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例えようもない思いに包まれて

まだ少し肌寒い、しかし、僕に「頑張れよ」とでもいうかのように青く綺麗に晴れた空は見えた。そんな日。
僕はとうとう初めての海外一人旅に出発した。
僕の心は高鳴っていた。19歳の今、何か新しい扉を開くような、未知の世界に足を踏み込むようなといよりジャンプするような、そんな気持ちでいた。
ずっと海外に行くのが夢だった。
小さい頃に行った海外の記憶はあるようで無いようなものだったのだ。
漠然とした記憶ではあったが、確かにそれは僕の過去であり、確実に僕という1人の人間を作っている一部だった。
過去に感じたものを、また、また、いつかきっと感じたい。
そんな気持ちで、短いようで長かった数十年を過ごして来た。
そんな僕は万全の状態で飛行機に乗るため、足早に受付まで向かった。
空港は僕にとって、とてもワクワクする所だ。
「どこかに旅立とうと目を輝かせている人」「地元に帰って来てほっとしている人」「自分より大きいキャリーバッグの周りを走る子供」。
多くの人の想いが交錯している場所。
これから僕はどんな場所に行くことができ、どんな人に出会うことができるのだろう。
それを考えただけで鼓動は高鳴る。
「しっかり、チケットは取れていただろうか?」「荷物検査で引っかからないだろうか?」こんな、小さな小さな不安を抱えながら、やるべきことを済ませた。
飛行機の中では、たまに外を見ては「どの辺を飛んでいるのだろうか」と想いを馳せる。
中継地である仁川空港に着いた時、目的地である台湾につけるだろうかという不安はうっすらと残るものの、「きっと大丈夫」。そういう確信に変わって行った。
空港では、せっかく海外に来たのだし、少し背伸びをしようという意味不明な想いがこみ上げて来た。
そこで、ターミナルを1往復してから、ドリンク店を決めて、韓国感のある場所(後から思うと、韓国語でメニューが書いてあるだけの結構普通のお店だった…)でドリンクを購入した。
おすすめを聞いた所、きな粉味のドリンクが人気だというので、即購入。

お金を払うときに気づいたが、学生の一人旅をする奴が初日に買うものではなかった。

しかし、美味しかったので、そこは良かった。

どちらかというと、問題はお釣りがウォンで帰って来たこと。(後に、このウォンが台湾で活躍しました)。

母の持たせてくれたパンと一緒にならべ、1人でニヤケながら普段しないような、ちょっとインスタ映えっぽいことをしてからゆっくりと次の飛行機をまった。

その間、何か心地よい音楽が流れてくるなと思ったら、搭乗ゲートの前で演奏会が開かれていた。面白い演出だなと思いつつ、台湾で何をしようかと思いを巡らせた。
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いっぴん。
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