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Twitter300字ss

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Twitter300字ssの投稿作品置場。毎月のお題に沿って各執筆しております。どのお話も300字きっかり、サクッと読める掌編小説です。お味見にぜひ(´-`) (※毎月第1土曜…
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手仕事

手仕事

 パキン パキキ パキ   ベキッ
「また割った!」
「姉ちゃん、うるさい…」
 少年がうんざり顔で机に突っ伏す。
 父親がその一枚を無言で拾い上げ、検分する。
「うん、ダメだな」
 しょげ返る少年。

 初夏の鱗竜飼いは繁忙期だ。
 早春に婚姻色に染まった鱗が、この時期大量に落ちるのを集めて、細工物用に加工するのだ。
 親指大の一枚を三枚に剥ぐのだが、二層目と三層目を分けるのが特に難しい。
 真

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翠の箱庭

「いつ来てもほんと凄いですね、ここ」
 助手が辺りを見回し、感嘆の声を漏らす。
「これが人工の空間だなんて」
「そうだな」
 彼はおざなりに返事をし、足元に置いたケージの扉を開けた。
 暫く待つと、掌に乗る程の小さな竜が顔を覗かせる。
「このコも売約済みですっけ」
「ああ」
 羽音を響かせ飛び去る姿を見送り、彼は深く息をついた。

 採集数は国よって厳密に管理されており、ピクシー達はこの温室で一生

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紙飛行機

 広い部屋の中を、紙飛行機が滑ってゆく。
 天蓋付きのベッドから対面の壁に向かって真っ直ぐに。
 そのままぶつかり、鼻面をひしゃげさせながら落下する。
 壁沿いの床は、さしずめ紙飛行機の墓場だった。
 床に散らばるそれらを片付けながら、執事が主に声を掛ける。
「坊ちゃん、シシリー様から贈り物です」
 応えはない。執事は構わず続けた。
「今度は絶対に気に入る、とのことですよ」

 広い部屋の中を、紙

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王座

王座

「やっておくれ」
 促され、歳若い侍従がその手の剃刀を動かすと、次々と髪の束が床に落ちた。
「そんな顔しないで、スィ」
 椅子に掛け、四阿越しに見上げる青空に、白い鱗の龍が身をくねらせ泳いでいる。

「あの龍だって、本当ならリェン様のものなのに」
「龍が王の乗り物だったのなんて昔の話さ。兄達のような武力の持ち合わせはないし、このままでは私の命はない」
 四阿の床に点々と侍従の悔し涙が落ちる。
「私

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主 従

『殺さないでくれ』

 声も出せない様子のそいつから放射されているそれは、祈りってやつだったのかもしれない。
 俺には分からん。高次のモノに祈った事などない。
「俺が手を下すまでもなく死ぬさ。騎竜を落としたかったんだが、まぁ騎手でも問題は無いな」
 大振りの弓を背負い直し、目の前に転がる男を見下ろす。
 その目の奥の懇願。
「…?」
 と辺りが翳り、俺はその場を飛び退った。
 さっきまで居た位置に

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さよなら キャラバン

さよなら キャラバン

 嵐の去った砂漠の只中で、干からびた砂色の竜の仔を見つけた。
 まだ生きている。
 急いで隊に連れ帰った。

「砂竜は情深い、ひと月も経ってやって来た親竜に全滅させられた隊もある」
 お婆が渋い顔をする。
 隣のユーランが頭をかきかき言った。
「カラカラで転がってたから放って置けなかったんだよな… 婆ぁ、目付なのに目ぇ離した俺が悪い、今直ぐ連れて出るよ。リロ、お前も来い、支度すんぞ」
 ユーランに

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密やかなる教理

密やかなる教理

 その隠れ里の岩戸の奥には、鎖に繋れた竜がいる。
 僅かの灯りにも真珠色に輝く、神秘的なその鱗。
 足元には、白絹の衣を身に着けた病の男が横たわる。
 呼吸が細く、忙しない。

「逝クカ、ろろすヨ」
「短い間しか、務めを為せず… 申し訳ありません、ウル」

 延べた男の手に、竜がそっと鼻先を添える。

「貴方から見れば、我らの一生など、虫の一時でしょうに… 都度の恵みに… 感謝を」

 捧げ持つ美

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托卵

托卵

 あんな大人しい老竜に振り落とされるなんて、運の無い奴。
 同期の嘲弄をベッドの上で聞く。
 左足は元に戻らないそうだ。両の足で操る通常の騎竜に乗るのは、この先も不可能と言われた。
「育者への道もある、気を落とさないで」
 医者の取り成しが耳を滑る。

「いよっ」
 三日後、豪放に笑う飼育担当の学園教官が訪ねて来た。
「育舎の白竜のだ。暇ならそれ、温っためてろや」
 投げ渡されたのは、卵。
 
 

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春眠

春眠

 欠伸が出る。
 長閑な春の昼下がりだった。
 宿を出て街道沿いで露店を出したが、気が付くとうつらうつらしている。
 昨夜は寒くて眠れず、酷い寝不足だった。
「駄目だ、眠い」
 大きな桜の木の下で、そのままごろりとひっくり返る。
 あらかたの花は散り、葉桜になり掛けの中途半端な枝先が目に入る。
 ハクロも宿に泊った翌日は、よく眠そうにしていた。
「テイ、お前のせいだぞ」
 愚痴を溢しつつ懐に抱いた

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背守り

背守り

「お手を煩わせちまって」
「お得意のあなたの頼みです、訳はありません」
 そう言って女は微笑んだ。


「随分と可愛らしいお頼み事ですこと」
「本来は産着にするもんなんでやしょうけど」
 男はそう言って頭をかいた。
「道中、後ろを気にせず歩ければと思いやしてね… 気休めですが」
 女が静かに首を振り、手元の刺繍を撫でる。
「たかがおまじない、されどおまじない… この縫い『目』がちゃんと見張ってくれ

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選択

選択

 やぁや、そこ行く旦那、どうしなすったそんなに目を釣り上げて。まるで怒気が陽炎の様じゃないか。随分と深い怨みがありそうだ、あっしに聞かせてみちゃあくんねぇか。

 ほぉ、行商に出ている間にお子が竜神様の生贄に、女房は後追って自死、そいつぁ気の毒に。本当は息子の番でなかったのに勝手に繰り上がって白羽の矢が立ったのかい? 今年で八つ、漸く順位から外れるはずだったのにと。そりゃぁ業腹なこった。それで復讐

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夕餉

夕餉

 皆が箸を付けるまで膳に手を付けてはならない、と厳しく躾けられてきた。
 家族の食べる座敷の膳はとても豪勢で、村で頭抜けた贅沢が許されるのはその家にお役目があるからだが、土間に座らされる子供に同じ膳が出された事は無かった。
 子供はこの家の末子と云われている。がその実、血の繋がりは欠片も無かった。

 未曾有の嵐が到来したある晩、風呂に入れられ、座敷の上座に座らされた。
 供される、豪勢な膳。

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水底に棲むもの

水底に棲むもの

 ずっと、暗くて冷たい場所に居た。
 寂しい、寂しい。
 ゆらゆらと伸ばした指先が、不意に外気に触れた。
 冷たい夜気の気配。
 恐る恐る周囲を探ると、何か温かいものに触れた。
 ああ、温かい… 温かい!
 暴れるそれを組み伏せて、皆が我先にと縋った。
 満足のいく頃には、それは死にかけていた。
 冷たくなったそれに、私達は狼狽た。
 通りすがりに介抱され一命を取り留めたそれは「加減を覚えろ」と言

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橋の向こう

橋の向こう

 吊り橋の目前、その高さと下方のせせらぎに、足が竦んだ。
「ほれ、渡るぞ」
 背中を押され、嫌な記憶が蘇って、強く足を踏ん張った。
「何だ、怖いのか」
 からかいの交じる声音。
 が、すぐに尋常でない様子に気付き、顔を覗き込む。
「どうした」
 震えて声も出ない。
「…そう云えば、川岸に流れ着いてたっけな」
 男は呟き、ひょいと、おれを抱え上げた。
 汗で冷えた体に、男の体温がぬくい。
 と、その

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