追悼。

幼い頃からの恩人が亡くなった。

俺にスキーを教えてくれたのも、車を教えてくれたのも、山を教えてくれたのも彼だった。

兄ちゃんと呼んでいた。
ほんとうの兄のようで、父のようで、親友のようで、俺の成長には彼が必ずどこかにいた。

俺の人生は彼の影響がほんとうに強い。
人は遺伝と環境でその人格が決定されるが、環境要因の72%は彼によるものだろう。

おれは惜しい人を失ってしまった。
こういう風に書くと不謹慎に思われるし、その重みが伝わらないし、実際に軽量化してしまうと思う。けど、人は慣れる生き物だ。記憶は風化し、感情はその熱を冷ましてしまう。だから俺はこんな所に記録しているのだろうか、

悲しいが悲しすぎて実感が湧かない。
現実から目を逸らしたい、死顔は相当な覚悟がないと見れない。最後にあったのは去年の暮れに彼が東京に来た時だ。ボロボロになっていた体も、もう少し早く気づいて、もう少し強く通院を進めておけば今頃は、

あの日は釣りにいく予定だったんだよな、
親父が倒れた時よりも残酷だ。

もっと周りの人をよく見なきゃいけない。

人は容易く死んでしまうものだ。後悔ばかり。

夏になったら常念に行こうかな。
大キレットにも行かなきゃだなあ。

兄ちゃん今年はどこの山にいく?

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