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心に刺さるドラマ

野木亜紀子さんの描くドラマが大好きだ。
最初に出会ったのは「重版出来」というドラマ。
落ち込んでいる時、何度となく観る。
以来、野木作品は欠かさずチェックして観る。
人へのまなざしが、セリフが、人間という生き物に忠実な気がする。
そして、必ずどんな苦しい現実(シチュエーション)でも
希望を捨てていないメッセージを感じるから。

今回のコロナ禍で、楽しみにしていたドラマがようやく始まって
今日は2回目の放送。
刺さったなー。もう、さすが、と言うしかない。
演じた役者の方々、本当に素晴らしかった。
今回は、親に支配された怒り、それによって自らの人生を歪められたことに復讐と謝罪を求める子どもと、
自分の子どもを信じられなかったために、唯一無二で大切な存在を亡くし、2度と謝ることのできない親がクロスしていくストーリー。

「こうなったのは、全部あいつのせいだ」
「こいつの!こいつの!こいつの!(せいだ)」と叫びながら、
父親の写真に刃を立て、さらに
その父親は他界していた事実が明かされ、謝罪されることはもう無いことを知り、
「まだ一度も謝ってもらってない!」というやるせなくて悲しい怒り。

反対に、もう2度と謝ることはできない親は、亡くしてしまった子どもと重ねて、
「約束を守れなくてごめん、ごめんね。」と彼に向ける。
その声が、彼に刺さる。

人は殺してはいないけれど、どちらの立場でもあり大人になった私は、
親を許したつもりになっていながら
親に対する怒りはきっと心の奥底にあるのだ。
「親のせいで、こうなった」とは言わないぞ、
あんな親のせいで私の人生がどうこうなってたまるかよ、という思いと同じぐらい、生きづらさはずっとあって、
つい育ってきた環境のせいにしたくなる時がある。
反対に、子どもに対して、自分は本当はどんな親であるのか、
いい親でありたいという独りよがりな気持ちばかりで
その実、子どもの本当の気持ちは分かってないのではないか。

そんなことを、野木さんのセリフの一言一言を胸に受け
自分の見たくない心の奥底にある絶望感と、
きれいな富士山のシーンに、すがすがしさを、感じた。


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