出前館でリモート通夜と誕生祝いができたこと
一年前から新型コロナウイルスを感染させないように高齢の母とは電話で話すことしかせず、在宅勤務にも努め、電車に乗ったのは仕事のための2度だけという徹底を心がけた私。
弟は入院してるのだから1番安心だと思っていました。
最後に弟から電話をもらったのは、ちょうど1カ月前の2月27日。
父の誕生日でした。
1月の母の誕生日に、せめて、と出前館を使って母にお寿司をプレゼント。喜んでもらえたので、10年以上前に亡くなった父の誕生日にも、母がお祝いできるよう出前館でお寿司を手配した後の弟からの電話でした。
「今日パパの誕生日だよね」
本当は家族で集まってお祝いしたかったことがその一言で伝わってきます。
「そう、だから、ママにお祝いできるようお寿司届けたよ」
と言うと、とても嬉しそうに
「おー同じようなこと考えてたんだねー」
と喜んでいました。
まもなく弟も誕生日。
外出できて家に帰れるようなら寿司送るからね、と言うと病院でもコロナ対策厳しくしてるから、しばらくは無理かな、と言って電話を切ったのでした。
弟は誕生日の前日に息を引き取りました。3月4日に発熱。翌翌日に容態が悪化して、8日月曜日に転院。あっという間でした。
家族に場所も知らされずに火葬されて、自宅にお骨が届けられたのが3月11日。
彼の誕生日でした。
誕生日を家で過ごしたかったのだと思いました。
私はまた出前館でお寿司を母と同じ建物に住む兄に届けました。
もちろん弟の分も。
いつも同じお寿司屋さんの寿司を届けていたのですが、母はその日の寿司は特別美味しかった、と言いました。
千葉に住む妹夫妻にも出前館で寿司を届け、我が家でも寿司を囲んで、弟の誕生日を心からお祝いしたのでした。
そして、それは事実上、
彼の通夜となりました。
兄は、コロナ禍のリモート通夜だね、と。
遺骨の前に花を供えてその時を過ごしてくれたのでした。
お誕生日おめでとう。
ようやく家に帰れたね。