冴えない男たちのバイブル『最強伝説黒沢』
「あの日、オレは唐突に分かってしまった…感動などないっ…!」
職場の仲間たちとワールドカップを観ていた黒沢でしたが、他人の感動ではなく自分自身の感動が欲しいと思います。
高校を卒業してから26年間『穴平建設』に通い続けていますが、漫然と過ごしている地味な日々は、カレンダーの四角いマスを塗りつぶすだけの塗り絵と揶揄します。
なぜそんなに悲観しているかというと、自分の誕生日に誰も気づいてくれないからです(笑)
ひとり寂しく居酒屋で晩酌した帰り、同じく酒を飲んでいたと言う後輩たちに遭遇した黒沢は思います。
「入ってねえのな、数に…」
後輩たちに祝ってもらおうとしていたことを恥ずかしいと、人恋しさが惨めだと、心のうちを吐露します。
誘導棒を振り続ける人形『太郎』に。
そして思うのです。
「人望が欲しい…!」
この決意から黒沢の最強伝説が始まるのです。
勤務中にビールを差し出したり、みんなに配膳される弁当にこっそりアジフライを入れたりして好感度をあげようとしましたが困惑されます。
さらに仕事の出来る社員に対抗心を燃やすも上手くいかなかった挙げ句に送迎車に置いていかれるなど、とにかく可哀想になってきます。
途中から不良中学生とケンカする内容になってきて、ケンカを通してクセのある人たちに慕われていくのですが、もうその時点で人望は手に入れているんじゃないかと個人的に思います(笑)
でも黒沢は”まとも”な人から慕われたかったのでしょうね(笑)
不器用ながらも、強大で無慈悲な人生にあがく黒沢に共感しながら読んでいました。
持って生まれたもののどうしようもなさは、誰もが感じることでしょう。
才能やら環境やら容姿といった生まれた瞬間に決まることは理不尽です。
そんなことにもめげずに立ち向かう黒沢の勇姿は、見ていて思うところがありました。
打ち切りで終わっちゃったんですが、正直こんなに面白いマンガを打ち切った理由がわからないです(汗)
最後に、僕の心に残った名言があります。