ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』(2018〜2022)
2018年11月3日@久留米シティプラザ
2020年7月19日@LIVE配信
2020年8月5日@LIVE配信
2022年11月10日@博多座
「1番好きなミュージカルは?」と聞かれることがある。どのミュージカルも素晴らしく1番は決められないのだが、「ジャージー・ボーイズ」だと答える。
作品紹介
2004年に世界初演、翌年2005年にブロードウェイに進出し、トニー賞作品賞ほか3部門受賞。2014年にはクリント・イーストウッド監督により映画化。
「ザ・フォー・シーズンズ」の大ヒットナンバーで構成される。
『ジャージー・ボーイズ』の魅力
”天使の声”トワング
トワングと呼ばれるフランキー・ヴァリの独特な歌声。ファルセットとは違う発声方法で高い音域を歌わなければならない。ミュージカルで「フランキー・ヴァリ」役を演じるには、フランキー・ヴァリ(本人)、ボブ・ゴーディオ(本人)の審査で合格をもらわなければならない。
ダブルトラック
「ダブルトラック」とは、同じメロディを二重録音することだ。「ザ・フォー・シーズンズ」活躍当時は画期的な手法だったようだ。しかし、ミュージカルのような舞台上では”同一人物では”二重録音を再現できない。
そこで、『ジャージー・ボーイズ』ではダブルトラック担当のキャストがメインキャストの声色に寄せて一緒歌うことで、このダブルトラックを再現しているのだ。
すなわち、出演者はほぼ休みなく歌っているのだ。
ダブルトラック担当のキャストは物語に溶け込み、影コーラスのように舞台上で一緒に歌っている。そのハーモニーが作品の魅力であり、主人公とも言えると考えている。
ジュークボックス・ミュージカル
「ジュークボックス・ミュージカル」とは、その作品用に書き下ろされた曲ではなく、既存の曲を用いること。つまり、『ジャージー・ボーイズ』では「ザ・フォー・シーズンズ」の曲を使用している。
この曲の使い方がポイントで、作中では「歌うべき場面」、例えば、歌番組の中継シーン、ステージで新曲を披露するシーン等。だから、「ザ・フォー・シーズンズ」の軌跡を振り返りながらライブに来たような感覚で観るのが楽しい。
日本オリジナルのセット
ブロードウェイでは2階建てのセットだが、日本では演出の藤田さんのこだわりで3階建てのセットになっている。この3回部分には大きな鏡があり、「楽屋」のようなイメージだ。4人並んでメイクをするシーンもある。
このインタビュー動画を観て、演出家の藤田さんの『ジャージー・ボーイズ』へのこだわりや熱意がよくわかる。『ジャージー・ボーイズ』のファンはぜひ観てほしい。
4人の”語り手”
「ザ・フォー・シーズンズ」にちなんで4つの季節に分け、春をトミー・デヴィート、夏をボブ・ゴーディオ、秋をニック・マッシ、そして冬をフランキー・ヴァリが語り手として話が進む。その語りてから見た「ザ・フォー・シーズンズ」物語なので、「この季節では仲が良かったメンバーがこの季節では距離が遠い」という場面もあるのだ。その演じ分けも見どころのひとつだ。
音楽が主役
とにかく音楽を楽しむミュージカルである。ボブ・ゴーディオが登場し、初めて4人がハーモニーを奏でる「Cry for me」は、何度聴いても身震いするほど感動する。
グループの挫折。4人が喧嘩するシーンは何度観ても辛い。今まで溜め込んでいた不満を吐き出しグループを去るニックの背中はいつも儚い。
でも、また最後に4人集まりフィナーレへ向かう演出は素晴らしく感動する。
また4人の人生に出会えますように。
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