
格闘ヲタ一代③
続いておフランスのおサバット修業編に入ります
サバットって馴染みがないでしょうし、どんなの?
て聞かれると靴を履いてやるキックボクシングです。
恐らくマニアから、それはボックスフランセーズじゃないの?と言われますけど、その通り。サバットと言っていますが、ボックスフランセーズを教えているジムがほとんどです。
厳密にはサバットは護身術で、投げや関節や杖術もあるようですが「サバット」と言いながらフランス式キックボクシング「ボックスフランセーズ」を教えているジムがほとんどです。ちなみに現地読みだと「ボクスフォンセ」です。更にちなむとフランス人はボクシングの事は「ボクスアングレ(イギリス式ボクシング)」と呼びます。
技術体系はパンチはボクシングのものです。特徴的なのは蹴り技で踵や爪先を使った蹴りが多く、脛で蹴り込むような技は基本はないです。 空手やムエタイなんかは、脛で体ごとぶつけて骨やバットをへし折る!みたいなイメージがありますけど、どちらかと言うと足先をパシンパシンと走らせて蹴ったり、踵でサイドキックや後ろ回しや内回しを使ったり、テコンドーに近いです。
見た目の威力は、空手やムエタイに比べて落ちるように見えると思います。軽いから。ただ、靴を履いて行うのが前提ですし、試合はシューズですけど、革靴やブーツを前提とした護身術でもあったので、本当は超痛いと思います。後、関節蹴りが多いです。相手の膝や大腿部付け根への蹴りでのストッピングや、膝を折りに行く蹴り方などが多いので、ジークンドーや総合格闘技の蹴りにも似ています。
足先を当てる事で、足を長く使う蹴り技が多く、フルコンタクト空手などとは間合いが真逆であると言っていい。超接近戦で上から落とす下段や、上段への膝なんてないですし、基本的に遠い間合いから爪先で蹴り込むか、サイドキックで靴の踵を叩き込むといった技法が多く、相手を近づけさせない路上の護身から発展した名残があります。
何となく自分の感覚では、戦の時代から発展した技術は取っ組み合いからの組み打ち術が多く、刀折れても生き残り、願わくは相手の首を持って帰る事に特化しているが、サバットは路上の実戦から派生しているので、とりあえず遠距離でダメージを与えて逃げるという所に違いが見えるように思う。
というわけで、必然的に蹴りでダメージを削りながら間合いを測り、パンチで仕留める展開が試合ではとても多い。私は寮から出て、半年間ホームステイした時にTVでも何度か見たが、蹴りのフェンシング的な攻防から飛び込んでほぼパンチで試合が決まっていた(と言っても2度ほどしか観ておらず、大抵の試合はキャナルプリュスという有料チャンネルで放送していたので観れなかった)
さて、ボクスフォンセに同じ日本人学校の三人と四人で通うようになり、スパーリングもやるようになるのですが、少しアジア人イビリというのか…いや、私イビリなのか?色んな出来事が重なり、私はめっちゃ背の高いムキムキの黒人や、バタービーンみたいなデカい白人とスパーリングさせられる事になって行くのです。
話盛ってない?と思われるでしょう?嘘つけ!普通のジムがそんな階級違う奴とやらせないでしょうと。
実は私もそう思ってここ数年、自分で記憶を盛り過ぎたのか、はたまたフランスで見た夢なんじゃないかと疑っていたのですが、三年ほど前ですかね、当時一緒にジムに通っていた一個下の後輩とコロナ前に飲んだ時、向こうから「あれ、なんか渡部さん、めちゃくちゃデカい黒人とやらされてましたよね」と話し始めたので、やっぱりこれ夢じゃなかったんです。私から話し始めて向こうが合わせたわけじゃないですから!まるで大人になって自分を疑い始めたメイの前にトトロの話をするサツキが現れた気分です。後は読者の皆様がお父さんのように寛大な心で読んでいただければ。
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