将棋ラブ!フリーセックス万歳!
あれは、そう、10年前のこと。
無理をして進学校に入学し、青白い顔で勉強に励んでいたあの頃。
私は、「ヒカルの碁」というアニメに出会った。
衝撃だった。
格闘アニメを彷彿とさせる爽やかなオープニングソング「Get Over」。
中学生になりたてほやほやなのに前髪だけ金髪というド派手な髪型の主人公ヒカル。
ジョジョの奇妙な冒険よろしく背後にめちゃんこ強い幽霊を背負っている主人公ヒカル。
囲碁という圧倒的に陰キャラ感漂うゲームを爽やかに楽しそうにプレイするスーパー陽キャラ主人公ヒカル。
このヒカルという少年は、末恐ろしい。
碁盤をひっくり返さんばかりに驚いたのを、昨日のことのように覚えている。
と、ここまで書いていて、思った。
なぜ私は将棋にハマったのだろう。
囲碁でよかったのではないか。
10年も前のことなのではっきりとは覚えていない。
が、なんとなくその頃、思っていた。
囲碁より将棋のほうが、かっこいい。
駒に「飛車」や「金将」や「桂馬」と達筆で刻み込んである。かっこいい。
敵陣に斬り込んだら、成れる。雑魚キャラの歩兵ですら、と金になり輝く。かっこいい。
囲碁は19×19だけど、将棋は9×9。かっこいい。
てな感じで。
正直に言うと最後の理由が一番大きい。
囲碁より将棋のほうが簡単そう、これだ!
オセロより難解だけど、囲碁よりは簡単、それが将棋だった。
それと、囲碁は基本的に「囲う」ゲームだ。
これが性に合わなかった。
囲うという行為に魅力を感じなかった。
相手の王将をぶっ倒してなんぼだろ、と。
そもそも私は囲うということをしたことがなかった。
クラスにいる特定の女子を囲うなんてことはしないタイプだった。
独占欲があまりないのかもしれない。
25歳になった今でも、女性を囲うことはしない。
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閑話休題。
本屋で立ち読みして基本的なルールを覚えてからは、ネット将棋にのめり込んだ。
指して、負けて、指して、負けた。
これは、2回指して2回負けたということじゃなく、レトリックとして受け取ってほしい。
数千回負けている。
そうすると、無性に勝ちたくなった。
勝ちたくなると、どうなるか。
知識を得ようとする。
人類の最初期、文明もままならないプリミティブな時代に、わけも分からないまま疫病に倒れて死んでいく身内を目の当たりにすることで、人類は知識を共有する大切さを知ったのだ。疫病に対する知識があれば、生き残る確率は上がる。
私は、敗北という疫病に罹らないように、知識を得ようと必死になった。
書を読み、ググって、試行錯誤した。
そうすると1年も経たないうちに初段の人と互角に戦えるようになったのだから、きっと間違っていなかった。
このあたりの「試行錯誤」については追って書いていこうと思う。
そして、現在。
東京は千駄ヶ谷にある「将棋会館」というプロの棋戦も行われる由緒正しき場所で、私は「二段」と認定されている。
二段ってどのくらい強いのか。
将棋には「級」と「段」があるが、前者は数字が小さいほど強く、後者は数字が大きいほど強い。15級、14級、13級…ときて、1級の次が初段、二段、三段…という風に。15級から九段まである。
細かいけれど、級の場合はアラビア数字、段の場合は漢数字で記述するのが通例。
と、こう言われても想像しにくいと思うので参考までに。
いわゆる将棋道場というところに行くと、二段であればおっちゃんたちにけっこうすごいねと言われるレベルだ。勝率は8割くらい。
ひとつ付言しておくと、さっきから言っているのはアマチュアの段位。
プロも九段まであるが、強さの基準はアマチュアとはまったく違う。
だいたい相場では、プロの(正確にはプロの養成機関「奨励会」での)二段が、アマチュアの六段くらいと言われている。
やっぱりプロはバケモンなのだ。
結論、私はそのへんにいるお兄ちゃんの中ではまあまあ強いということになる。
将棋については一家言ある。
世の人々にもっと将棋を好きになってほしいから、書いていく。
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