韓国に並ばれた日本経済。打開を図るには?

最低賃金は28円のアップ

最低賃金が2021年10月から全国平均で28円アップすることとなり、約3%の上昇となりました。これによって最低賃金付近で人を雇っている経営者は大変なことになると危機感を募らせています。

韓国と同じカテゴリに入った日本

しかしながら、日本経済全体のことを考えた場合、最低賃金の引き上げとそれによる低付加価値産業の圧迫は急務です。

「日本は経済大国、豊かな国」であったのは今は昔のことで、先進国の中で比較すると日本は、一人当たりの付加価値が低く、長時間労働をすることで何とか豊かさらしきものを維持できているという状態です。

欧州諸国はブランド化や高付加価値化を進め、日本以上の豊かさを日本よりも短時間の労働で達成しています。それも国全体で。アメリカは日本以上に長時間労働をする国ですが、付加価値も日本以上に高く、アメリカ人は非常に豊かに暮らしています。日本と同じ低付加価値・長時間労働の国となると韓国が該当しています。

韓国に並ばれた原因は「加工貿易」

日本がこうなった原因は、加工貿易にあります。加工貿易とは、原材料を輸入し、国内で加工し、輸出して稼ぐというビジネスモデルです。日本の古い大企業というのは、多かれ少なかれこの加工貿易モデルの中で収益を上げてきました。

ところが、この加工貿易が成立するには、条件があります。いくつかを挙げると

・人件費が安く、加工賃部分で競争力を発揮できること

・人口が多く労働力が豊富であること

・為替レートが自国通貨安(日本なら円安)であること

・知的財産権の保護が甘いこと

・自由貿易が保証されていること

特に最初の「人件費が安い」という点が重要です。人件費が安ければ、生産性が低くとも人海戦術で加工を行う事が出来るためです。戦後長い間、この条件が成立し続けていたため、日本は経済大国になることが出来ました。

50年以上前から崩れ始めていた加工貿易モデル

加工貿易モデルには弱点があります。それは、模倣がしやすいという点にあります。加工貿易は、労働人口が多く加工する機械があればとりあえず成立はするので、人口の多い最貧国が手っ取り早く経済成長を遂げるには最高の手段です。

真っ先にこれを模倣したのは韓国でした。1965年の日韓基本条約により日本から多額の資金を得た韓国は、これを加工貿易に投入し、1970年代に高い経済成長を達成します。日本が編み出した「加工貿易モデル」は50年以上前に、韓国に模倣されはじめていたのです。

次々と模倣される加工貿易モデル

日本や韓国の成功を見てさらに追従する国が出ました。台湾です。改革開放後の中国も続きました。この頃から、「アジアの猿まね国家」というイメージは日本から韓国や中国に移っていきます。冷戦後は東南アジア諸国が、さらにインドやアフリカなどでも加工貿易モデルを採用する国が出てきました。

日本が誇る加工貿易モデルは、21世紀に入ると途上国が経済成長をするための基本的なやり方と認識されるようになったのです。こうなると、先行して加工貿易を行い、その収益で豊かになり、人件費が高騰した日本は不利にならざるを得ません。しかし、日本は引き続き加工貿易モデルを経済の中心に置き、輸出こそ重要である、円安こそ重要である、安い賃金こそ重要であると言い続け、外国人実習生を入れて国内の雇用を毀損してでも輸出を続けようとしています。

このように加工貿易モデルという成功体験に固執し、次のビジネスモデルを考えなかったことが日本の長期低迷の根本原因です。なお、同じ問題は韓国でも起きており、低成長や長時間労働の弊害、学歴社会の深刻化(加工貿易モデルでは、均質な労働者が大量に必要になるため、人が学歴で階層化される傾向が出る)などが起きています。

模倣困難な強みを活かせ

加工貿易モデルが日本で発生したのは、偶然の要素もあるにせよ日本には加工貿易で収益を上げる強み(人口・低賃金・為替レートなど)が揃っていたためです。強みを活かして稼ぐというのは企業でも国家でも変わりはありません。

ところが、加工貿易モデルの強みというのは模倣が出来るものであったため、それに気付かれ、競争に巻き込まれてしまい、強みが消されてしまいました。この日本の成長モデルが模倣可能だと最初に気付いたであろう人物(おそらく朴正熙)は凄い人です。

ではこれから日本が経済再生を達成していくためには?と考えると、日本の強みを再発見していくしかありません。そして、可能であればそれは、模倣が困難で永遠に日本の強みであり続ける、そんなものであってほしいですね。

模倣困難性の高い日本の強みは「言論の自由」

日本には強みやいいところというのが多くありますが、このうち最も根本的で、他国が模倣することが難しいものとして「言論の自由」があります。

日本の言論の自由はウンコとか称する「知識人」連中がいますが、その理由が記者クラブだったりSNSで叩かれることだったりするので本当にレベルの低い話で、世界的に見ると言論の自由は危機に晒されています。政府による言論統制ではなく、正義による言論統制です。

正義をかさに着た言論統制

現在、世界中で自由な言論は危機に晒されています。これは、中国やロシア・ベラルーシなどの政府による言論統制はもちろんのこと、欧米諸国ではポリティカル・コレクトという正義を主張して他社の言論を封じる行為が社会問題化しています。

中国や韓国などの儒教国ではいったん正義が確立するとそれに反する言論は一切封じられ、かつ正義を過激に表現することが一人ひとりに求められるため、対話が不可能な状態になります。

こうした他社の言論への不寛容が世界を覆う中、日本だけが「反正義」の言論に対する寛容さを維持できている、といえるでしょう。

「戦争の反省」がすごくいい方向に効いている

日本がこうした強みを持った背景は、戦争の反省であり、国家や何か権力を持った存在が正義をもとに他者の言論を攻撃するのはやめよう、価値は相対的であろうという考え方が日本人の基本にあるからですが、日本人がポリコレ、つまり政府でない何らかの正義、それは「空気」と言ってもよいものだと思うのですが、それを受け入れて誰かを攻撃する、ということになっていないのは、これも戦争の反省なのだと思うのです。

戦後史観では、政府が言論を統制した、市民は何も悪くなかったという考え方が主流でしたが、歴史研究が進み、現在では市民が積極的に戦争を望み、それが軍部に力を与え、その空気に逆らう者は有形無形の圧力をかけられたということが分かっています。

日本は政府による言論統制はあったものの、それ以上に空気による言論統制が強かった。これが「脱・戦後史観」の流れの中で、また「失敗の本質」のような研究の中で明らかになってきており、これが空気の支配に抵抗しているのだと思うのです。こうした歴史の流れの中で出来上がった言論の自由、思想の自由は、日本ならではの自由な発想やその許容へと繋がっており、例えばコンテンツ産業の隆盛に向かっている訳なんですね。

自由な発想と自由な製品・サービスづくりがカギに

自由な発想や考え方は、コンテンツ産業だけのものではなく、製造業やサービス業でも展開は可能です。とてつもなく変わったモノづくりをしているところや、変なサービスを提供している会社ってありますよね。

そして、そういう会社ほど魅力的で、業績もよい。ヘンであることに価値を見出す人はいて、そういう人に高付加価値の製品を売っていくことが出来ている、ここが日本の生きる道だと思います。

これで日本国民全員が豊かに暮らしていくにはまだまだ課題は多く、例えばどうやってお客様を見つけ出すというマーケティングや、どうやって製品・サービス開発をするのだという新規事業開発はこれからです。こうしたところで中小企業診断士を上手く活用し、いちはやく長期低迷から脱し、高収益を達成し、最低賃金に負けずに高い給料が払える会社にしてほしいと思います。

イチコンは、中小企業診断士と企業を繋ぐサービスを展開しております。こちらから匿名での相談も可能ですので、ご興味がございましたら一度お問い合わせください。

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