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錫森栞
2022年8月3日 14:54
花屋の前を通っていく舟が運んでいくように古びた街の夏風が香った。何処かで響くピアノの音にのって騒ぐ人並みはその夏風を誇らしげにまとって石畳を鳴らしている。 その音色を聞きながら目の前に咲いた花々の枝を切り落としつつ、昨晩のことを考えた。「寝ぼけてたのかな。」私の声と同時に赤く染まった花が庭へ落下した。昨晩あの街角の橋で見た情景を思い起こして、また少し呆気に取られながら昼を告げるベルを聞