ジンジャークッキーイブ (ショートショート)
靖国神社の落書きのニュースを聞いて太郎は心を痛めた。家の近くにも護国神社があるので見回りをすることに決めた。そこで人の言葉を話せる鳥に出会った。そして土地の昔話を教えてくれる。でも誰にもその話はしない。話すと落書きをする人が現れるというから。太郎はクリスマスのおやつに母親から人型のクッキーをもらったのでおすそ分けをしてあげた。
鳥は「英霊のクッキーだ」 と喜ぶ。太郎が違うと思いつつ、あまりに喜ぶのでそのままにしておいた。
その夜、太郎が寝ていると外から足音がする。
「サンタでなくて泥棒かも、怖い」
すると例の鳥の声がした。
「太郎くん、英霊たちがクッキーの御礼を言いたいって」
「え、こんな夜中に」
「だって今日の夜はクリスマスでしょう? 戦後の若い人たちの習慣通りにしようって」
太郎が窓を開けるとそこには白い軍服を着た英霊たちが敬礼をしていた。気が付くと朝だった。太郎はとても良いクリスマスプレゼントをもらった気分になった。
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