。

 でも一番のトラブルは機械の調子ではなく、人間の手によるものだ。つまり錠剤を入れる専用のカセットに、入れる人が間違えるというもの。はっきりいうと、結構ある。
 だから機械に打ち込む入力者、調剤者、監査者が別々でやっている。最後に患者もしくはご家族に薬を渡す監査者と交付者が責任を負う。新聞記事にでるほどの事故だと、管理薬剤師と社長の責任になるが幸いそこまでいったことはない。

 こんなことがあった。
T錠には、2㎎と3㎎がある。大きさは一緒、表面もメーカーが一緒なのでまったく同じ文字が刻印されている。裏面が2もしくは3と刻印されていて、監査者はそれをチェックして交付する。

しかし!!!

 カセット3㎎のものに、2㎎が入れられていた。それが監査を通っていってしまった。不幸中の幸いでその患者さんは施設に入所されていたので、事前に看護師のチェックがあってわかったのだ。服薬前でよかった。
 よくないのは、その日のうちにT錠を錠剤分包機で調剤した患者が他にも数名いたこと。今はネットで在庫管理しているのでT錠のバラ(錠剤分包機用にヒートでなくばらばらになっているもの)を入れた日付がわかる。そして患者名もわかる。その数名が全員外来患者で、あわてて皆で手分けして電話して事情を話してご自宅に向かう。すでに服薬していた人が数名いたが、不幸中の幸いというか、3㎎指示を2㎎でいっていたので健康被害はなかった。でもミスはミスで患者もしくはご家族に謝罪をする。そのうえで管理薬剤師と社長が処方医に直に出向いて説明の上、おわびした。これですんでよかったと思う。


 死亡事故を起こすような重大なミスであった場合は、業務上過失致死になる。しかしながら不起訴になる案件も多いから亡くなられた側としてはたまらないだろう。薬剤師側としては不起訴がラッキーというわけでなく、少しのミスでも一生の後悔を引きずることになる。国家資格はそれだけ重いものと心得て業務に当たらねばならぬと思う。

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こちらは弁護士が書いた一般向け記事、わかりやすい。

統計が少し古いがいつの時代も調剤過誤はある。


ありがとうございます。