JR伯備線・足立駅 国鉄色・緑・新型「やくも号」の定点撮影
「国鉄色やくも号」と「緑色やくも号」の離合風景
2024年6月13日9:05、私はカメラと三脚を携えて、伯備線の足立駅のホームに普通列車で降り立ちました。「撮り鉄」写真撮影の旅です。
この無人駅は普段、静かな山間の場所にあり、特急列車が停まることはありません。しかし、この日は特別な日。朝9時から14時までの5時間、三脚をホーム南端に据えっぱなしにして、特急「やくも号」の定点撮影に挑戦しました。
これから、その大切な時間を切り取った写真を紹介していきます。この特別な日を振り返りながら、新旧「やくも号」の美しい姿や、「撮り鉄仲間」との交流、そして足立駅の静かな風景の5時間をお伝えできればと思います。
特急列車の待ち合わせスポット
足立駅は、単線の伯備線で上下の特急列車が待ち合わせるための駅としても利用されています。旅客の乗り降りはなく、乗務員室のドア以外は開かないため、特急列車の離合を間近で見ることができる貴重なスポットです。
この日も、3種類の「やくも」が運行されており、翌日の6月14日には「国鉄色やくも号」と「緑色やくも号」が運用終了となるため、貴重な瞬間を捉えるチャンスでした。15日以降は「新型やくも号」のみの運行となります。
最後の離合シーンを狙って
この5時間の間に、「やくも号」の離合が計5回、この駅で行われます。しかも、「国鉄色やくも号」と「緑色やくも号」の車両は各一編成しかなく、運行ダイヤは偶数日と奇数日で異なります。
これにより、「国鉄色やくも号」と「緑色やくも号」の足立駅での待ち合わせは、奇数日であるこの日の12:30が最後のシーンということになります。
この瞬間をカメラに収めるため、早朝から自宅を出発し、撮影条件の良い場所を確保しました。この足立駅には私一人だけ。まるで「撮り鉄」の聖地に選ばれたかのような気分です。
9:10頃には三脚をベストポジションにセッティング完了。ホームの端っこに、寂しくポツンと三脚だけが置いてある状況です。まるで三脚が「ここ、Keepです!」と叫んでいるかのようです。しかし、これが後々大切な意味を持つことになります。
鉄道オタクの楽しいひととき
いよいよ下り「国鉄色やくも」の入線と上り「緑色やくも号」の通過が迫る中、11:30頃から自家用車で移動してきた「撮り鉄」仲間たちが、私の三脚の周りに次々と集まり始めました。そして、賑やかな臨時「撮り鉄オフ会」が始まりました!各地方の方言が飛び交い、笑い声と共に楽しい「鉄オタ」話が盛り上がります。世代や地域を越えたこのひととき、まさに鉄道愛の結集です!
下り「国鉄色やくも」の足立駅到着の5分前には、私のカメラの上下左右にに20台近くのカメラが集まり、人だかりができてしまいました。頭上には脚立に乗った人のカメラがあり、まさに異様でありながらも、心躍る光景が広がっています。
そして、各自のカメラには、車掌さんと「国鉄色やくも」だけが映り込むという理想的なシーンが展開中。これぞ、「撮り鉄」ならではの連帯感とマナーの賜物です!いよいよ上り「緑色やくも号」の通過です。停車ではなく駅通過なので、列車はそれなりのスピードです。そして、一斉に連写モードのシャッター音が響き渡ります。
「緑色やくも号」が駅を通過した後も、しばらく周囲の沈黙は続きます。なぜなら、動画を撮影している仲間もいるため、シャッター音以外のノイズは「要配慮」。列車が完全に見えなくなるまで、つまりレール音の録音が終わるまでは静寂が続きます。
そして、動画を撮っている「撮り鉄」仲間の会釈で撮影完了。一斉に笑顔が広がります。これが、「美しい国、日本」の姿です。鉄道と仲間との絆が生み出す、最高の瞬間がここにありました!
撮影仲間との時間
このように、普段は静かな山間の無人駅がこの時間だけは異様な空気に包まれていましたが、撮影後は皆満足そうな顔をしていました。
(やくも号車内のお客さんたちには、カメラを構えた私たちはどのように映ってたでしょうね・・・?)
後で分かったのですが、ホームの北の端にも仲間がいて、上手に物陰に隠れながら撮影を楽しんでいたようです。
撮影の前後には、仲間たちと鉄道の話で盛り上がり、世代や地域を越えて、ほのぼのとした雰囲気が広がっていました。
これが、「美しい国、日本」の姿です。
この5時間は、特急「やくも号」の魅力を再発見し、仲間たちとの楽しい時間を過ごすことができた「鉄道オタク」の特別な体験となりました。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。