クリエイターズマッチングプロジェクト:コトバヲトリモドセ(ボツ案)
「任せたわってこいつ…」
私はパソコンの画面の前で前髪を掻き上げ、そのままガシガシと頭頂を掻いた。
クリエイターズマッチングプロジェクト。「夜が明けたらひとりじゃない」という柱のもと、誰かが絵を描き、それを見た人が曲を作り、それを聴いた人が歌を歌い、最後に誰かが短編小説をつける。テーマは「20XX年」なら何でも良いようだ。
バトンを繋ぐことで、各分野で燻っているクリエイターを引っ張り出そうという企画だ。
数日前に話を持ちかけて来たこの男は、あるイラストを送ってきた。
少女が右手の小指を立て、高く掲げている様子を描いたそのイラストに、途端に様々なストーリーを思い浮かべる。特徴的だったのは口元にあるモザイク。絵全体の5%にも満たない矩形が、まだ存在しない物語へと手を引く。
と、物語を膨らまそうとしていると、
「言論統制を受けたレジスタンスが立ち上がるのどうすか」
お前が物語指定してどうする。作詞、作曲を担当する彼のイメージを聞きながら「もうお前で物語書けるだろ…」と独り言ち、その世界を想像する。
私が文章を書いていた時のやり方は、もしかしたら他の人と違っていたのかもしれない。
私の創作は登場人物の設定を先に確定させる所から始まった。むしろ、この作業が一番長かっただろう。出てくる人物は誰で、どんな人で、どのような思想か。これを決める事から全てが始まり、そして創作の全てだった。
それが決まれば、後は彼らが勝手に世界を作り上げてくれた。
そう、過去形。
寝る前に妄想を楽しむことがあるだろうか。
例えば、週刊誌に連載している漫画の続きを想像して「次回はこうなるのかなぁ」とワクワクしたり、もっと現実的な話に落とし込めば、想い人とのもしもを考え布団の中で不気味な笑みを浮かべたことがあるだろうか。
私の一日で一番幸せだったその時間は、いつからか単なる睡眠という作業の準備時間へと変貌していた。
それは私が創作をする上で致命的な出来事だった。完全なるアイディア源の喪失だった。
そして、私は創作することを辞めた。
数日後の今日、彼は前置きもなく作った曲を送ってきた。
「…―コトバヲトリモドセ」
歌詞の最後の一行に息が詰まる。そして、その詰まりを解消するより先に、画面に文字が映し出される。
「任せたわ」
これは私が言葉を取り戻す物語。
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以下のイラストにつけるストーリーを練っている時に、楽曲提供者であるsatoriさんと話していて生まれたほぼほぼ実話です。
http://sdr-cmp.com/illust/381/
メタメタしいものになりました。企画内容にそぐわないためボツ。
上記イラスト・楽曲で(もちろんこれとは別の)ストーリー投稿予定ですので、気になった方は見ていただけたら幸いです。
『L1pT0n』という名義で投稿します。
また、ストーリー投稿の締め切りは今月いっぱいです。1000文字、書いてみるにはちょうど良い長さです。とても良いイラスト、歌詞、楽曲、歌い手様、たくさんたくさんあります、います。たくさんの人が参加して、盛り上がれば良いなと思っています。
+夏の風物詩とか言われてるスイカは嫌いです。
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