シャドウ・オア/アンド・ムーン
「…………」父か母であろう、背の高いノイズが何かを話す。
背の低いノイズ…兄弟か姉妹?は蠢く。
それは何気ないある日だったのだろう。残された記憶の断片。
恐らくはその日、私は全ての記憶を忘れ、全ての記録から忘れられた。
あれから体は成長しなかった。それすらも忘れてしまったかのように。
記憶は未だに消え続ける。一昨日の記憶も怪しい。もう慣れた。
一昨日を忘れるのならば、昨日の内に全てを再確認すればいいだけだ。
良い事もあった。全て忘れられる。恐怖も罪悪感も。死に顔も断末魔も。