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サザンオールスターズ『LOVE AFFAIR~秘密のデート』はサビの横浜名所巡りが最高すぎて不倫の歌って忘れてしまうけど、めちゃくちゃ不倫の歌なんだよな。


 
 この曲を聴くたびに私は「くそう!」と思ってしまう。

 
 不倫の歌はもっとどろどろしていてほしいよな。
 なんか、愛憎入り混じって、情念渦巻くような。
 演歌とか銀幕の世界であってほしいのに。

夜明けの街ですれ違うのは
月の残骸と昨日の僕さ

 なんで、こんなに爽やかなんだよ。
 どうして、こんなにポップなんだよ。
 そして、その中に何を叙情的な部分も含んでるんだよ。

君無しでは夜毎眠らずに
闇をみつめていたい

 不倫を24才の甘い恋みたいに歌うなって。
 ライブの定番曲にするなって。
 盛り上がるなって。

振り向くたびにせつないけれど
君の視線を背中で受けた
連れてかえれない
黄昏に染まる家路
嗚呼 涙隠して憂う Sunday

 原由子、ハモるなよ。
 旦那、すごい歌詞を歌ってるぞ。
 ……まあ今更か。 


 さすが帝王、桑田佳祐って感じの『LOVE AFFAIR~秘密のデート』

 直接的な艶やかさが歌詞にないだけ、実はまだサザンの中では誠実なのかもしれない。本当に素敵な曲。爽やかな中に切なげなメロディ。

 そして、何よりサビのインパクト、である。

マリンルージュで愛されて
大黒埠頭で虹を見て
シーガーディアンで酔わされて
まだ離れたくない

 これこれこれ。
 この地名を羅列するという、M1でいうところのシステム発明漫才みたいな歌詞。本当にすごいよな。

ボウリング場でカッコつけて
ブルーライトバーで泣き濡れて
ハーバービューの部屋で抱きしめ
また口づけた

 で、羅列が並列に決してならない。
 横浜巡りのサビは、尻上がりに楽しげなデート模様を物語る。
 多幸感溢れる二人の旅路。

早く去かなくちゃ
夜明けと共にこの首筋に夢の跡

 けれど許されない恋としての二人。
 だから楽しげの中に切なさが織り混ざるのだろう。

逢いに行かなくちゃ
儚い夢と愛の谷間で溺れたい

 歌詞にある通り、儚い夢のようでもある。

 
 そして曲を聴き終え、メロディから目覚めて思う。
「いやいや、不倫の歌!不倫の歌!!」
 と。

 でも、案外男の言い訳に音楽がつくとしたら、こんな爽やかで切なげなものなのかもしれない。

 不倫はきっと儚げな夢。
 だからこそ楽しいし、だからこそ現実に戻った時の現実の手厳しさも、沁みるように感じてしまうのだろう。



 

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