『好き好き 大好き!』 ②中井精也

いちおう「医療機関に出入りする仕事」に従事の身。
まだ旅行も解禁していません😥

今回ご紹介するのは人物です。中井精也さんは「鉄道写真家」。現在は主にNHKの「絶景てつたび」のキャストとしてメディアで観ることが出来ます。彼を知ったキッカケもコロナ禍。旅番組にすっかりハマっていた私は、偶然この番組をとおして彼に出会いました。一度見たら忘れられないキャラクターと鉄道のある風景にこだわる番組の構成に、いつの間にかリピーターになっていました。私は番組の中心である「中井精也さんの魅力」にスポットを当ててご紹介したいと思います。

1.鉄道写真家としてのこだわり
皆さんも身近な駅で一度は見かけたことがあると思うのですが、鉄道ファンの中でも「撮り鉄」と呼ばれる方。やはり見かける風景としては“カッコいい鉄道の姿”に注目していらっしゃるように、私には見えていました。たしかに物体として・機械として・乗り物として“カッコいいなぁ!ステキだなぁ!”と思うことは私もなくはないです。でも、中井精也さんの写真は
「中井精也らしさ」がしっかりあると感じます。ポイントは何といっても“鉄道のある風景ごと残す”ということ。ご本人も番組の中でくり返し、季節感や自然にたしかに出会ったことを鉄道と共に残したい趣旨のことを
言っています。“今、ここにいたから撮れた写真”を見せていただくワクワク感を番組をとおして味わえるんです。また、写真家としての技術にも感心させられることが多く(私はスマホのカメラでも”使いこなす”にはほど遠い機械オンチで、写真はまったく詳しくはありません。)彼の作品の多くに見られる技法「水鏡」の写真が特に好きです。「水鏡」というのは、川や水田のような水のある景色に逆さまに被写体が写る様子を言います。
鉄道のような「動くもの」を狙って撮る場合はひたすら待つこともあり、限られたシャッターチャンスをしっかり捕らえる技には感心してしまいます。
“プロってすごいなぁ!”という歓声を、番組中何度も上げてしまいます。

2.中井精也のマインド
「絶景てつたび」では中井精也さんの人柄も満喫できるのが何よりの楽しみ。ひと言で彼の魅力を伝えるなら“癒やしと人柄”。彼の鉄道のある風景を留めるという基本にはブレがありません。にこやかな表情の裏には、ひたむきなまでの鉄道とそれが走る風景や背景への愛と情熱があります。
私が彼の虜になった決定的シーンがあります。ベトナムの鉄旅の際、田園風景の中を走る列車撮影のために訪れた農村でのひとコマ。許可を得て撮影し、田んぼの持ち主である現地の方とのやり取りの中で、自慢のお米をいただけることになった精也さん。現地の方が食べる家庭料理が並び、炊きたてのご飯が丼に登場。お腹を減らしてたであろうことは想像が出来るのですが、精也さん…何とご飯を食べながら涙を流し始めたんです!!!
“なんて心のキレイな方なんだ!”
彼いわく“遠い国から突然来て、ただ写真を撮りに来た自分に、大切なお米をこんなに温かなおもてなしで迎えてくれるなんて…!”と涙していたのです。こんな理由で、カメラの前で泣ける精也さんに、私も涙が止まりませんでした。コロナ禍に放送されたこの回は、自由に海外に行けた頃撮影されたものだったようですが、自由を奪われた者にとって“心に風が吹いたような”新鮮な感動がありました。
“ご飯を食べながら泣ける人に、悪い人がいるわけない!”
以来、私は中井精也さんのファンなんです。
彼の撮影の信条が“どんな状況でもステキな景色に会える”。だから番組中、彼はじつに待ちます。粘り強いです。そしてシャッターチャンスを祈ります。この番組では彼の撮影のために「特に何かをする」ことが“基本ないよう”です。(私有地とわかっている場合は、もちろん事前交渉をするようです。)精也さんは季節感や自然も、ご自分の作品のメインである鉄道同様に大切にされます。
“田植えの季節の慌ただしさも撮りたい”とか“人がいて鉄道がある「愛おしい営み」を残したい”など、心にグッとくる名言も番組の隠れた見どころと私は思っています。

3.理想的な撮り鉄像
番組を観ていて私にもたらされた大きな気づきは「意外な人のコミニュケーション力」です。じつは私は番組を観るまで「撮り鉄」と呼ばれる方に対して漠然としたイメージしかありませんでした。鉄道の好きな方が目的の場所まで出かけて、鉄道の写真を撮ってくるというものです。しかし、番組で精也さんの活動パターンを観ていると“プロはすごいなぁ~!”と感心させられることがたくさんあるんです。例えば田園風景の列車を撮る際に、田んぼの持ち主さんとのやり取りで「天気が悪くなるときは列車の音が大きく聞こえる」とか「列車の通過は時計代わり」といった、暮らしている方の“列車との関係”についてのコメントを引き出すといった高度なコミュニケーション力を垣間見たりするからなんです。そしてこういったやり取りごと、精也さんはご自分の作品に残そうとするんです。
「今、ここにいたから撮れる写真」に全力な精也さん。きっと彼はすごいロマンチスト。写真は特に「先回りの芸術」と私は思うのですが、まさに精也さんは、完成品の写真のためにじつにさまざまな要素を集めて計算してシャッターをきっているんだと思います。そして視聴者である私は、そんな「とっておきの一枚」を家にいながら観せていただいています。
精也さんにはいつまでも、あの笑顔で世界の鉄道を追いかけてシャッターをきってほしいです。世界のどこかで、鉄道の走る風景ごと・その環境を取り巻く人々ごと”留めたい!”と思う精也さんがいるところはきっと平和です。
そして出来れば、いつかどこかで精也さんに会えたらなぁと思います。

旅と人々と鉄道の走る風景…。中井精也さんの世界を一度体験してみてはいかがでしょうか😊

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