関西から東京へ転勤したおの〇わ君への手紙――2016年頃(東京B級グルメ編)
1、ジャポネ
【有楽町】
大盛りスパゲティで有名。横綱は店長の許可制、いちげんさんおことわり
2、キッチン南海
【神保町】
生姜焼きと揚げ物セット、カツカレーで有名。ふつうと大盛りの差がすばらしい
3、天龍
【銀座】
ねぎと白菜、豚肉、においなし。女性をさそうならここ
4、こうや【閉店】
【矢口渡】
家系ラーメンの名店、大はやめて中か小にライスとチャーシュー皿がおすすめ、キャベツラーメンもまたよし
5、蕎麦屋各店
【東京各所】
東京と大阪を比べるのはよくあることだが、東京と大阪の大きな違いは蕎麦屋の使い方やとらえかたであると感じる。「丸屋」「朝日屋」など、ふつうよりちょっといい蕎麦屋の味は大阪人もうまいと思わないのは残念だし、もったいないであろう。まずカツオ、ソウダ、サバ節系のずどんとした濃いだしに濃口の醤油のそばは飯にあう。ごはんと「かしわなんばん」とを冬になると必ず頼んだものだ。更科系の白っぽいそばを固めにゆでてもらい飯と食べる寒い時期の同メニューをまずいという人間はたぶん信用できないと思う。
6、やぶてん
【新宿・思い出横丁】
親爺が最近娘にかわり昔の味ではなくなっているが、東京の定食を知るにはここ
7、カルボ
【浅草】
大盛りスパゲティで有名。おそらくジャポネインスパイア系。だいぶおしゃれになっているが、持ち帰りの「ヤマ」サイズがおすすめ、サイドメニューもうまいがまずは「ミカド」をたのむのがよかろう
8、立ち食いソバ
【東京各地】
品川駅構内の常盤軒をはじめ、都内駅前に点在するチェーン店は関西にはない質がある。「箱根そば」「富士そば」「かめや」その他、いまや外国人がディナーに訪れるほど。東京が世界に誇る文化。東京の立ち食いそばの醍醐味は「玉ねぎかき揚げ天ぷらそば」や「コロッケそば」であろう。その昔、神保町にうなぎの寝床のような立ち食いそば屋があった。かどや製油の缶が積んであり、ライスがどんぶりで食べられるという素晴らしい店であった。金のない編プロ時代はそこで一日の二食三食を食べていたときもあった。多種多様な小さな天ぷらにご飯にそばという、ほぼ炭水化物の夢のようなおいしい立ち食いそばだったよ。余談だったが、たのしんでくさいぬ。
9、いもや【閉店】
【神保町】
てんどん、てんぷら、とんかつと三種の店が点在する。残さなければ大盛り無料、あぶりがっこ無料、その意気やよし。てんやにせよ天ぷらのチェーン店は東京もまけまへん
10、三州屋
【銀座ほか】
三河は愛知県西部の旧国名。黒いのは三河の特徴でもあるが、だしをしっかりとり当たり前につくればうまいものはうまいということが分かる店。とりと豆腐の汁椀のような単品や刺身定食だけでなく、煮物を味わうとがてんがゆくはず。東京を理解するにはここ
【総評】
大阪の人間が東京のまずい食事をわらうということはかつてはふつうだったと思うが、いまは大阪の味は東京に浸透し、さらに全国のうまい料理が進出して、いわゆる東京の味というのはほぼなくなっているといえるかもしれない。
しかし、東京という土地柄から出てくる味の違いはある。そういう差をたのしめない人間というのはたいへんつまらないと思う。
個人的に挙げたリストは私個人を通して好んだ味であり、私が感じ取った東京の味である。だから、私と同じ体験になることはありえないし、まずかったり、がっかりすることもあると思う。しかし、それこそが食の醍醐味である。
食の好みは主観。しかし、主観がそれを支持しあい共通に「美味」と感じることは「ひとの業」としてはたいへん興味深いことだと個人的には考える。そう考えない人間と話すことはあまり興味がない。
というわけで、体に気をつけて食べまくってください。たぶん痩せない。太ると思います。東京はある時期から「合う」と思います。
©gogyou chirin 2023