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邪三流ヨコシマサンリュウ
2020年3月11日 00:02
腹立たしいほどに澄み切った天空の青に、くゆらくゆらと、流れるままに吸い込まれてゆく。そいつの名は、黒煙。この街で古くから稼働する鉄工場の煙突から、くゆらくゆらと、途切れることなく吐き出されてゆく。そいつの名は、黒煙。我々に必要不可欠な有機物を産み出すたびに繰り返される、汚れた呼吸。黒煙。その姿はまるで、この世に未練や憎悪を遺して、葬列の如き色彩を放ちながら、あるかも分からぬ楽園を目指す死者の