【ニンジャ自由研究】ニンジャクランの中黒どこに打つ?
皆さんは特定のニンジャクランを呼称するときにこのように悩んだ経験はないだろうか
そう、たとえば仮にクワガタ・ニンジャとそのクランが存在するとして彼らのクランは「クワガタ・ニンジャクラン」か、「クワガタニンジャ・クラン」か、あるいは「クワガタ・ニンジャ・クラン」か。公式で表記が統一されていない以上どれでも正解なのだろう。けれどやはりどこかむず痒い……。そこで今回はニンジャクランの中黒について調べることにした。
本題に入る前にそれぞれの表記と個人的印象の違いを記しておく。
【クワガタ・ニンジャクラン】
この表記では「クワガタの特徴を持つ/ニンジャクラン」といった印象。あるいは「クワガタ・ニンジャのクラン」でもおかしくはないか。個人的に一番好んで使用する表記。
【クワガタニンジャ・クラン】
この表記は「クワガタのニンジャ/彼らが集うクラン」といったイメージか。ニンジャスレイヤーの作中だとこの表記が多い気がする。
【クワガタ・ニンジャ・クラン】
「クワガタ・ニンジャが率いていたクラン」という意味ではこの表記が一番相応しいかもしれない。だが、中黒がややくどいためかあまり主流ではない印象。
①ニンジャクランの初出
まず一番最初に登場したニンジャクランはどのように表記されていただろうか
初出は【サプライズド・ドージョー】。地の文による解説ナレーションの中でドラゴンニンジャ・クランの表記が登場。「○○ニンジャ・クラン」の形が、ニンジャスレイヤー作中で初めて使われたニンジャクラン表記ということになる。それは2010年8月15日のことであった。
【ユーレイ・ダンシング・オン・コンクリート・ハカバ】でも「サソリニンジャ・クラン」表記が登場。その後もイタミニンジャ・クラン、コブラニンジャ・クランとニンジャクランはこの表記が続く。
そして遅れること約三ヶ月の2010年11月12日、ようやく次なる表記が登場した。
【ジ・アフターマス】にて「○○・ニンジャ・クラン」の表記が初登場。それはドラゴン・ゲンドーソーセンセイの発言の中で出てきたドラゴン・ニンジャ・クランの表記である。奇しくも「○○ニンジャ・クラン」の初出と同じくドラゴン・ニンジャのクランを指しており、何らかの力を感じずにはいられない。
ここからトカゲ・ニンジャ・クランやコブラ・ニンジャ・クラン、カイコ・ニンジャ・クラン、カゼ・ニンジャ・クランとこの表記がしばらく続く。
「○○ニンジャ・クラン」の表現が久々に現れるのは【ネオサイタマ・イン・フレイム】。シックスゲイツの一人デビルフィッシュが「イカニンジャ・クランの恐ろしさを思い知るがいい!」と発言。続くラオモト・カンとのイクサにおいても彼の宿すソウルやその推定がビッグニンジャ・クラン、イタミニンジャ・クラン、サソリニンジャ・クラン等この形で表記される。そしてここから再び「○○ニンジャ・クラン」表記が続くようになる。
これで1部が完となったが、「○○・ニンジャクラン」の表現は未だ登場せず。この表記がようやく現れるのは2011年11月7日。「○○・ニンジャ・クラン」の初出から遅れに遅れ、実に1年近い期間が経った頃である。
「フォロワー4643記念秋のニンジャスレイヤーまつり」として2部連載中に始まった1部初期のエピソード、【マシン・オブ・ヴェンジェンス】。ナラクがクラウドバスターを指してフジキドに告げた言葉に登場。ここから「○○・ニンジャクラン」の表記が台頭する……と思いきや、次に出てくるニンジャクランは【フィジシャン、ヒール・ユアセルフ】でのホロビ・ニンジャ・クラン表記だった。
そして【カース・オブ・エンシェント・カンジ、オア・ザ・シークレット・オブ・ダークニンジャ・ソウル】にて「ドラゴン・ニンジャクラン」の表記が登場。ドラゴン・ニンジャのクランは最速で3パターンの表記をコンプリートした。
この後、クランの表記はエピソードごとに3種が入り乱れることになる。
ここまで調査して意外だったのは「○○・ニンジャクラン」の表記が大きく遅れて登場していたことと、そもそも(((あやつは○○・ニンジャクラン)))のようなニンジャクラン説明がそんなに無いことである。私が思い浮かべるイマジナリーナラクはもっと(((ヌウーッ……!あれは○○ニンジャ・クランの○○ジツ……!)))と言っているイメージだった。
ナラクがアドバイスを送るような場面は必然的にニンジャスレイヤーが強敵ニンジャと熱い接戦を繰り広げるようなシーンが多いので自然と印象に残ったのだろうか。
また、これは単純に部による状況の差異も関わっているだろう。今回のメイン調査範囲の1部ではナラクとフジキドが全然仲良くなく、助言というよりも「ワシに体を明け渡せば簡単に殺せるぞ」という唆しが多い。(((あれは何々ジツ!避けよフジキド!)))のような相棒的サポートシーンが出てくるのは主に最後も最後のラオモト・カンとの決戦である。
そして2部前半ではナラクは休眠しておりやはりアドバイスを送る場面は少ないだろう。つまり(((あやつは○○・ニンジャクラン……カラテ研鑽を怠りつまらぬジツに逃げた惰弱者よ)))のようなシーンが多く出てくるとしたら、それはナラクが目覚めた2部後半以降が中心のはずなのだ。
2部~3部メインの検証を行えばこの仮説の裏付けも取れるだろうが……時間が足りぬ。
②最近の表現
最古を探ったのならば次にすべきことは最新を探ることであろう。
【ビースト・オブ・マッポーカリプス】にて始めに登場したのは「○○・ニンジャクラン」の表記。まずタカジョウ・ニンジャクラン、次いでコダマ・ニンジャクランの表記が登場する。これは「○○・ニンジャクラン」がトップオブニンジャクラン表記にオーテか?と思われたが……
「○○ニンジャ・クラン」表記のエントリーだ。盤面はケオスの様相を呈しはじめた。
しかしその後は「ドラゴン・ニンジャクラン」が登場し、「○○・ニンジャクラン」が一歩リードして終わる。
次の(前と言うべきか)エピソード、【テンペスト・オブ・メイヘム】では「○○ニンジャ・クラン」表記が登場。このエピソードではコブラニンジャ・クランというワードが多く出てくるためかなりの数を稼ぐかと思われたが、
やはりと言うべきか、「○○・ニンジャクラン」の表記も登場。引用部分を見ると、エピソード内でずっと「コブラニンジャ・クラン」と表記されていたものがここでは「コブラ・ニンジャクラン」になっている。おそらく「サソリ・ニンジャクラン」と形式を揃えたのだろう。
そして、
中黒を一つも入れない「○○ニンジャクラン」の形が不意にアンブッシュを仕掛けてきた。益々もってケオスであるが、この表記が余所で出ていたのかは確かめない。……時間が無いのだ!
次のエピソードはデッドリー・ヴィジョンズ【イネヴィタブル・デス】(ただしTwitterで掲載されたのは【テンペスト・オブ・メイヘム】より後)。「○○ニンジャ・クラン」の表記が1回登場する。このエピソードは推定1部舞台であるが、ナラクから相棒感が漂っている。
そこそこの期間を挟み次にニンジャクランが登場するのは【ロンドン・コーリング】、「○○・ニンジャクラン」の形である。余談であるが、プラスのみで公開されているエピソードは諸事情により検証していない。
次は【ザ・シェイプ・オブ・ニンジャ・トゥ・カム】。「○○・ニンジャクラン」が登場。このエピソードでは他に「カイジュウ・ニンジャクラン」も一回登場。
最後はまた大きく飛び、【カレイドスコープ・オブ・ケオス】。やはりニンジャクランが作中で言及されることはイメージより遥かに少ないようだ。驚くべき事にここでまた「○○ニンジャクラン」が登場。このエピソード内では他に「○○・ニンジャクラン」と「○○ニンジャ・クラン」表記が登場。文中には各表記がそれぞれ1回ずつしか登場せず、つまり全場面でニンジャクランの書き方が異なっていた。ケオスである。
以上の6エピソードを確認し、ニンジャクラン表記の登場回数が計20を越えたところで記録を終了した。結果がこちらである。
「○○ニンジャ・クラン」……8回登場
「○○・ニンジャクラン」……10回登場
「○○・ニンジャ・クラン」……登場せず
「○○ニンジャクラン」……3回登場
登場回数を見るに、どうやら公式的には「○○ニンジャ・クラン」表記と「○○・ニンジャクラン」表記はおよそ同列で扱われているようである。そして驚くことに、2番目に登場した歴史ある「○○・ニンジャ・クラン」の表記はこの6エピソードに登場することはなかった。やはりどこかくどく野暮ったいのが敗因で廃れたのだろうか。
そして想定外に現れた中黒不要の「○○ニンジャクラン」。いまいち表記ブレか誤字脱字の範囲か分からないところもあるが……これは新たな風の一つなのやも知れぬ。
③N-FILESでの表記
思っていたよりもエピソード内でニンジャクランに言及することが少ない……と上記したが、ことN-FILESにおいては事情が異なる。設定公開という側面もあるため、積極的に「憑依ソウルは○○クランのもので~」と解説される。そんなN-FILESではクランはどう表記されているか。……端的に言ってしまえば『様々』。それ意外に表現する方法が思い浮かばない。
N-FILESの最新に近いエピソード、【ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ】を例に紹介すると、
【アイスエイジ・ステイシス】
「ビッグニンジャ・クラン」「イヌニンジャ・クラン」「ナイトニンジャ・クラン」が登場。「○○ニンジャ・クラン」が優勢。
【ザ・ファイアスターター】
「コリニンジャ・クラン」が三度登場し、やはり「○○ニンジャ・クラン」が優勢。
【ダンス・トゥ・ツキ・ヨミ】
「シノビニンジャ・クラン」「アクマ・ニンジャクラン」「シ・ニンジャクラン」「ヨロイニンジャ・クラン」と混在。
【アクセラレイト】
「タコニンジャ・クラン」「シノビ・ニンジャクラン」「ナイトニンジャ・クラン」「ドルイドニンジャ・クラン」「ローグニンジャ・クラン」「レンキン・ニンジャクラン」「スカルド・ニンジャクラン」「タンクニンジャ・クラン」「カマキリ・ニンジャクラン」「コダマニンジャ・クラン」。
「○○ニンジャ・クラン」6つと「○○・ニンジャクラン」4つの大混戦。
【ポラライズド】
「ムカデニンジャ・クラン」「シノビニンジャ・クラン」「クマニンジャ・クラン」「ノルドニンジャ・クラン」そして「カンブリアン・ニンジャクラン」とやはり混在。
総じて「○○ニンジャ・クラン」が優勢ながら「○○・ニンジャクラン」もまた多く見られる。そして「○○・ニンジャ・クラン」はやはりここでも見られない。
確認したところ初期のN-FILESでは「○○・ニンジャ・クラン」の表記が見られるため、この表記はやはり時代の波に負け勢力を減らしたのか。
④シ・ニンジャに見る表記ブレの理由
上でドラゴン・ニンジャのクランが「ドラゴン・ニンジャクラン」「ドラゴンニンジャ・クラン」「ドラゴン・ニンジャ・クラン」の3表記をコンプリートしたと書いたが、同じように登場回数の多いようなニンジャクラン……例えばコリ・ニンジャクランも3表記をコンプリートしている。
しかし、多くの弟子を持ち、クラン名が言及されることも少なくないシ・ニンジャのクランは3表記をコンプリートしていないのだ。
シのクランについて作中で見られる表記は「シ・ニンジャクラン」「シ・ニンジャ・クラン」であり「シニンジャ・クラン」と呼称されたことは一度もない。
これはおそらく字面や音の問題であろう。とかく「シニンジャ」が微妙だ。死人かなにかのようであるし、響きもなんだかシのニンジャではなくシニンジャという一つの言葉のようになってしまう。シ・ニンジャには「シ(開ける)ニンジャ」という区切りが必要なのだ。
同じような理屈からア・ニンジャのクランが出てきたりあるいは仮に「バン・ニンジャ」なるリアルとそのクランが現れた場合も「アニンジャ・クラン」や「バンニンジャ・クラン」の表現はあまり出てこないことが予想できる。
つまるところニンジャクランの中黒に関しては明確な決まりはなく、恐らくは執筆中に響きや収まりが良かった方が選ばれる(というか響きや収まりが悪い方が除外される)のだろう。
⑤ヘッズの使う表記
表記ブレの意図も導き出したので、最後に公式回りではなく読者であるヘッズはどの表記を使用しているのかを調べて終わりたいと思う。
調査期間は2021年8月31日~2023年8月30日の二年間とし、X(旧Twitter)に投稿されたポスト(旧ツイート)件数を計測する。なお、検索機能の性質を鑑みて検索に使用するワードはちょうどいいぐらい呟かれていそうな「ドラゴン・ニンジャクラン」「ドラゴンニンジャ・クラン」「ドラゴン・ニンジャ・クラン」「ドラゴンニンジャクラン」を使用することにした。
またセリフbotや名鑑bot、あるいはニンジャスレイヤー公式アカウントのポストは除外する。
・結果
「ドラゴン・ニンジャクラン」
……71件(+公式1)
「ドラゴンニンジャ・クラン」
……8件(+公式1)
「ドラゴン・ニンジャ・クラン」
……10件
「ドラゴンニンジャクラン」
……16件
(※ただしこれは私のアカウントで検索し、一つ一つ数えた結果であり不具合やブロック・ミュートの状態によっては大きく変化する可能性がある)
結果、私も好んで使用する「○○・ニンジャクラン」の形が最も多く、他と4倍以上の差をつけた。やはりカイデン・ネームが○○・ニンジャという形式である以上「○○・ニンジャのクラン」→「○○・ニンジャクラン」となるのが自然だと感じる人が多かったのだろうか。
意外にも次いで多かったのが中黒を一つもいれない「○○ニンジャクラン」であった。これに関しては理由が想像しやすく……要するに中黒を入れるのが面倒なのだろう。ヘッズ同士でコミュニケーションを取る以上わざわざ入れずとも伝わるのだから合理的である。
3番目が「○○・ニンジャ・クラン」の形。公式の使用率は低下しているが、由緒正しきこの表記を使う人もまだいるようだ。
そして意外や意外、一番使われていないのは公式が多く使用している「○○ニンジャ・クラン」の表記である。これはおそらく「○○・ニンジャクラン」とパイを奪い合い、結果使用人数が「○○・ニンジャクラン」側に大きく傾くこととなってしまったのだろう。
⑥最後に
ニンジャクランの表記に関して調査をしたが、結局公式が特に固定せず何らかの法則で使い分けているようでもない以上、一ファンであるヘッズもまた自分の好みで自由に使い分けていいのだ。
ハデス・ニンジャクランでもタナカニンジャ・クランでもキリク・ニンジャ・クランでもテッポウニンジャクランでもいい。自由とはそういうことなのだ。
多様性……寛容性……そういったものを大切に生きていこう。
~𝐹𝐼𝑁~