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意地っぱりのきみにも分かりやすい詩があったから。
読んでみてよ。
言葉は窓 (あるいは、言葉は壁)
あなたの言葉が、
まるで刑の宣告のように思えてならない、
裁かれ、追い払われるように感じてしまう、
立ち去る前に
どうしても知っておきたい
あなたの言葉はほんとうに
そういう意味だったのだろうか?
わたしが立ち上がって自己弁護をする前に、
傷ついたり怯えたりした気持ちで言葉を発する前に、
わたしが言葉の壁を築く前に、
教えてほしい。
わたしは正しく聞き取っていたのだろうか?
言葉は窓となり、
そして壁にもなる、
言葉によって人は刑を言い渡され、
言葉によって人は自由の身になる。
言葉を話すときも、
そして聞くときも、
どうぞこのわたしが愛の光に貫かれますように。
わたしには、いっておかなくてはならないことがある、
それはとても大切なこと。
わたしの言葉でうまく伝わらなければ、
どうか力を貸してほしい。
そしてわたしを解き放してほしい。
わたしがあなたをけなしている、
あるいは、あなたの存在をないがしろにしているように見えたなら、
いまいちど、わたしの言葉に耳を傾け、
わかり合える気持ちがあることに気づいてほしい。
ルース・ベベルマイヤー
NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版
心に響く詩だよ。
自分にも、相手にも、本当に伝えたい願いがある。
受け取りたいと思っている。
それなのにうまく上手くいかないのはなぜだろう。
今、『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』という本を読んでいまして。NVCは "non violent communication" の略です。非暴力コミュニケーション。
先の詩は本書の冒頭の部分で、まさにこの本の核となる考え方なんだな。
日本には思いやりの文化が根付いているけど、その思いやりのせいで意図しないやり取りが繰り広げられてしまうことが往々にしてあるよね。
思いやりとはすなわち「察すること」。
その「察し」が相手の感じていることと一致しているかどうかは分からない。
ーーわざわざ言わなくても分かっている(分かってくれている)ーー
顔で笑って心で泣いていませんか?
*
感謝でも怒りでも、そこには純粋な願いがある。
人というものは、自分が思っている以上に感謝の気持ちを表明してほしいと思っているし、
自分がなんでこんなにも気持ちを荒げてまで怒っているのか、その意味をくみ取ってほしいと思っている。
真意を確かめたいけど
ぐっと言葉をつぐんでしまうあなたにも、
感情に任せて相手をたしなめるような
言い方をしてしまうあなたにも、
本当に気が付いてほしい願いがあるよね。
時に、いい人とか優しさとか、そんなお為ごかし(※)な振る舞いに苛立ちを覚えることがある。俺もね。
顔で笑って心で泣いて、みたいな。
求めていることはそんなことじゃないのに!って心で叫んでさ。
(※人のためにするように見せて実は自分の利益を図ること)
NVCにはコミュニケーションのフレームワークがあります。
♦観察
この人物は何を感じているのだろうか。
何を必要としているのだろうか。
♦感情を見極め表現する
この人物に対し、わたしはどのように感じているのだろうか。
その感情の奥で、わたしが必要としていることはなんだろうか。
♦必要としていること
この人物は何を必要としているのだろうか。
わたしが必要としていることはなんだろうか。
♦要求
この人物がもっと幸せに生きるために自分の提案が役立つという信念のもと、この人物に対してどんな行動あるいは決意をするように要求すればいいのだろうか。
NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版
このフレームワークを意識できるようになれば、時に自分から、時に相手から、やりとりを続けるうちに自然と、すなおに心が通じ合わせることができる。
・自分が観察し、抱いている感情に気づき、何を必要としているのかを明確にし、人生を豊かにするための要求をする。
・そして相手が観察し、感情に気づき、何を必要としているのかを明確にし、人生を豊かにするための要求をする。
こんなコミュニケーションができたら本当に豊かだね。
人は気持ちを分かち合いたい生き物なんだってことがさ、分かってもらうこと、理解されることで幸せを感じる生き物なんだってことが分かるよね。
上っ面の関係に辟易しているそこのあーた
自分の気持ちなんて所詮誰も分かってくれねんだ、ってそっぽ向いてるそこのあーた
いっつも余計な一言が口をついて相手と気まずくなるそこのあーた
冒頭の詩のタイトルをよくよく嚙みしめてほしい。
願わくば、この本を一周して、その詩にまた戻ってきてほしい。
あなたの心の奥にある温かいものにきっと気付かせてくれるはず。