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【ニンジャ自由研究】童話のニンジャ的解釈 「オオカミ・ニンジャクランについて」



〈童話のニンジャ的解釈とはなにか〉


 ニンジャスレイヤーの世界において「様々な神や英雄たちが実はニンジャである」といった真実が明かされることがある。円卓の騎士はニンジャでありオリュンポス十二神はニンジャであるといったように。

 そしてお伽噺や寓話に関しても同じくニンジャ真実が隠されている場合が往々にしてある。例えば桃太郎はニンジャであり浦島太郎もニンジャであり金太郎もニンジャであり、さるかに合戦はニンジャのイクサ…といったように。

 ならば逆に童話自体をニンジャ研究の目線で穿って読めばニンジャの真相にたどり着けるのではないか?という試みがこの『童話のニンジャ的解釈』である。

 今回は特にオオカミ・ニンジャクランと呼ばれるニンジャ達に焦点を絞って読み進めてゆく。


〈オオカミ・ニンジャクラン〉


 オオカミ・ニンジャクランはリアルニンジャが形成したクランの1つであり、主にオオカミめいた獣人へと姿を変えるジツを得意としていたと思われる。

 彼らは月と密接な繋がりを持っており、月が満ちるほどに彼らの力は強まり、満月の夜ともなれば無敵に近い力を発揮したという。実際作中に登場したオオカミ・ニンジャクランのニンジャは頭部や心臓を破壊されても瞬時に再生し、ニンジャ殺戮の第一人者をして「倒す手段なし」と言わしめた。

 一方でその強大な力の揺り返しか、彼らは致命的な弱点も抱えていた。月のない新月の日には彼らは力の大半を失い気力までも減衰してしまうのだ。この弱点を知られたオオカミ・ニンジャクランはたちまち絶滅してしまったという。

 彼らについて分かっているのはここまでである。彼らがニンジャの社会でどのような立ち位置にあり、どう行動し、どう思われ、そしてどう消えていったのかを示す情報は存在しない。我々にできることは考察と推論だけである。


〈童話におけるオオカミ〉


 童話の中にはしばしばオオカミの存在が見られるが、彼らはあまり『いいヤツ』としては描かれていない。主人公をつけ狙う獰猛野蛮な悪役、あるいはオチでひどい目に遭う愚者。そういった役回りが多いように思われる。


 有名な個体、狼王ロボを代表とするように、ユーラシア大陸や北アメリカ大陸に広く生息したオオカミは群れを成して人や家畜を襲い人々から恐れられていた。それ故に童話での役回りは「悪い子はこんな目にあうぞ!」という教訓であったりあるいはそんな悪い奴が酷い目に遭うのを見て溜飲を下げる目的であったりするのだろう。

 だが、同じように広く大陸に分布し、人や家畜を襲い、オオカミよりも巨体で恐ろしい存在であるはずのクマはオオカミほど悪し様に描かれず酷い目に遭わされてもいない。テディベアなどのように愛嬌を持って描かれることすら多い。そもそもクマが描かれた童話自体あまり数が浮かばない。

 オオカミとクマのこの差は何によって生じているのだろうか?…その答えはニンジャ真実にあるのではないか?


〈ニンジャ的解釈〉

 ここから、オオカミの登場する童話を有名なものから一部抜粋しニンジャ解釈を行っていく。


・赤ずきん

 言わずと知れたオオカミ出演知名度ランキング1位の童話。オオカミの役割は悪役。人を騙し食い殺す恐ろしい獣として描かれている。


 現在一般的に知られている話はおそらくグリム童話版を軸にした「おばあさんを見舞いに行った赤ずきんがオオカミの変装に騙され食われるもハンターによって救われる」といったものであろう。しかし、赤ずきんのルーツと思われる話ではハンターは現れず赤ずきんは救われない。

 この童話がオオカミ・ニンジャクランについて指し示していることは『その残忍性・危険性』であろうか。赤ずきんを唆して先回りし、おばあさんを食らい、そしておばあさんに化けて赤ずきんを騙す。オオカミ・ニンジャクランはその肉体的強さのみならず、モータルを誑かし罠にかけて玩びその命を奪うような邪悪で理知的な一面もあったようだ。


 また、上記したストーリーの変移から興味深いことが推察できる。

 赤ずきんのルーツは諸説あるが、最も古いとされるのが11世紀の詩である。そしてグリム童話に通ずるとされるペローの作品が17世紀。11世紀の詩ではオオカミの大勝利で話が終わり、17世紀の童話ではオオカミはハンターによって狩られる。

 11世紀といえばニンジャが立ち枯れを迎える前、そして17世紀にはニンジャの時代が終わり江戸時代が始まっている。赤ずきんの変移はモータルのニンジャへの恐れを、そしてニンジャの時代が終わりモータルがニンジャを克服したことを示しているのかもしれない。

 あるいは、オオカミ・ニンジャクランが栄えた時代と滅びた後の差か。



・三匹の子豚

 赤ずきんと同じくオオカミの登場する中では有名な童話の一つ。オオカミの役回りも同じく悪役。こちらでは人間ではなく子豚を狙い襲いかかる。


 恐るべきオオカミに狙われた三匹の豚の兄弟は自分の家に籠城するが、藁の家・木の家に住む二匹は家を吹き飛ばされオオカミに食われてしまう。残る一匹はレンガの家で吹き飛ばしに耐えるもオオカミは煙突からの侵入を試みる。豚は機転を利かせ湯の煮えたぎった鍋を用意し、煙突から侵入したオオカミはカマユデにされてしまう。

 この童話の教訓は「籠城戦を仕掛けるのであれば堅牢な城でなければならない。そしてそれでもなお侵入する敵を迎撃する備えも必要である」といったところか。主に攻城側は籠城側の10倍戦力が必要であるなどと言われているがニンジャのイクサでは強大なニンジャが一人現れただけで戦況は容易に大きく変わってしまう。その事も踏まえた啓蒙であろう。

 また見方を変えればこれはオオカミ・ニンジャクランに襲撃を受けた子豚のドージョーが抵抗する話であり、オオカミ・ニンジャクランが頻繁に他のニンジャクランを襲撃していたことの表れでもあるか。


 この童話で使われたカマユデという方法はオオカミ・ニンジャクランに対し有効な可能性がある。上でも述べたようにオオカミ・ニンジャクランの恐ろしさは単純な身体能力と、そして不死身じみた回復力である。身体能力のみならば並び立てるニンジャもいようが、殺しても死なないオオカミ・ニンジャクラン相手ではジリー・プアーに過ぎぬ。

 だが、カマユデという手法ならば回復した側から熱によるダメージが、あるいは窒息ダメージが絶え間なく体を破壊し、火力次第…それこそ溶鉱炉やマグマめいたカマユデならば瀕死と再生を繰り返す生き地獄に陥れることが可能かもしれない。そしてそのまま熱を加え続け、やがて月が欠け始めて再生能力が低下すれば死ぬ。(ただし端から見れば何日も続く拷問についに耐えきれず死んだようにしか見えないため新月の弱点には気付けまい)

 恐らく実際にこのような手段で当時を勢力を増し栄えていたオオカミ・ニンジャクランの者を殺したニンジャがおり、その武勇を皆に示す話として…あるいはオオカミ・ニンジャクランの攻略法として流布されたのではないだろうか。

 ただし、強大なオオカミ・ニンジャクランの者を釜に落とし抵抗を捌きながら三日三晩脱出を阻止し続けるなど不可能に近く、殺せてもレッサーニンジャ程度であったのは想像に難くない。この件ではオオカミ・ニンジャクランの地位や名声に大した傷は付かなかっただろう。

 なお、ブタやイノシシに類するニンジャクランは公式ではまだ未登場である。1部で登場したトラッフルホッグなどは能力的にも見た目的にもそしてニンジャネーム的にもかなり怪しいが、いかんせんウォーロックに乗っ取られるのがメインのキャラであるためか該当エピソードのN-FILESにもスルーされている。



・狼と七匹の子ヤギ

 これもまたオオカミ登場童話としては有名だろう。オオカミの役回りはやはり悪役。しかし赤ずきんや三匹の子豚ほど恐ろしい存在といった風ではなく、子ヤギに看破されチョークの粉を飲んできたり手足を白く塗ったりといったコミカルな面や最終的に母ヤギの術中にはまり溺れ死ぬ愚かさが強いか。


 この童話はタイトル通りオオカミ、そしてヤギが主な登場キャラクターである。オオカミはオオカミ・ニンジャクランとして、ではヤギは何か?

 ヤギのニンジャとして挙げられるものは主に二つある。一つはスイス~ドイツの森林にドージョーを構えたというイシユミ・ドーの探求者、ヤギ・ニンジャクラン。もう一つは…恐るべき魔術師、クロヤギ・ニンジャ。

 個人的には後者が妥当か。無数に分裂することや母なるヤギの存在(クロヤギ・ニンジャは作中で彼女と称されるので女性である)がイメージに合致している。またこの童話には七匹の子ヤギと母ヤギで計8匹のヤギがいることになるが、これは西洋では不吉な数字であり彼女が信奉するカツ・ワンソー…その影達とも関わり深い数字だ。ワンソーの影は8人であり、彼らはしばしばハッポースリケンを用いる。

ヤギの頭部と人に似た体を持つ母ヤギ。
『人間の女と黒山羊の融合じみた』と称される
クロヤギ・ニンジャの外見とも合致する。


 ヤギ=クロヤギ・ニンジャおよびそのブンシンという前提を用いるとこの童話はこういうことになる。

「オオカミ・ニンジャクランの者がクロヤギ・ニンジャを狙い、周到な下準備の末ついに食い殺すことに成功した。だが、己の勝利を疑わず油断した彼は自分の腹の中に収まったものがクロヤギ・ニンジャのブンシンの一部に過ぎぬとは気付かなかった。やがて新月の日が訪れ、彼は微睡みに陥る。体内のブンシンから弱点を知ったクロヤギ・ニンジャの本体が彼を襲い、彼は腹を裂かれクロヤギの魔術で長く苦しみながら殺された」

 オオカミ・ニンジャクランは新月の弱点を暴かれ滅ぼされたと言われているが、ここまでの致命的な弱点であるのだから周到に秘匿されていただろう。ならばその秘密を解き明かした者もまた高位なニンジャであったことだろう…というのは私がかねてより思案していたことだが、それがクロヤギ・ニンジャであったのならば合点もいく。

 そしてクロヤギ・ニンジャをその一部とはいえ食らい取り込むことに成功したニンジャはアーチ級、それこそクランの長たるニンジャであっても不思議ではない。そんなニンジャが死に、秘匿していた新月の秘密をクロヤギに暴かれたことはオオカミ・ニンジャクランにとって致命的であったに違いない。

 この童話はオオカミ・ニンジャクランの破滅、その序章を描いたものなのだ。


 なお、七匹の子ヤギおよび母ヤギが基本的に白ヤギであることについては考慮しないものとする。



・オオカミと羊飼い

 このタイトルだけではピンとこない方もいようが、「オオカミ少年」と言われれば知らない人はほとんどいないであろう。オオカミの童話としては一瞬見落とされがちな有名作品。オオカミの役回りは一応は悪役、あるいは災害や舞台装置。この童話はオオカミが悪いというよりは嘘をついた羊飼いが悪いというストーリーなので舞台装置としての割合が大きいか。

 ストーリーは言わずと知れた「オオカミが来たぞ!と羊飼いが嘘をついて人々をからかい続けたら本当にオオカミが来た時には誰にも信用してもらえず羊が食べ尽くされる」といったもの。オオカミは最後に出るのみで、全体的にあまりニンジャの気配を感じないストーリーである。

 強いて考えるとすれば「オオカミ・ニンジャクランがドージョーに襲撃を仕掛けるという情報が4度流れ、その度にドージョーのニンジャ達は厳重警戒を以て備えたが全て誤報であった。そして5度目の情報を得ながらも彼らは軽い警戒で当たり、本当に襲撃を仕掛けたオオカミ・ニンジャクランによってドージョーは滅ぼされた。誤報も全てオオカミ・ニンジャクランが仕掛けた罠だったのだ」といった感じか?

 あまりしっくりこないため、この童話にはニンジャが関わっていない可能性も高い。この童話から分かるオオカミ・ニンジャクランの姿は「モータルにも広く恐れられていた」ことか。



・イソップ寓話

 一つの寓話ではないが、イソップ寓話には多くのオオカミが登場する。一つ一つの話が短くまた全体的にマイナーであり、そして数が多いためにここでは纏めていくつかのパターンを紹介する。

 パターン①…危険で強大な存在。「オオカミとサギ」では約束を反故にしながら食い殺されなかっただけ感謝しろと言う暴君、「オオカミと仔ヒツジ」では難癖をつけ理由を作りヒツジを襲う暴君といったように逆らうことのできぬ強大な暴君である。

 無敵の力を持つオオカミ・ニンジャクランが強大な地位と権力を持ち、周囲に対し高圧的に振る舞っていたことが伺える。

 パターン②…嘘で惑わし獲物を襲う知恵者。「オオカミたちとヒツジたち」ではオオカミとヒツジの対立は牧羊犬が存在するせいだとヒツジを騙し牧羊犬を放逐させ無防備になったところを皆殺しにする。「オオカミとヒツジ飼」では善良な存在を装い時間をかけて羊飼いを信頼させ気を許させてから裏切る。オオカミは甘言をもって相手を騙し食らう恐ろしい捕食者として描かれている。

 赤ずきんと同じく、オオカミ・ニンジャクランが力だけのニンジャではなく知恵もある存在として認識されていたのが分かるだろう。

 パターン③…愚かな悪人。このパターンが特に多く、『獲物を騙そうとするもあっさり看破される』『より強大なライオンや賢いキツネにブザマに負ける』『獲物の最後の願いを叶えてやろうとして騙されて逃げられる』『自分の策に溺れる』等々枚挙に暇がない。オチとして「悪が栄えたためしはない」などの教訓が付くのが定番である。

 他で描かれるオオカミ・ニンジャクランの特徴と異なる部分も多く、オオカミ・ニンジャクランの名を貶めるために流布されたプロパガンダの疑いがある。文面から「オオカミ・ニンジャクランは知恵なき者共で、まやかしの力で威張っておったがその愚かさからこうして滅ぼされたのだ」というニンジャの蔑みが伝わってくるようである。


 イソップ寓話の様々なルーツの寓話が混在している特性上、オオカミのキャラクター性がブレるのも当然なのだが意外なことに主に3通りという少ない種類に分けられた。そして特に多かったのが愚者として書くパターンである。

 確かにオオカミ・ニンジャクランのニンジャたちはヘンゲすると理性が弱まるという一面もあるが、それにしても騙されて死ぬような話が多すぎる。描かれているのがオオカミ・ニンジャクラン関係ない動物としてのオオカミであるとしても、「人や家畜に害をなす危険な動物」をここまで弱くマヌケで愚かな存在に描く意味がはたしてあろうか。

 やはりクランの名誉を汚すための情報工作、プロパガンダの可能性が高い。恐らくはオオカミ・ニンジャクラン亡き後に彼らの名誉すらも貶めるために流布されたのだろう。それほどまでにオオカミ・ニンジャクランは敵を作りすぎたのだ。弱点が知られた途端に囲んで滅ぼされるほどに。

 あるいは「より強い者がオオカミをブザマに負かす」話はオオカミ殺しの名誉を広める目的もあったであろう。



・日本のオオカミ物語

 日本にもオオカミに関する複数の寓話…昔話が存在するがマイナーであり、また似通った特色が見られるため同じく纏めて紹介する。


 日本の物語におけるオオカミは主に一つの傾向がある。それは『強大で恐るべき獣であり、そして時に恩義や人格を認め人に恩恵を与える存在』である。

「狼の眉毛」という話ではこれ以上生き恥を晒すよりは…と自ら狼に食われようとした貧乏な老人に対し、心優しき善人は食べないと追い返し人の本性を見抜く眉毛を与えている。

「狼報恩」では喉に刺さる骨を取ってくれた男に対し食べ物を贈ったり他のオオカミから守るなど恩に報いている。「送り狼」の話も同様であり、魚を授けた人を助ける。

 これらの要素は他の物語に見る「獰猛で危険な動物的存在」や「愚か者」とは異なり、時に害を為しながら時には恩恵を与える、いうなれば神の一種に近く描かれている。

 日本の一部地域では(無論外国にも点在するだろうが)オオカミ信仰が存在し、オオカミを神社で祀る等している。また全国的に存在する送りオオカミ・送り犬と呼ばれるヨーカイの物語も「後ろからオオカミがついて来、転ぶと食い殺されるが正しい対応をすると逆に守ってくれる」とこれもまた二面性のあるものになっている。

 動物のオオカミには危険な面と別に農作物を荒らす害獣を減らす効果もあったのは事実だが、それならば外国の物語でもそういった側面が多く出てもいいはずである。だが前述した通り外国の童話・寓話ではオオカミは怪物か愚か者であり他者に恩恵を与えるものは少ない。童話とはまた別の話になるが、北欧神話にもオオカミが複数登場する。だがフェンリルを代表とするように神々や世界に災いとなる怪物としての色が強い。

 何故日本の物語に多く見られるのか。それはオオカミ・ニンジャクランのドージョーが日本にあったからに他ならないだろう。

 特にオオカミ信仰の強い秩父周辺の山岳地帯に恐らくオオカミ・ニンジャクランはドージョーを構えていた。彼らは時にニンジャの暴威を以て付近の村々を襲いモータルを恐れさせたことだろう。だが外部から邪悪なニンジャや何らかの危険アニマルが流入しようとした時、彼らはそれと戦い、意図してかあるいは結果的にかモータル達を守った。それ故にオオカミは日本で特に神聖なホーリーアニマルとして扱われているのだ。



〈結論〉

 以上の物語をニンジャ解読し、オオカミ・ニンジャクランに関して判明した事実をまとめると、

「日本の秩父にドージョーを構えるオオカミ・ニンジャクランは、その力と不死性からニンジャのカラテ社会において強大な地位と権力を得ていた。彼らは己の力を誇示するため他のクランをたびたび襲い、時には悪しき知恵をもって欺いた。
 だが、増長した彼らはついに滅びの時を迎える。クランの高位ニンジャがクロヤギ・ニンジャに手を出し、その弱点を知られ滅ぼされたのだ。クロヤギに暴かれた新月の秘密はすぐにニンジャに広まった。オオカミに怨みを持つニンジャ達、オオカミの力を危ぶむニンジャ達、そしてオオカミの地位を奪おうと目論むニンジャ達は次の新月の日にオオカミを襲い、力なき朔日のオオカミたちは瞬く間に絶滅した。
 そしてニンジャ達は己の武勲を誇り、あるいはオオカミの名誉を汚すために愚かなオオカミの話を流布したのだった」



〈終わりに〉

 こうしてまた一つオオカミ・ニンジャクランの真実が判明したわけであるが、結局のところこれは童話を網羅したわけでもない私の個人的解釈が全てであり、ニンジャ学的観点からすれば根拠に乏しく、全て妄想だと学会からの謗りも免れないだろう。実際問題今まで述べた内容は公式から新情報が一つ出れば即座に崩壊する可能性のある砂上の楼閣だ。

 だが、それでもこうして古のニンジャの姿を想像することは無駄ではないと私は考える。数少ない情報からその裏側を想像し太古の営みを思い描く…それはまさにニンジャ考古学の一つだ。仮に思い浮かべたオオカミ・ニンジャクランの姿と真実が異なっていたとしても、彼らについて深く考え整理することは『ニンジャ』という大きな枠組みへの理解を深めるのに繋がっているのだ。こうやって一歩ずつ、一歩ずつ歩み寄り、我々はいつかニンジャ真実へとたどり着くのだろう。

 また、単純な話として妄想は楽しいのだ。あの偉人がニンジャであったら、あの神がニンジャであったら、あの自然現象がニンジャであったら、あの英雄がニンジャであったら、あの怪物がニンジャであったら、あのUMAがニンジャであったら…そんな妄想は日々を彩り生きる糧となる。そんな気持ちの一端を皆様に少しでも感じてもらえたのならば有難い限りである。

 そして、私はこれからもニンジャ妄想を続けていく。



【終わり】




 今回の調査の参考としたウェブサイトの方々をここに紹介する。

オオカミは悪者?
 様々なオオカミの登場する童話寓話を紹介するサイト。オオカミが悪役というステレオタイプは有名な作品に悪役オオカミが多かったせいなのでは?という推論も興味深い。


荒川上流域のオオカミ信仰
 秩父地域のオオカミ信仰に関するPDF。オオカミ・ニンジャクランのドージョーが存在した説の参考文献。


狼に関する寓話44話
 オオカミの寓話が多く掲載されているウェブサイト。イソップ寓話に関する情報の多くはこのサイトを元に複数文献を渡り歩き確認した。


・【ダークサイド・オブ・ザ・ムーン】
 言わずと知れたダイアウルフの登場エピソード。オオカミ・ニンジャクランに関する公式情報は全てここから得たものである。





 参考にさせていただいた皆様に謝辞を述べ、この研究の締めとさせていただく。

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