ましろ

私と私の周りにいる人の話、思い出話をします。女の人の話が多いと思います。

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マガジン

  • 私の核となりそうなもの

  • その人の記録

最近の記事

「かわいい」が苦くてたまらなかったころの話。

私に最初にコーヒーを飲むことをすすめたのは、細くて折れそうなぐらい華奢でかわいい女の子だった。 私の記憶に残る彼女はいつもフレッシュネスバーガーのお洒落な緑の映えるカップを手にしていた。決まって中身はブラックコーヒー。カフェインを取らないと眠くなるからって言っていたような気がする。 マックとかモスとかじゃなくて珍しかったから、鮮明に覚えている。それから今はもう廃盤になってしまった「ラップサンド」的な小さくて低カロリーな感じのものを昼休み中かけてゆっくりゆっくり小さな口で咀

    • 傍で歩み続ける物語ー『にくをはぐ』に揺さぶられてー

      『にくをはぐ』とそのSNSでの感想を通していくつかその人について思い出したことがある。 私には十数年の長い付き合いになる元の体が女性のトランスジェンダーの友人がいる。 普段はもう男性としか思えないのはここ最近の話。学生時代はよくいじめられていた。知っていて陰ながら庇ったこともあるし、知らないうちにいじめが起こっていたこともあった。 私自身良くも悪くもマイペースなうえに、自分自身も性別にさまよっていることもあって、男女の差ってそんなに大ごとなのかな?みたいな浮遊感を伴って生

      • 今年の私のテーマの話。

        年始というのはそれまでの一年の過ごし方が如実にあらわれる機会だと思っている。 私の生き方は極端で、とある一部の期間のことを欠落させたまま、その上に仕事とか人間関係を再構築している。精神的にダウンした期間をさもなかったことのようにしてバランスを取りながら生きている。勿論親しい人や家族は知っているけれど、公の場ではそんなことはなかったということになっている。 昨年ここ数年頑張ってきた仕事を転職した。だから年始は学生時代の友人と少し連絡を取るぐらいだろうと思っていた。そうしたら

        • 2019を振り返って

          やっと年末年始の休暇に入ったというのに、私ときたら3日間寝こけていて、今日になって色んなまとめを書き出した。それだから全部が少しずつになっているような気はしないではないけれど、とりあえずやってみる。帳尻合わせの得意な私らしい年末だ。 そもそも今年はnoteを始めた。自分の溜まっていく内面を書くつもりでいたら、すぐに昔の事を思い出せなくなってしまって、結果価値観が変わっていく私の進行形の悩みが多くなったと思う。 まだしたい話は山ほどあるのだ。感受性と涙の話とかカナダに行った

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        • 私の核となりそうなもの
          14本
        • その人の記録
          10本

        記事

          私がいつも泣いてしまうお芝居がある。

          2,3年に1回。クリスマスキャロルを題材にした『スクルージ』というファミリー向けミュージカルを見る。 子供の時のクリスマスの体験を主人公スクルージが振り返り、クリスマスを祝えなくなった自分を見つめなおし幸せの価値観を再構築していく話。命の重さとか善悪の価値観とか子供向けの分かりやすい文脈を大人になってから見ると、その分かりやすく描くために削られたものとか誇張された表現とかそういうものに気を取られることもある。それでも単純に説教臭い話だと感じて終わるのではなくて、時を経て変わ

          私がいつも泣いてしまうお芝居がある。

          また、不可思議で不安な夢を見た

          夢はほとんど見ない。 幼い頃はよく夢と現実の境界に悩まされて、怖くて仕方なかった。大人になるにつれて、消化しきれないものがある時や体調が悪い時など、何か普通じゃない時に夢を見るようになった。 ちなみに昨日以外で最近見た夢は大きな黒い犬を打ち付ける夢。少し遡ると「昨日見た夢」と私の夢の奇妙なメカニズムが書いてある。 私の中に深い記憶を残した人ほど出てきやすくて、それは期間とかじゃなく、印象的な体験であったかどうかが判断基準らしい。毎日のように顔を合わせていても会社の人が出

          また、不可思議で不安な夢を見た

          わたしの二番目の恋の話をしよう

          わたしの二番目の恋。それは小学一年生の頃。「恋」なんてたいそうな言い方をしてみたけれど、何てことない子供の記憶。 幼い頃のわたしといえば、クラスで分からないと困っている人の宿題を全てやってしまったり、誰も進んでやりたがらない人前に立ってやる仕事をずっとやり続けすぎて先生に「一度やった人は出来ない」とルールを書き加えられたり、クラスのガキ大将に歯向かってカチューシャを割られたりしていた。ちょっとした問題行動として親が担任に呼ばれたのは今だから分かる話だ。コーヒー牛乳が飲めなく

          わたしの二番目の恋の話をしよう

          私は自分が体験したことしか信じられない、そんな人間だ。嫌なことも辛いことも全部私の中に生きている。

          昔は優等生だった私の話をしよう。 すごく厭味ったらしい書き出しになっていることは百も承知だ。よく考えたら、よく考えなくても分かることかもしれないけれど、私が体験したことやせいぜい見聞きしたことぐらいしか私は書けないのだから、ないものねだりをしたって仕方ないと開き直り始めた。 私が優等生だったのは小学生までで、それより後は基本的に普通以下の落ちこぼれだったりもする。 勉強が出来ないと思ったことなんてほとんどなかった。運動もそう。基本的に全ての一番が当たり前で生きてきた。音

          私は自分が体験したことしか信じられない、そんな人間だ。嫌なことも辛いことも全部私の中に生きている。

          違ったはずの味覚が混じり合っていくのを、恋だといって仕舞えたら

          全然違ったはずの味覚が混じり合っていくのを、恋だといって仕舞えたら美しいような気がする。誰の目から見ても綺麗なものに映ってくれるんじゃないかと思ったりする。 そうじゃなかったとしても、一日に二回も、三回も口にする食の好みが同じであったならそれはもう一緒に暮らせるんじゃないだろうかと思う。これは願望よりも真実という感じがする。 それぐらい、わたしたち、お互いにお互いの好きなものを侵食し合っているって、あなたは気が付いているでしょうか。 ◇ はじめてグリーンカレーを出され

          違ったはずの味覚が混じり合っていくのを、恋だといって仕舞えたら

          人の真似はしない。誰にも憧れない。そんな彼女の話。

          「ねえ、ましろちゃん。人の真似をするのって、私は嫌い。女の子ってみんなお揃いにしようとか言うけど、私は嫌なの。そういうの」 駅ビルの中に入っている文房具売り場で、カラフルな消しゴムとかシャープペンシルとかキラキラのペンを見ながら彼女はそう言った。多分、十二かそこらの時。電車に乗って出かけた先で、何気なく彼女は口にした。ワクワクと文房具を買いに行ったことは間違いないのに、結局その日買ったものは忘れた。 私の周囲の人間はどうしてこうにも我が強いのかと思い起こしながら、笑みすら

          人の真似はしない。誰にも憧れない。そんな彼女の話。

          怖い夢をみた、私と彼の話。

          大きな黒い赤い首輪をした犬が三頭繋がれていた。間には何の応答もしない人がそれぞれ三人立たされていた。私はその犬を一頭ずつ順番に殴っていった。 目のところだけを執拗に繰り返し。黒い犬たちは何も言わない。灰色の大きな石を持ち上げて落としたりもした。黒い犬たちはやはり騒ぎもしない。声帯がないのか鳴き声すらあげない。咬みもしないのは麻酔か何かなのだろうか。眼球が濁っていく。それでも黒い犬たちは焦点の合わない目でまっすぐと私の方向をみる。 あいつはもう見えていないだろう、こいつはま

          怖い夢をみた、私と彼の話。

          私が見てきたリストカットの話

          私はあの子の、彼女の、あの人の、リストカットをどうやって止めたんだろう。記憶が曖昧になってきたから、少し書き起こしてみることにする。 ※今、自分がしているという方にはあまり気持ちの良い話ではないかもしれませんので閲覧はご自身の責任でお願いいたします。 ◇ 三年四年かそれぐらい前の話。 私の周りの人がリストカットを止められない周期に一気に入った。 仕事上の関係の人も普通の友人もいたけれど、確かに10代20代の女性が周りに多かったらそれはありえることでもある。症例として

          私が見てきたリストカットの話

          女の出産観にまつわる話ー「強い女」のウラ話

          「人間って単性生殖じゃないから、単独じゃ子供が産めないじゃん。誰かの遺伝子を体内に入れると、私の胎内から私の分身がにゅるにゅる出てくるの、生命の不思議って感じがしない?」 私の目の前で綺麗な女性が白ワインを片手にそう言った。ああ、私はこういう面白さを待っていたんだと思いながら大きく頷いた。彼女のグラスの中のワインはくるくると速度を増して回っていた。 「面白いね、それ」 私は彼女の目をまっすぐに見た。そうすると何度か彼女の目が瞬いた。ふさふさの睫毛がしなやかな影を作る。

          女の出産観にまつわる話ー「強い女」のウラ話

          私をどこかに受け継いだあなたが、今日の私を作ってくれる

          「結局、変化がないとダメなんです」 まあ飽きっぽいってことですけどね。と付け足して、彼女は微笑んだ。 どうにも私の根幹みたいな、ジェットコースターのように変化を楽しむ性質が彼女には受け継がれてしまったようだった。確かに元々あった部分ではあるが、そこが研ぎ澄まされてきたのは一層面白くなったなと、空っぽの器をみながら私は彼女の話に耳を傾けた。大学の話、生き方の話、仕事の話。どういう価値基準で物を考えているのかが明瞭で時々独特のこだわりも生まれてきたようだった。 ピンク色のネ

          私をどこかに受け継いだあなたが、今日の私を作ってくれる

          大人になるという感覚が私の中に入ってくる

          私はきっと大人になったのだと、今この瞬間だけでも思う。 ずっと、酒と飲み会が嫌いだった。生産性が落ちるという理由で嫌いだった。でもそれは単純に人と交わることに不気味さを感じていて、私が同質化されたくないという思いが人一倍あるからかもしれなかった。 どんな集団でも飲まないし、家族とも飲まなかった。 ところが最近、人前でお酒を飲めるようになった。どういう心境の変化かと聞かれたら、一つ自分の中で越えなければいけなかった成長の壁を乗り越えたからとしか言いようがない。それが何とな

          大人になるという感覚が私の中に入ってくる

          「自然に」「普通に」「当たり前に」そこに「戻る」、そういう言葉たちを私はいつも気にしてしまう

          「男は女を好きになることが、自然のことっすよ。良かったっすね、戻れて」 そういうような言葉が、ふっと耳を貫いていった。 分かっている。別に私をめがけて言った言葉でないことぐらい。私は主語である「男」ではない。それから本人に悪意がないことも分かっている。悪いと思ったらすぐに口に出して考えられる人だ。だから、そう。本人が悪いという可能性に気が付いていないということが妙に私の心をざわめかしていく。 私にもあるのだ。向上心がないとか、理解力があまりないとか、勉強が出来ないとかそ

          「自然に」「普通に」「当たり前に」そこに「戻る」、そういう言葉たちを私はいつも気にしてしまう