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GDP▲4.8%の中身を覗くと分かること

なぜか報道されないGDPの中身

2020年の実質国内総生産(GDP)は、▲4.8%であると報道されました。コロナの影響で消費が低迷したことが原因ですが、実際にどのくらいコロナの影響があったのかということは報道されません。

そこで、四半期ごとに実質GDPを並べ、どこで、どのぐらいの影響があったのか、ということを調べてみました。

四半期ごとの実質GDPの推移

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2019年の数字を比較対象にして調べてみたところ、実質GDPは555.8兆円から529.2兆円に26.6兆円減りました(グラフは四捨五入の関係でピッタリ合いません)。

今回見ていて面白いのは、緊急事態宣言前、第一波、第二波、GoToと第三波の時期がそれぞれ1Qから4Qに分散されていることです。そのため、それぞれの出来事の経済へのインパクトを簡単に見ることが出来ます。

経済が止まっていなかった緊急事態宣言前

まず1-3月、緊急事態宣言前ですが、実質GDPは▲2.9兆円とあまり下げていないことです。もともとコロナ前に景気が落ち込んでいたことを考えると、コロナが入ってきて人と人との接触を減らさなければならない状況であったにも関わらず、ほとんど経済活動には変化がなかったことを示唆しています。

まあ確かに最初の方は気楽でしたからね。飲んでアルコール消毒しますとかインタビューに答えてたサラリーマンとかテレビに映ってましたからね。今じゃ考えられません。

ですがこの頃、春節の記事に武漢がロックダウンになって中国人が来ないとか、夜の街で感染が広がっているから飲食店に人が来ないとか、小学校が休校になったとか、そういう話はこの時期からあった訳ですが、実際には経済全体には大きな影響が出ていない、という結果になっています。大騒ぎしていても実際には感染なんて考えず、みんな普通に生活していたんですね。

大打撃の第一波と緊急事態宣言

次に4-6月、緊急事態宣言の期間中ですが、この時期の実質GDPは▲14.1兆円と特大ダメージを食らっています。この時期の緊張感はヤバかったですね。散髪しに行くのもはばからないといけない雰囲気というか、そもそも床屋も美容院も休業してしまってるとか。とにかく目に見えて経済活動が縮小しているのが分かりました。

その割に10%チョイしかGDP減ってないじゃん!と思う次第なのですが、電気ガス水道食料品などの必需品のほか、個人消費では家賃だったり持ち家の帰属家賃だったりが減っていないため、なんだかんだ底堅く推移した、というのが実態のようです。

あとゲームやテレワーク用のパソコンなどはこの時期よく売れたようで、みんな単に家に閉じこもっていたわけではなく、ステイホーム期間を乗り切るための消費活動もしていたということが分かります。

第二波は危機感も被害も半分

5月25日に緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開されたわけですが、依然として県境を超える移動に対し自粛ムードがあったり、夜の街に対する恐怖感があったりでなかなか経済が回復しない中、6月の新規感染者は非常に少ない数字でした。

7-9月はこれを受けて「日本は勝利した」というムードで始まり、感染対策を行いつつ事業を再開するぞ、GoToキャンペーンの企画もするぞ、給付金もだいたい振り込まれたぞ、甲子園も再開するぞという一種のイケイケムードでした。

しかし、7月に第2波が到来し、感染者が急増。再び一部地域で飲食店に時短や休業の要請をするなど、暗い夏となってしまいました。

それでも、緊急事態宣言を出すには至らず8月には新規感染者が減り始め、再び日本大勝利ムードが広がりました。我々は緊急事態宣言なしでもコロナを封じ込められる、そういう思いが社会に広がっていました。

一方、経済面ではようやく再開したのにわずか1~2ヶ月で再休業に追い込まれた店も多く、事業者たちの気持ちをバキバキに折りました。この頃から自主廃業や空き店舗が目立つようになってきました。GDPは昨対で▲8.1兆円と大きく減少。第一波ほどではないにせよ、大不況の様相でした。

GoTo騒ぎ、そして第三波へ

10-12月は、GoToキャンペーン花盛りの時期です。GoToトラベル、GoToイート、GoToイベント、GoTo商店街と政府主導のキャンペーンが次々と打たれ特に国内旅行は急回復。外国人観光客がほぼいないのに予約が埋まる旅館が続出するという大騒ぎで、おそらくこの時期、日本人による国内旅行は昨年よりも大きく増えていたのではないでしょうか?

GDPの数字を見ても1.7兆円しか減っておらず、これまでの2四半期とは打って変わって景気回復の様相です。これまで抑えつけられてきた個人消費が政府支援と合わさり大爆発したという感じです。

しかし、ご存じ第三波がやってきました。GoToトラベルは因果関係はハッキリしないものの悪者にされ、GoToイートは飲食店への時短要請が出されて使えなくなり、イベント事は中止・延期が相次ぎました。それでも感染者は減らず、12月31日、第4四半期の最終日に東京で1日の新規感染者が1000人を超え、年明けから緊急事態宣言が始まりました。

2020年のGDPを見て分かること

ここまで2020年のGDPを四半期ごとに覗いてきたわけですが、実際の数字の動きを見て分かったこととして

・コロナの拡大や緊急事態宣言は、経済に猛烈なダメージを与える

・GoToは経済回復にすごく効く

ということが分かったのではないかと思います。ワクチンがようやく日本にも入ってきて、おそらく切り札になるのではないか、と言われている昨今、再び緊急事態宣言が解除され、ワクチンの接種が進んで本格的な経済再開が可能になった場合、GoToキャンペーンを再度実施して弾みを付けることが必要だといえそうです。

事業者は事業の再構築にも取り組むべき

コロナによって「新しい生活様式」が浸透し、我々の行動は変わりました。Zoom、アクリル板、デリバリーなど、大きく市場が拡大し、コロナで逆に商売繁盛となった企業も多くあります。

これらの変化の一部は、コロナ後も残り続けます。例えばZoomなどのオンライン会議は、おそらくすたれることはなく、今後も一層利用が促進されていくことでしょう。

ということは。日本の経済成長率は実質的にはゼロが続いている、ということを考えると、これらへの消費増はそのまま、他の何かの消費減を意味します。実際、日本経済はここ数十年、まるで経済成長していない中、通信費への支出だけが増え続け、他の分野への消費がじわじわと削られてきたという事実があります。

この事実を踏まえてコロナ禍の後を考えると、これまで通りの商売を続けるのはどう見ても下策。何らかの構造改革を行わなければ生きていけなくなるところが多いのではないでしょうか。コロナを機に、事業の再構築を図ってみるのも手かもしれません。

国も事業の再構築を後押し

国もよく分かったもので、コロナで被害を受けた会社が事業の再構築に取り組む場合、補助金を出すと言っています。事業再構築補助金というそのままの名称で、事業再構築のために実施した設備投資金額の2/3が後から返ってくる制度です。

金融機関や認定支援機関の関与が必須とされていますが、とある銀行の支店長からは「事業再構築補助金の申請には必ず、中小企業診断士などの中小企業政策のプロを付けるべきだ。補助金は必ず貰えるものではない上、事業者にとって事業再構築は背水の陣で臨むもの。お金がかかっても申請を落とすリスクはなるべく下げなさい」という指導が融資先に対して行われている、という情報を聞いています。

中小企業診断士を探すなら、イチコンへ

事業再構築補助金は注目度が非常に高い補助金で、中小企業診断士もこれの対応のため、稼働が高くなってきているのが実状です。まだ余裕のある中小企業診断士を探すならば、イチコンがおススメです。

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