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G. サンス「二つの小品」〜 「青本」和声分析34
G. Sanz: Dos Piezas 概要
EspañoletaとTorneoの2つの舞曲からなる。
ただIMSLPではそれぞれ別に掲載されているので、元々まとめられていたのか別の曲なのかは不明、というかそこまでは調べていない。
G.サンスはバロックでも初期の作曲家なので、芸大和声的な見方はそぐわないかもしれないが、一応その解釈で見ていく。
和声分析
Españoleta
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これは冒頭からちょっと困った。
ニ短調で始まり、その主和音が鳴ったその次でCisではなくCが出てきたのでエオリア旋法か?と思ったが、その後はへ長調的なので最初からへ長調のVIと読み替えて和声記号を振った。そして2段目最後の3小節でようやくニ短調らしい終止形に。
3段目は少々不思議な和声進行となっている。他の調に読み替えると複雑になるのでニ短調のままで記号を振った。
まず3小節目Vからはイ長調的な和声進行となっている。T - D - Tときた次のIIIは、イ長調のIからイ短調(同主調)のVIへの進行となっている。
そしてこのIIIからIVへの進行はハ長調のSD - Dの進行と同じ。ただCisが出てくるからハ長調的ではない。
IVまできてしまえばあとは通常の和声進行だが、最後のIは空虚和音となっているのでニ短調的ではない。
改めて全体を見ると、ニ短調的な部分はほとんどないので、調は「ニ調」としておいた方がいいかもしれない。
Torneo
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Españoletaとは対象的にテンポは早く明るい調子のTorneo。
5度の連続があったりはするけれども、ニ長調の基本的な和声進行となっている。