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社会福祉士・精神保健福祉士の問題を解いてみた

社会福祉士、精神保健福祉士ともに今回の問題を解いてみたが、8.5割は取れた。一発としては及第点だろう。教える立場として、しっかり点数を取れていなければ顔向けできない。私の時は、99点がボーダーだった第30回試験で140点台を取って合格したが、あの頃と比べるとボーナス問題は減った印象だ。その分、予想通り実務的な内容が増えていた。

共通科目を解いてみたが、全体としては難化というより例年並みか、やや易化している印象を受けた。積み上げてきた受験者にとっては、今年の合格率も高くなるのではないだろうか。ただ、問28の「Aさん23歳国家公務員とBさん18歳無職の夫婦」という事例が妙に気になった。その組み合わせで生活できるのかと。試験委員、やりすぎ(笑

共通科目でいえば問47のパーセンテージがネットでは話題になっているけど、ちゃんと問題文には「約〇〇%」と優しく書いてある。統計情報を把握していれば解ける問題だ。

統計情報の把握は、実際の現場と全数を比較することで自分自身の偏りを知るのに有用であることは言うまでもない。生活保護や障害ばかりやっていたら、いかにも多いように勘違いしてしまうからね。

生活保護世帯類型

分かりやすいのが生活保護。よく「働け」とネットで批判されるけど、障害者・傷病者+すでに非稼働世帯である高齢者で80%。働けるとされるのは母子父子の4%と、その他世帯16%の計20%だ。実際にその他世帯なども、ほとんど稼働していたりする(働いていたり)するのだが、収入が最低生活費に追いつかないのだ。それだけ、働く時間、高単価にできない理由がある。
こうした統計情報を頭に入れておかないと、いたずらに世論に流されたり、自分自身の判断を誤ることになる。認知がゆがむから。

精神保健福祉士の問題では、各施設の概要を把握しているか、インテーク時に何を最優先すべきかといった判断能力やプランニング力が問われる内容が多かった。割れ問とされる問25も、その類だった。どの段階で、なにをするのかといった事を知っていれば解けない問題はない。

ただ、共通科目に目をやると、やはりすべての科目の前提としての「社会学と社会システム」をもっと手厚く教える必要があると改めて感じた。世界の成り立ちや社会構造を理解していなければ、具体的な制度論にうまく結びつけることができない。哲学や倫理といった部分に関しても不足しているカリキュラムであり、福祉系大学ですら必修ではなく選択だ。

合格点を下げて知識レベルの低い有資格者を増やしたところで、現場では意味をなさない。さらに、資格を取った後も学び続けなければ、ライセンスを掲げていても同じことだ。

特に短期養成は国家試験の合格に向けた内容であり、こうした部分まで涵養させる時間をとっていないのは、以前から危惧しているところ。そうした意味では、同じ試験に合格していても4年間じっくり学んだ人と、10か月しか学んでいない人とでは差が出るとは思う。

資格はゴールではなく、スタートである。その意味を、これからの受験者や有資格者たちにどう伝えていくか、改めて考えさせられる試験だなと。

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真紀
現場から現代社会を思考する/某国立大学の非常勤講師/専門は社会福祉学だが、最近は社会学に傾倒中。