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F. タレガ「アデリータ」〜 「青本」和声分析44
F. Tárrega: Adelita 概要
こちらもLagrima同様クラシックギターを学ぶ人には言わずと知れた作品。
ホ短調、A - B - Aの三部形式。中間部ではホ長調に転調する。
和声分析
1A & 2A
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A - B - Aの三部形式で冒頭と最後のA部分は同じなので最後の部分については省略。
最初の小節から非和声音が印象的。Eに解決されない Disがどこか異国情緒を感じさせるような?
3小節目3拍目は属七の和音にしたが、Gは非和声音。またDisからGへの上行の音程は対位法等では良いとされない減4度となっている。この辺りの音の使い方はスペインの音階というかアラビアの音階というかの影響かもしれない。
B
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ホ長調に転調。
T - SD - Tの進行が多め。またここまでくると、この作品内ではT - SD - D - Tの進行の時のSDではIVが使われていないことがわかる。
下段のフェルマータのついた和音も印象的。これはVに対するドミナントの第5音を半音下げたものの根音省略形。
その次の和音は単にVとしたが、属九の和音のようでもある(ここでは非和声音として処理)。
そして最後のI - V - Iの進行はこの曲の中で唯一となるT - D - Tの進行となっている。