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カニ

 カニ。
 めちゃくちゃ美味しい。

 大好きだし、カニが食卓にあるだけで思わず笑みが溢れる。
 カニだ、って。
 カニだあ、って。

 ちなみにカニがどうして、あんなに大きなハサミがご存じだろうか。
 嬉しくてピースしたい人間サイドの気持ちを表してくれているそうだ。 
 申し訳ない、めちゃくちゃ嘘である。


 ただ。
 本当、これ。
 言っちゃいけないこと言っちゃっても良いだろうか。
 
 どうしよう。
 消されるかもしれない。
 明日から更新がなくなったらそういうことだと思って欲しい。

 あの。
 その。
 カニって、めちゃくちゃ気持ち悪くないだろうか。

 
 カニがとても美味しいという事実を一旦棚に置いて考えてみてほしい。
 
 まず、足、めちゃくちゃ多い。
 そのまま、足の根本見よう。
 
 めーっちゃ気持ち悪い。
 美味しい美味しい言って食べてはいけない密集具合。

 しかも足の身をほじって食べるときた。
 ほじるて。いやいや。
 
 ほじった身を取り出して、あまつさえねぶるわけである。
 足の密集した箇所見てみよう。
 美味しさでは隠しきれない気持ち悪さ。
 我々はこれをほじりねぶるわけである。

 しかも、この多い足を使ってどうやって歩くかといえば。
 横歩き。
 横に歩くためにそんな足をつけてるのか、と。
 どういう思考回路だ。

 できるだけたくさんの足をつけて横歩きしたい。
 カニの、カニの、小さな願い事。

 その結果がこの足の密集具合。
 願い事を叶える代償に、気持ち悪さを得たのだろうか。


 いや、我々、食べるという前提で彼らを見ているから「おっ、元気やね。」「活きがいいね。」と思うが。

 あれを食べないと考えたら「うわああああ」「いやあああ」だと思う。大きなハサミで、多足で、しかも横歩き。
 
 あと目。
 目が終わってる。

 終わってるで言えばカニ味噌もだ。
 カニ味噌て。
 味噌て。
 なんというか人間の欲みたいなものが垣間見える。
 そこまでして美食を極めたいのか、という。

 いや、それで言ったらカニパン、である。
 カニをパンにする、とは。
 多足密集地帯を見て欲しい。
 パンなんて生やさしいものじゃない。
 せめてナン。
 せめて、ナンである。  
 カニナン。

 結局、カニなんて二文字で親しみやすいからいけないのだ。
 名前を変えよう。
 あの邪悪な容姿に似合う名前を。
 
 ゲベヘゲ。
 ゲベヘゲである。
 あの多足具合は、ゲベヘゲで差し支えないだろう。

 横歩きするゲベヘゲ。
 泡を吹くゲベヘゲ。
 水槽いっぱいのゲベヘゲ。
 
 タカアシゲベヘゲ。
 タラバゲベヘゲ。
 
 ゲベヘゲパン。
 ゲベヘゲ雑炊。
 ゲベヘゲクリームコロッケ
 
 ゲベヘゲさん歩きして進みましょうねー。
 ゲベヘゲ江敬三。
 
 猿ゲベヘゲ合戦。
 手伝ってもらう前に猿にも勝ちそうである。

 ゲベヘゲエ・ウエスト
 ゲエて。

 
カニ「おい人間。」
筆者「な、なんだ。」
カニ「一番気持ち悪いのはよお。足の多い俺たちじゃなくれ、そんな自意識をひけらかす人間、お前らじゃないのか?」
筆者「……」
カニ「ただ生きている俺たちに対して、気持ち悪いだの、カニナンだの、挙句の果てにはゲベヘゲエ・ウエストて。カニエウエストはカニじゃあねえよなあ?」
筆者「……」
カニ「ああ、人間って気持ち悪いなあ。ああ。」
筆者「……」
カニ「ちなみによお、カニなんてのは雑食でなあ、海に浮かんでるもんは何でも食べちまうんだ。魚の死体とか、海亀の死骸とか」
筆者「……人の遺体とか。」
カニ「ああ気持ち悪い。人間なんて気持ち悪い。」

だけど、とってもうまいんだよなあ。


 これが本当のカニバリズムか。


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