#12 平凡で素晴らしいアナタへ
学生の時に読んだ漫画の主人公の年齢を、いつの間にか追い越してることってないですか?
例えばあの頃大好きだったルーキーズも、テニスの王子様も今は年下。だけど、BECKに出てくる人たちは年下になっていない気がする。
一緒に歳を重ね、2020年の今を生きている気がする。いつかあそこの交差点で、あのライブハウスでばったり出会えるんじゃないか。そんなことを考えている。
BECKは、ごく平凡な14歳の少年コユキが仲間とバンドを結成し人気ロックバンドへと成長していく過程を描いたハロルド作石の代表作品。
少年漫画しか読んでこなかった中学生のボクの、初めて読んだ青年漫画だった。主人公に超能力があるわけでも、バトルがあるわけでもない。ボクと同じ毎日を過ごす主人公たちにボクは圧倒的なリアルさを感じた。
主人公のコユキは才能に悩み、友達関係に悩み、将来に悩んだ。挫折を繰り返して成長していく姿に勇気をもらった。バンドをしていたこともあって、その姿に自分を重ねた。
会社に就職してから、できると思っていたことが出来なくなった自分に出会った。デザインの提案をしても全然通らない。上司からは仕事が出来ない奴のレッテルを貼られ、自信を失った。そんな自分を、自分で愛すことが出来なかった。周りの目は気になるし、先輩や上司のデザインと自分のデザインを比べる毎日。
たくさん尊敬している人はいるけど、おれはおれにしかなれないよ。
作中に出てくるコユキのセリフを読むと、そんな自分も愛すことができるような気がした。俺は俺だよな、って。僕は平凡で、素晴らしい。
今でもコユキは生きていて、
ボクと同じ時間を生きてる。
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