【BADHOP WORLD 2020】横浜アリーナ無観客ライブまでの軌跡
先日youtubeで生配信されました「BADHOP WORLD 2020」横浜アリーナ無観客ライブについて、お話ししたいと思います。
youtube急上昇ランキングで一位にも取り上げられれるなどかなり話題になりましたね。
僕自身、元々大好きなHIPHOPクルーだったので当日はもちろんLIVE参加予定でした。
…だったのですが。
新型ウイルスの影響で泣く泣く開催中止に…。
もうBADHOPのLIVEは当分観れないな…。
…と諦めていた最中、なんとyoutubeの生ライブでBADHOP WORLD 2020を決行されました!!
連日ネガティブなニュースばかりの中、久しぶりに明るく前向きな気持ちになれました><
ライブを観た人も観てない人もこの記事を見てより一層BADHOPに興味を持ってくれたら幸いです😌
【〜この記事の想定読者はこんな方〜】
・BADHOPを最近知って興味を持った。
・youtubeの無観客LIVEに感動してもっと彼らのことを知りたい。
・トラップミュージックが好きでBADHOPも聞いてる。
それでは早速始めます。
1. BADHOPってどんなグループ
まずは基本情報から。
BADHOPは神奈川県川崎区出身の8MCからなるラップグループです。
名前の由来は「悪いHIPHOP」と勘違いされがちですが、
実際は野球用語の「イレギュラーバウンド」から取ったと言われています。
また、彼らが初めて参加した地元のイベントの名前が「BADHOP」だったことから
大変所縁のある名前なんです。
偶然とは言え毎回ファンを驚かせるプロモーションや最新トレンドを巻き起こすBADHOPにピッタリの名前ですね。
1-1 メンバーの紹介
まずは中心人物であり双子の「T-pablow」と「Yzzer」
続いて二人と幼馴染の「Tiji jojo」、「Bark」、「Yellow pato」、「G-kid」
そして一歳年上の「Benjazzy」と唯一の東京出身の「Vingo」がいます。
この8人組MCから形成されるラップグループがBADHOPです。
1-2 輝かしいキャリア
過去には「Zepp tokyo」での単独ライブ、「日本武道館公演」、「6大Zeppツアー」など輝かしい経歴を持っており、最近では米LAにてレコーディングを行い、EP「Lift off」を発表しました。
アメリカを代表するビッグプロデューサーとの客演が話題になりました。
1-3 アメリカのラッパーのような成功スピード
BADHOPの凄さといえば、何と言ってもその成功までのスピードです。
2014年に活動を開始して僅か数年で「Zepp Tokyo」での単独LIVE、
セカンドアルバム「Mob life」ではItunes総合チャートで一位獲得。
日本武道館公演では3時間でチケットをsold outするなど、まるでアメリカのラッパーの「成り上がり」を見ているようです。すごいスピード感。
1-4 BADHOPの音楽ジャンル
BADHOPが得意とするジャンルはTRAPと言われるアトランタ発祥のハードコアラップです。
凄く分かりやすく説明すると「BPM70-90」ぐらいでハイハットがずっと鳴っている感じの曲調です。※BPM:ざっくり言うと音のテンポの指標です。EDMが120~ぐらい。
「ツツツツツツ」っと言ってるやつです。
結構特徴的で、HIPHOP系のクラブではよく掛かっているジャンルです。
百聞は一見に如かずということで、まずはTRAP MUSIC王道の一曲から一つ。
1分頃からハイハットが顕著になります。
TRAPのルーツは、元々アトランタの麻薬ディーラーが「コカイン」や「クリスタルメス」を家で作っていたことから、麻薬ビジネスでの成功から抜け出せないという事実を風刺的な意味を込めて「TRAP HOUSE」と皮肉ったことが始まりだと言われています。
またTRAP MUSICの始まりはアトランタ出身のラッパーt.i.が生みの親と言われてたり🙃諸々と諸説あります。
中毒性のあるビートとリアルヒップホップを体現しているリリックを兼ね揃えたTRAPは今世界のトレンドとなっています。
2 壮大な過去を持つゲットーヒップホップクルー
BADHOPを語る上で欠かせない要素として、
メンバーのほとんどが元々川崎の「13criminal」というギャング育ちです。
「日本でギャングとかありえないっしょ」
と思ったかもしれません。
しかし彼らは工業地帯川崎という街で生まれ、小学生低学年の頃から家にご飯が用意されていない環境下で育ち、幼い頃から物を盗んで飢えを凌ぐ生活をしていたといいます。
中学に上がると他校に乗り込み喧嘩三昧、川崎の街でその名を轟かしていきます。
しかし、土地柄ゆえに悪い繋がりを持つことも多く、先輩たちから理不尽な仕打ちや要求を受けることになります。
金銭的な要求も重なり逆らうと酷い目に合うため肉体的にも精神的にも困憊していったといいます。
そんな彼らは仲間たちとギャンググループを結成。自分たちの身を守るために結束することになります。
しかし悪事に手を染めた結果、一斉摘発されてしまいメンバーの何人かは逮捕され少年院送致となったようです。
一口に不良少年で片付けることは簡単ですが、
そこには当たり前のように育ってきた私たちには想像のできない「貧困」や
そうなってしまっただけの「背景」があったのだと思います。
「法治国家の日本でそんな治安が悪いところやしがらみなどある訳がない」
「甘えるな、そんなもの自分次第で立ち直れるんだ」
という声も勿論あるかと思いますが、生まれながらにそのような土地で育ち、日々生活を送る中で周りの大人も頼れない。
未来への希望が見えない。
悪を悪と思えないコミュニティが当たり前だった場合、自分だけが気付くことができますでしょうか。
僕には正直その自信はありません。
確かに悪事をおこなったことは許されることではないけど、日本社会が抱える貧困問題の一つなのだと思いますね。
3. そして、成功を掴んだ「BADHOP」
2017年にはグループ初となるアルバム「Mob Life」を発売。
本格的なHIPHOPアルバムの発表でヘッズの心を見事に掴み、その存在感を示します。
その直後にZepp Tokyoでの単独LIVE、日本武道館公演を成功させるなど一気にスターダムに登り詰めます!
徐々にメディアへの露出も増えていき、T-pablowは川崎フロンターレの始球式に参戦したり、人気番組の水曜日のダウンタウンへのゲスト出演などをこなしていきます。
BADHOPとしてはクレイジージャーニーへの出演も。
HIPHOPを聴かない人でも知っている「オーシャンビュー」や「asian dall」などのヒット曲を量産し爆発的に知名度が上がりました。
私生活ではYzzerがフルダイヤのROLEXを580万円で購入するなど。笑
HIPHOPらしく分かりやすいフレックスを体現してくれました。
最近ではメンバーの着る洋服はハイブランドで揃っていて雑誌への掲載も増えてきたためファッションアイコンとしても注目を浴びています。
HIPHOPの要素として貧困からの成り上がりは欠かせません。
ブロンクスのゲットーで生まれ育ったギャングもラップで成功して金を稼ぐ。
金を稼いで地元に還元する。不良少年にも夢を見せる。
アメリカのHIPHOPではごくごく当たり前の思考ですが、日本では夢のまた夢と言われてきました。
そんな中突如と現れたBADHOPはHIPHOPの図式通り、まさに成り上がりを体現しています。
今まで日本にここまで分かりやすいラップグループがいたでしょうか。
4. 無所属のクリエイター集団
BADHOPはいつもファンを驚かせてくれるプロモーションを仕掛ける天才です。
初の単独ライブは無料、ファーストアルバムも無料で配布するなどサービス精神旺盛です。
最近ですと地元川崎駅でのゲリラLIVEをおこないその様子をSNSで発信させてバズらせアリーナ公演へのプロモーションをティザーとしておこなっていました。
「なぜそんなことができるのか」
それはBADHOPがどこのレーベルにも所属しておらずBADHOPそのものがオーナーでありレーベルだからです。
LIVEではステージの設営から音響セット、LEDの設置など企画運営、パフォーマンスをノンストップで展開。
音源作りも自身が抱えたスタッフと共にビートメーカーの協力の元、制作をおこないます。
芸能事務所やレーベルに所属せず自分たちのやりたい音楽を追求するBADHOP。
だからこそダイナミックなステージングと日本には無いパフォーマンスを実現できるグループなのですね。
また、HIPHOP的考え方の一つに「起業精神」という言葉があります。
1990年代、アメリカ西海岸のHIPHOPを盛り上げた立役者N.W.Aやグループの一員だったDr.dreも自分でレーベルを立ち上げており、サウスラップの金字塔リル・ウェインもヤングマニーエンターテイメントの創立者です。
キングオブサウスt.i.もまたグランドハスラーのオーナーです。
ラップゲームで金を稼いで成功を手にすることはもはやラッパーであれば誰もが目指す道なのですね。
自分たちがオーナーとなり自分の城を築くことは、起業精神ととても親和性があることでアメリカでHIPHOPが主流の音楽である理由はそうゆうところから来ているのだと思います。
5. LAでのレコーディング
また、最近は米LAでUSの有名プロデューサーと楽曲作りをしたBADHOP。
プロデューサーはシーンを代表する名だたる大物ばかり。
まずはMurder Beats
若干26歳のカナダ出身のプロデューサーです。
近年ではDrakeやMigosなどと仕事をしているシーンを代表する一人です。
次にMetro Boomin
アメリカ出身のプロデューサーであり2017年の雑誌「フォーブス」で世界で最も需要のあるヒットメーカーと評されています。
21savege、Migos、Future、Post maloneなどビルボードTOPの常連アーティストなどをプロデュース。
続いて Mike WiLL Made-It
アメリカ出身のプロデューサーでありDJやラッパーでもあり様々な肩書きを持つ謎多き男です。
Kendrick Lamar 、Beyonce、Futureなど大御所とも付き合いがあるビッグプロデューサー。
そしてDJMustard
言わずと知れたUSの売れっ子プロデューサー。
彼のInstagramをフォローしているフォロワーは160万人に上ります。
「世界規模で注目されるプロデューサーの一人」と言えるでしょう。
客演では
YG、Tyga、Kid Ink、T.i.などの名だたる大物ラッパーばかりです。
そして最後にWheezy & Turbo
今後のアトランタサウスヒップホップを兼任していくだろうと言われている若きカリスマです。
GUNNA、LIL BABYなど今を時めくTRAP MUSICを作り出すスターをプロデュースしています。
上記ビッグプロデューサーと制作したEP「Lift off」はApple music独占配信です。
以下、URLから視聴可能。聴いてない方はコチラから是非聴いてみてください。
6. 横浜アリーナ無観客LIVEについて
2019年6月。
6大Zeppツアー「Cold in Summer」最終公演の東京では、
LIVE後半にT-pablowが横浜アリーナでのLIVEを満を持して発表します。
「米LAでのビッグプロデューサーとの楽曲制作」、「川崎駅でのゲリラライブ」、その様子をSNSで投稿して話題づくりを行うなど万全なブランディングをおこなってきました。
しかし、そんな中での新型コロナウイルスの感染拡大…。
世間的には次々にイベントが中止となってきました。
ついにアリーナ公演「BADHOP WORLD 2020」の開催も政府要請の元、自主規制の流れに。
仕方ないとは分かっていながらも、やはりショックを受ける人は多かったと思います。
これは本当に悲しかった…。
7. 無観客LIVEの発表【一億円の負債】
世間では新型コロナウイルスの影響で次々とイベントが中止されていく中…。
「BADHOPはどう出るだろうか」
そんな心配の最中、”LIVE中止の告知”がBADHOPの公式SNSに😢
でも中止の代わりに無観客LIVEをYoutubeで無料生配信するという噂が流れ…。
賛否両論ある中、遂にはBADHOPは無観客ではあるものの、
横浜アリーナでの「BADHOP WORLD 2020」LIVEを開催することを決定しました!!
しかし単純にLIVEキャンセルではなく、本番同様に開催することになると、アリーナの設備からステージングなど本番同様にお金を掛けなければなりません。
チケットも払い戻しするため、収益をあげることができず赤字になります。
その結果BADHOPは「1億円以上の負債」を抱えることになってしまいました。
しかしBADHOPは「お金ではない」
世間がこんなことになっている今だからこそ、「自分たちにしかできないことがある」とLIVE決行を決意してくれました。
本番同様のセットと音響やLED、爆発的な熱量のラップで感動を届けてくれたBADHOP。
無観客LIVEは大成功。
視聴者数は3万人以上、Youtube急上昇ランキングでも堂々の一位を記録しました。
LIVEで特に印象的だったのがLIVE中盤Yzzerが言っていた言葉が印象的でした。
「HIPHOPを日本で本気で流行らせたい」
「その情熱は誰にも負けない」
「本気で成し遂げたいことがあるから毎日情熱を持って生きられる」
シンプルな言葉ながらゼロから成り上がってきた彼らだからこそ言葉に重みを感じます。
自分も頑張らなければいけないと本気で思わせてくれた一言です。
8. これからのBADHOP
LIVE後半にサードアルバムの発売が発表され、クラウドファウンディングを行っていることを告知していました。
今回のことで1億円の負債を抱えたBADHOPですが、
また良い音楽を作って一億円なんて簡単に回収できるだろうなと思っています。
今回の無観客LIVEに心を打たれたのはHIPHOPファンだけではなく、実業家や著名人の方も沢山いました。
あの堀江貴文さんもTwitterでBADHOPのクラウドファウンディングに投資をしたとのツイートを。
そして一緒に写っているのはShowroom株式会社の前田裕二さん。
Tweetではコロナ損出補填として、こんな時にエンタメの力を精一杯発揮する能動的な彼らを絶賛していました。
BADHOPの知名度が爆発的に上がったこともそうですが、
HIPHOPが時事ネタや影響力のある人を動かしていることが素晴らしいですね。
日本のHIPHOPの影響力も今後もっともっと大きくなると感じさせてくれた一幕でした。
そのキッカケを作り出してくれたBADHOP。更なる飛躍を期待します。
それでは、最後まで読んでくれてありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?