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高校部活動サポートの実際_会計年度任用職員制度とJSPOATの役割

皆様、こんにちは。

アスレティックトレーナーの柳谷です。

noteを書くのは久しぶりでかれこれ1年以上書いておりませんでした・・・

2022年になり令和も4年になりました。月日が流れるのは早いものです。


現在、私はアスレティックトレーナーとして、世田谷区にあるつかもと整形外科醫院(https://www.tsukamoto-seikei.com)でコメディカルスタッフとして勤務しつつ、整形外科の派遣でなでしこ1部リーグ所属チームのアカデミーのサポートと、整形外科の休日を利用して都立高校サッカー部をサポートしています。

都立高校サッカー部は町田市にある高校と八王子市にある高校の2校サポートさせていただいております。サポート内容は、競技パフォーマンス向上や傷害予防、コンディション管理といったフィジカルコーチ業務と、怪我人に対するアスレティックリハビリテーションや傷害発生時の応急処置などのメディカル業務の両方を担っております。


今回は、
表題にもあります「高校部活動サポートの実際」ということで
現在、サポートしている高校部活動における取り組みを以前にまとめました会計年度任用職員のお話も含めて綴っていきたいと思います。

過去のブログはこちら↓

(過去ブログと一部重複する部分がありますがご了承ください!)

会計年度任用職員制度とは、
地方公務員法第22条の2の規定に基づき任用される非常勤職員です。 これまでの臨時的任用職員や非常勤の特別職員と比べて、休暇、福利厚生、手当等の拡充がされますが、その一方で、服務規律(守秘義務や職務に専念する義務等)が適用され、かつ、懲戒処分等の対象にもなります。


2017年、地方公務員法と地方自治法が改定され、2020年4月から自治体の非正規職員に「会計年度任用職員」が導入されることになりました。導入されて約2年が経過しようとしています。

この法改定は、地方公務員制度の大転換とも言われています。


✔︎そもそも公務員とは?

国や地方自治体に勤務し、社会の土台作りを仕事とする人を公務員と呼ぶ。職種は、各省庁の職員、裁判官や自衛官、教員、消防士、警察官など様々です。

その総数は、約333万人(2021年度)

内訳は以下の通りです。

✔︎国家公務員:約58.8万人(17.7%)
  →一般職:約29.0万人(49.3%)
   特別職:約29.8万人(50.7%)
 
✔︎地方公務員:約274.3万人(82.3%)

出典:https://www.jinji.go.jp/pamfu/R3profeel_files/03_kazu_to_syurui_342KB.PDF

○国家公務員

国民の幸福を目的とし、国の運営に関わる仕事に従事する人のことを言います。

特別職と一般職に分かれており、一般職はさらに、総合職、一般職、専門職に分かれています。


○地方公務員

各自治体の職員や教員、警察官などが地方公務員にあたります。

国家公務員が国全体を統括する公務員であるのに対し、地方公務員は各都道府県や市区町村の運営従事する人のことを言います。


○公務員と民間企業との違い

公務員は営利を目的とせず、国や地域全体のために働くことが使命となっています。民間企業は、逆にサービスやモノの提供によって利益を得ることを目的とし、会社や顧客、株主などの利益のために経営活動をします。


✔︎日本における公務員比率と公務員給与比率

下記の図1は、労働力人口に占める公務員の割合を横軸にとり、縦軸にGDPに占める公務員給与の比率をとった上で、その縦軸・横軸のもと、OECD各国の相対的な位置関係を示したものです。

ここで重要なことは、日本の労働力人口に占める公務員比率は、他国と比べて低いということです。また、GDPに占める公務員給与の比率を見ても、その比率はやはり低くなっており、日本は他の国々に比べ特殊な状況にあります。

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図1:OECD諸国の公務員給与水準

出典:Honkawa Data Tribune https://honkawa2.sakura.ne.jp/5193a.html

これに加えて、図2を見ると・・・

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図2:OECD National Accounts Statistics (database);Eurostat Government Finance Statistics (database).Data for the other major economies and Russia are from the IMF Economic Outlook(April 2015).

出典:OECD(2015) Government at a Glance 2015. Organization for Economic

図2は、OECD各国のGDP対する負債の水準を示したものです。見てわかるように、日本はGDPに対して負債の水準は突出しています。

簡潔に述べると、日本の公務員は、給与水準も低く、かつ、担うべき人材が不足していると言えます。


✔︎地方公務員法・地方自治法改定の背景

①増え続ける自治体非正規職員

ちょっと古い資料ではありますが、

自治体職員は、1994年の328万人をピークとして、定員「適正化」やアウトソーシングなどにより、23年連続で減り続けています。さらに市町村合併による組織機構再編でも削減が進んでいます。

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出典:

地方公共団体の総職員数の推移

https://www.soumu.go.jp/main_content/000422966.pdf


2006年から2016年までに、自治体正規職員は約26万人減少し274万人となっていますが、非正規職員は約21万人増え64万人となりました。正規職員が非正規職員に置き換えられている実態があります。

自治体の非正規職員は、一般事務から保育、給食調理、図書館職員、看護師・看護補助、学童保育、ケースワーカー、消費生活相談など職種に広がり、本格的・恒常的業務を担っています。ここに部活動指導員も含まれています。

この非正規職員は、以前から正規職員との差別化が問題視されていました。

①給料は正規の3分の1〜半分
②任用期間は半年〜1年で繰り返し任用される形式
③昇給なし。もちろんボーナスもなし
④通勤手当など各種手当も不十分
⑤年休や各種休暇も不十分

②公務の担い手

自治体の業務は恒常的で専門性が要求され、臨時的で「非」常勤的な職員が担うことを想定していませんでした。

しかし、全国の自治体で行政コスト削減のため非正規化が進み、任用根拠も更新方法(雇い止め期間など)も、まちまちとなっている実態が生まれました。

今回の法改定は、「任用の定めのない常勤職員を中心とする公務運営」の原則が崩されている実態を追認し、固定化するものでもあります。

ここには、非正規化を進めてきた政府や地方自治体の責任には、一切触れられていません。それどころか、住民のくらいに密着した仕事のほとんどを、非正規職員に担わせることを正当化するものとなっています。


③地方公務員法、地方自治法「改定」の概要

正規職員が年々減少し、非正規職員が増加する傾向にある中で、かつ給与水準も低い状況の中、公共サービスは誰によって担われてきたかといえば、それは正規職員に加えて多くの低賃金の非正規公務員であり、今もなお現状はそのままといったところでしょうか。

そこで導入されたものが、この会計年度任用職員制度になります。

最初にも述べましたが、

会計年度任用職員制度とは、
地方公務員法第22条の2の規定に基づき任用される非常勤職員です。 これまでの臨時的任用職員や非常勤の特別職員と比べて、休暇、福利厚生、手当等の拡充がされますが、その一方で、服務規律(守秘義務や職務に専念する義務等)が適用され、かつ、懲戒処分等の対象にもなります。(下記、参考資料)

今までとの違いがわかる表が下記になります。

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この制度は、説明がある通り、公務員になります。

公務員ということは、学校教育機関も含まれますので部活動指導員もこの制度を適応できます。

もちろん、今までも部活動指導員制度は存在していました。

それが下記になります。

①2010年:外部指導者制度

これは外部指導員制度ができる前の制度になります。

スポーツに力を入れ始めた時期、2010年スポーツ立国戦略が策定され、その中にある「ライフステージに応じたスポーツ機会の創造」において、”すべての人々のスポーツ機会の確保、安全・公正にスポーツを行うことができる環境の整備”に対する人材不足を補うということで、作られた制度です。

平成22年といえば、2016年夏期オリンピックに東京都が立候補し、2009年10月にコペンハーゲンにて最終プレゼンテーションを実施していた時期です。結果はご存知の通り、2016年はブラジルのリオデジャネイロに決まり、東京は2020年へと移行していきました。(翌年の平成22年に新たな招致委員会が発足)

ここから日本におけるスポーツのあり方が変化してきたと言えます。

②平成29年:部活動指導員の制度化

外部指導者の次の制度で、ようやく制度らしい制度ができたと言えるものになります。

平成29年なので西暦2017年です。

日本人の過重労働、時間外労働が問題視され始めた頃で、働き方改革が叫ばれていたのが記憶に新しいかと思います。

部活動も例外ではなく、活動時間が問題視されていました。約5年前のことですね。

学校教育施行規則の一部が改定され、新たに制度化された学校職員となります。

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こちらの制度ができてから、部活動指導員が担える業務が格段に増えたことが大きいと思います。

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こちらにもっと細かく記されたサイトがありますのでご参考にしてください。


上記に示した資料の中に、いろいろな実態調査をまとめたデータがありましたので、一部紹介したいと思います。

ただ、平成28年のデータになるのでちょっと古いデータになることはご了承ください。


⑴生徒の運動部活動等への参加状況

このデータを見ると

✔︎中学・高校ともに参加率は横ばい
✔︎中学2年女子の4割弱がどこにも所属していない
​✔︎運動部等に所属していない人が求める条件としては、「嗜好・興味」「マイペース」
「適度な練習日数・時間」が挙げられている

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自分の嗜好・興味のある部活動やクラブ活動がなければ所属なしになりますし、現代において学校の部活動やクラブ活動に囚われない嗜好・趣味というものが日本においても幅広く手掛けられているのを見ると所属なしが増えていても不思議ではないかなと思います。

⑵部活動の活動状況と教論の部活動に関わる勤務状況

○部活動の活動状況

下記のデータは中学校部活動の活動状況を示しています。

左側の棒グラフと表は、男女別の曜日ごとの活動時間を

右側の円グラフは、休養日についてそれぞれ示しています。


データを詳しく見てみると・・・

✔︎中学校の1週間の活動時間は、平日で2時間程度、休日で3時間程度。
✔︎1週間に休養日を設けていない中学校の割合は22.4%。
 また、1ヶ月間に土日に休養日を設けていない中学校の割合は42.6%

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現在では部活動におけるガイドラインが策定されており、そのガイドラインでは、週2日以上(平日、休日1日ずつ)の休養日を設けるよう推奨されていますが、いわゆる強豪と言われる学校では休養日のない部活動がいまだに存在しています。

参考資料 出典:文化庁(平成30年12月) スポーツ庁(平成30年3月)

参考資料 出典:東京都教育委員会(令和元年7月)


○教論の部活動に関わる勤務状況

次のデータは、中学校教論の部活動に関わる勤務状況を示しています。

左側は、顧問の配置状況と部活動種類別週1日あたりの部活動勤務時間を

右側は、部活動勤務日数別週1日あたりの勤務時間をそれぞれ示しています。

2つのデータを詳しく見てみると・・・

​✔︎学校業務や授業、部活動・クラブ活動など全体的に勤務時間が増加している。
✔︎その中でも休日の部活動・クラブ活動に関わる時間が、約2倍になっている。​
✔︎​生徒指導における時間が減少傾向にある。

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✔教員全員が部活動の顧問に当たることを原則としている学校の割合が87.5%
✔︎1週間における学内勤務時間は、部活動の活動日数が多いほど長い

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また、こちらのデータも併せてご覧ください。

○運動部活動を担当する教員の競技経験

下記の円グラフでは、4つのカテゴリーに分類されており、

①体育×経験あり(担当教科が保健体育かつ現在の担当部活動の競技経験あり)
②体育×経験なし(担当教科が保健体育かつ現在の担当部活動の競技経験なし)
③体育以外×経験あり(担当教科が保健体育でないかつ現在の担当部活動の競技経験あり)
④体育以外×経験なし(担当教科が保健体育でないかつ現在の担当部活動の競技経験なし)

それぞれのカテゴリーの割合を示しています。

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✔︎担当教科が保健体育ではなく、かつ、担当部活動の競技の経験がない教員の割合は、
 中学校で45.9%、高等学校で40.9%


中学校のデータではありますが、教員全員が顧問に当たることを原則にしている学校がここまで多いことに驚きました。

部活動の顧問も引き受け、土日も試合を引率し、帰るのが遅くなる・・・そして、その担当する部活動の競技経験がないとなれば・・・

そうなると、授業準備や生徒指導など時間が削られるのも無理はありません。


次のデータは、「運動部活動のおける外部人材の活用状況」です。

下記、データをご覧ください

○運動部活動における外部人材の活用状況

こちらのデータでは、上半分の折れ線グラフは男女別生徒数と男女別運動部数を、下半分の棒グラフは外部指導者数をそれぞれ示しています。

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✔︎平成27年度に運動部活動の外部指導者を活用した中学校の割合は約74%
(出典:スポーツ庁「平成28年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」)
✔︎運動部の数に占める外部指導者の割合は、中学校で約25%、高等学校で約11%

全体的に見たら、74%(中学校)と多いように見えますが、逆に見ると26%の中学校では外部指導者がいない現状を示しています。

また、外部指導者数に目を向けると、平成22年からほぼ横ばいで推移しており、平成25年から共通という項目が新たに登場していることを考えると外部指導者数は減少している可能性もあります。

高等学校に至っては、平成25年から外部指導者数がカウントされており、それ以前までは外部指導者がいなかったのかは定かではありませんが、中学校よりも少ない現状があります。


また、いろいろと調べていたら、学校運動部活動指導者の実態に関する調査という日本スポーツ協会の資料がありましたので載せていきます。

この調査は、学校運動部活動を取り巻く環境が大きく変化していることから、最新の状況を把握するとともに、前回調査(平成26年)との比較などを行うことによって、日本スポーツ協会や関連団体等における学校運動部活動や指導者を支援する各種取組みの充実につなげることを目的としています。

この調査結果から一部抜粋してご紹介したいと思います。


○運動部活動における部活動指導員・外部指導者の活用状況

下記のデータは、運動部活動における部活動指導員・外部指導者の活用状況を中学校・高等学校を分けて示しています。

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図13・14では、依頼経験の有無・依頼するにあたり課題になったこと・依頼するにあたり求めたことをそれぞれ示しています。

依頼経験では、中学校79.2%、高等学校76.6%とそこそこ高い水準となっているかなと思います。

ただ、一方で、20〜25%の中学・高等学校で依頼したことがないという結果になっているのを見ると、マイナー競技や部員の数が少ない部活動などは外部指導員を依頼する必要がない可能性もひめている。

依頼にあたり課題になったこととしては、

顧問や生徒とのコミュニケーションがうまくとれていないことが多く、高等学校では謝金の準備に課題を感じているようです。依頼するにあたり求めたことでも、コミュニケーションが第一にあがりますが、スポーツ指導の経験も顧問の先生方は求めているようです。最終的には、謝金も大きな課題となっており、お金の問題は過去も今も、そしてこれからも課題になりそうです。

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図15〜17については、現在の部活動指導員・外部指導者の関わり・依頼意向・部活動指導員・外部指導者におけるスポーツ指導に関する資格保有率をそれぞれ示しております。

図15では、現在の担当している運動部活動に関わっている部活動指導員・外部指導者の有無を示しています。先ほどのデータとは異なり、7〜9割の中学・高等学校で依頼していない現状があります。この要因ははっきりしていませんが、部活動指導員・外部指導者について知らない先生も少なくないのかなと感じています。また、先ほど示した課題も依頼に至っていない要因かなと感じます。

また、図16では依頼意向と過去の依頼経験が示されており、約25%前後が依頼したいと考え、過去の依頼経験では約40%前後ですが、高等学校では55%を超えております。ただ、過去の依頼経験があるにも関わらず、依頼したいと考えているのが約25%前後ということは、満足いくサポートがされなかった可能性もあります。そのため、どちらともいえない群が約40%前後となっています。

図17を見ると、約半数がスポーツ指導に関する資格を保有していることがわかります。逆にいうと、スポーツ指導に関する資格がなくても部活動指導員・外部指導者を担えていることを考えると幅広く人材を求めているのかなと考えられます。


実際の私の経験の話をすると、

最初は部活動の保護者会費から報酬をいただく形でサポートしていましたが、この精度が始まってから、外部指導員の登録をさせたもらい、東京都の補助金で足りない分を保護者会費でまかなう形で報酬をいただいていました。(下記参考資料:委嘱状)

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この外部指導員制度が整ってからはかなり改善されましたが、現状はまだまだ待遇は良くありませんでした。補助金も雀の涙程度でしたし、年間通すとほとんどもらえないような金額でした。そうなると、負担になるのは保護者の皆様になります。理解のある部活動でしたらまだそれでもなんとかサポートできますが、理解を得られないところですと、それだけでサポートがうまくいかないケースも多々あります。

また、外部指導員は、部活動単位の指導員となります。

"〇〇高校に配属"ではなく、"〇〇高校サッカー部に配属"となり、早稲田実業高校や國學院久我山高校などの学校にアスレティックトレーナーを配置してトレーナールームを学校に作り、学校の部活動全体をサポートするいわゆる"スクールトレーナー"とは形態が異なってきます。

(ただし、審査の段階で任用となるかはまた別の話になります・・・)


✔︎会計年度任用職員_高校部活動サポートの実際

さて、今までは、会計年度任用職員に軽く触れながら、過去の制度についてお話してきました。

ここからは、会計年度任用職員について、実際のお話も含めながら話していきたいと思います。

先にも、軽く触れていますが、

令和2年度から新たに策定された制度がこの「会計年度任用職員」というものになります。

改めて説明させていただくと、

こちらの制度は、令和2年4月から地方公務員法及び地方自治法の改正により、地方公務員の常勤職員、臨時・非常勤職員及び任期付職員に関わる制度になります。学校職員も公務員になりますし、もちろん、部活動指導員も公務員になります。今までは、公務員ではありませんでした。公務員なので、総務省の管轄になります。学校などの教育関係は文科省が管轄なのでちょっと複雑になるのですが、学校だけではなく、国や地方自治体で働く非正規公務員の待遇を改善していくことを目的とし、公務を担う人材の確保を広げるための制度となっています。

この会計年度任用職員になると、公務員と同じ扱いになります。当然、公務員法を遵守しなければいけません。ただ、正職員とは違い、兼業が認められています。(下記、参考資料)

部活動指導員の主な業務内容ですが、

✔︎実技指導
✔︎安全・障害予防に関する知識・技能の指導
✔︎用具・施設の点検・管理
✔︎学校外での活動の引率(大会・練習試合など)
✔︎保護者への連絡
✔︎年間・月間指導計画の作成
✔︎生徒指導に係る対応
✔︎事故が発生した場合の現場対応
✔︎その他、部活動指導に関し、校長又は教育委員会が必要と認める事項
など​

このようになっています。(あくまでも参考資料として)

学校によって若干の違いはありますが、おおよそ上記のような内容になるかと思います。

では、具体的に会計年度任用職員による部活動指導員がどのように変わるのかというと業務的にはそこまで大きな変化はありません。

変わったことをこちらにまとめます。

✔︎地方公務員法が適用される
✔︎任用の都度、原則1ヶ月間は条件付採用となる
✔︎一定の要件を満たすと期末手当(ボーナス)が支給される
✔︎募集方法は原則公募となる

今までよりも、待遇面ではかなり改善されたなという印象でした。


顧問との話し合いでどこまで受け持つのか、どこまで介入してどこからがコーチや顧問の業務なのかを決めておくことが非常に重要だと思います。

また、部活動指導員の制度の時から、研修が組み込まれており、会計年度任用職員でも同様で、年2回研修が組み込まれています。基本的には任用された学校での研修になります。(任用されている学校が複数ある場合、任用されている時間が長い方で研修を行うとしています。)

内容は、この制度のポイントから学校教育機関における部活動の位置付け、ハラスメント関係と幅広く、その具体的事例を交えて研修が行われいます。

以下に参考資料をあげさせていただきます。

最近は、新型コロナウイルスの関係で、感染症対策の話も研修に組み込まれており、以前よりもハラスメント関係の研修が多くなった印象です。基本的には、教育とは何かということを部活動の立ち位置とその存在意義を合わせながら細かく話をしています。

募集方法が基本的には公募となりますので、「会計年度任用職員」「中学校 or 高校」と検索をかけると全国様々な自治体で募集が行われいるのがわかります。また、部活動に絞りたいという方は、上記に加えて「部活動」と検索ワードを入れていただくと、より絞れてくるかなと思います。

僕が今、調べたものを一部ご紹介したいと思います。

(募集が終わっているものも含まれます。)

※こちらは募集が終了しています。

※申込期間が随時となっておりますので、まだ枠が空いていれば応募が可能かと思います。

※こちらも定員になり次第、募集を終了とのことですので、枠が空いていれば応募が可能かと思います。

https://www.city.fukutsu.lg.jp/material/files/group/12/R4_bukatudoshidoin.pdf

※こちらは募集が終了しています。

https://www.city.sapporo.jp/kyoiku/top/information/documents/r4bosyuyoko-bukatudo.pdf

※こちらも募集が終了しています。

といった感じで各都道府県の各自治体の教育委員会から募集が出されています。この会計年度任用職員は部活動指導員だけではないので、細かく見ていく必要がありますが、今でも募集しているところはあるので、教育現場で働きたい、部活動に関わってトレーナーあるいはコーチとして指導していきたいと思っている方々にとっては職域を広げるチャンスだと思います。

ただ、給料面はというと、各自治体によって差が激しく、東京では時給¥2,500となっているところが地方によっては¥1,000にも満たないこともあるので、そこを天秤にかけて応募するかどうか・・・

私のように顧問が知り合いで直接交渉ができるのであれば、足りない分を保護者会費でまかなってもらうことは可能だと思いますが、教育委員会から応募するとその交渉の余地がなくなる可能性もあるので注意が必要かもしれません。


✔︎実際のアスレティックトレーナーとしてのサポート内容

ここからは私自身の経験も踏まえたサポート内容をお伝えいたします。

主な業務内容は下記の通りです。

✔︎フィジカルトレーニング指導
✔︎アスレティックリハビリテーション指導
✔︎コンディショニング指導・セルフコンディショニング指導
✔︎選手の健康管理(感染症対策含む)
✔︎緊急時の救急対応および医療機関の手配
✔︎ドクターバック・救急バックの備品管理
✔︎教育的指導
✔︎試合帯同・引率
 →テーピングサポート
  ウォーミングアップサポート
  ベンチメンバーのウォーミングアップサポート
  緊急時の救急対応および医療機関の手配
  クールダウンサポート
など​

そして私は会計年度任用職員制度を利用させてもらっています。

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こちらは令和2年度のものになります。

時間給が¥2,300ですので、単純に勤務時間をかけると・・・

これだけの報酬が東京都から補助金として配属した高校に入ることになります。

ただ、注意が必要なのは

①勤務した日数・時間で補助金が入る

②所得が引かれる

の2点かなと思います。

任用されて、最初に大きな報酬が高校の方に入るのではなく、任用職員の出席を毎月毎月提出してそれをもとに計算されます。つまり、勤務時間が余れば余るほど補助金が入らないということになります。

また、所得が引かれますので「給与所得」となります。フリーランスで自分で確定申告をしている方は、この辺は要注意かなと思います。給与所得ですと、青色申告ができないので。この辺りも色々と確認をしたところ、個人では給与所得になるとの回答を得られ、個人ではなく企業や団体との契約になると所得はひかずに報酬を支払うことはできるとのことでした。起業して法人や株式会社を営んでいるフリーランスの方々はこの辺りはクリアできるのかなと個人的には思いました。


現在、私がサポートしているチームは2チームあります。

報酬の話を続けると、1つは日給¥9,000、もう1つは日給¥12,000の報酬をいただいています。これは、この制度ができる前からサポートしており、現場としてもトレーナーに対しての理解が深く、この金額でも安いと言ってもらえている関係だからです。

平日1日と休日という形でサポートしており、現在は平日も休日も同じ報酬額でやらせてもらっています。本来、平日と休日では業務内容や拘束時間が異なるので報酬額を変えたいところではあるのですが、現状はこのままの報酬でサポートしています。

その理由は、相手との関係性、部活動の財政面などが挙げられます。

どこかのタイミングで交渉はしていきたいなと思っていますが、現状はこのようになっています。

支払いは、まず東京都からの補助金をメインで私への報酬を支払ってもらい、そこから足りない分を保護者会費から賄ってもらうようになっています。

保護者の理解があればすごくサポートしやすくなりますので、保護者の方々とのコミュニケーションは積極的に行うことをお勧めします。


✔︎今後の展開とアスレティックトレーナーとしてできること

さて、ここまで制度が策定されるまでの歴史や制度の概要を記してきました。

こういう行政の取り組みって意外と知らないことが多くて、調べてないと情報が入ってこないことがほとんどだと思います。意外に、学校の先生も知らないことも多々あります。

こういう制度があること、理解して説明できることで学校の先生の助けになりますし、こういうサポートができます、報酬はこのようにしましょう、というように提案ができます。

目的はビジネスとして成立させ、お互いがwin-winの関係になり、選手(生徒)がスポーツに取り組みやすい環境を提供していくことが我々の業務だと思っています。

あらゆるサポート方法で、教育現場に落とし込んでいければ職域が広がっていくかなと思っています。

また、現在、部活動を取り巻く環境が変化しており、地域への移行が議論されています。

https://www.mext.go.jp/sports/content/20200902-spt_sseisaku01-000009706_3.pdf

出典:学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について(文部科学省)

出典:ReseEd 教育業界ニュース

現在では、一部の中学校で試験的に実施されており、段階的に地域への移行を目指しているそうです。

来年度に2023年度から休日の部活動を地域へ移行しようとする動きがあります。

この取り組みは上記にあるように働き方改革の一貫であり、教職員の過重労働問題が根っこに潜んでいます。私は、肯定も否定もしませんが、どちらにせよスポーツに取り組みたい生徒たちが損をしない環境を整備してもらえたらと切に願っています。

新型コロナウイルスが流行して2年が経過し3年目になろうかというところで、まだまだ終息の兆しがありません。新型コロナウイルスによる様々な学校行事の制限、並びに部活動の制限など子どもたちが犠牲になっていることを私は間近で見てきました。

せめてこれからは教職員も生徒も部活動に関わる人全員が納得するような制度を環境を作ってもらえたらなと思っています。

そして、我々アスレティックトレーナーがもっと社会に認知され、現在教職員が担っている業務を我々が担うことができれば、教職員の働き方改革の手助けができるとともにアスレティックトレーナーの職域拡大にもつながると考えています。

トレーニングマッチや公式戦、合宿・遠征(合宿・遠征はここ2年実施していませんが・・・)で様々な学校の先生とお会いしますが、私のような外部からコーチを雇ったりトレーナーを入れたりということができていない学校がまだまだたくさんあります。

1つ1つ環境を良くしていくためにも、これからも教育現場に顔を出し活動していきたいと思っています。


〜最後に〜

今回は私のサポート経験をもとに「会計年度任用職員」制度について、歴史から書かせていただきました。

まだまだ課題は山積みで制度としても2年が経過したに過ぎません。今後も制度が変わっていくことが予想されますが、その時に何か1つでも意見が言えれば制度も環境も変わってくるかなと思っています。


そして、今回のこのnoteは当初有料で出そうかと思っていましたが、やめました。

様々な人の目に届いて欲しいと思ったからです。

ただ"お気持ちチケット"として値段をつけさせていただきます。

"参考になった"

"自分も行動してみる"

"勉強になった"

"こんな制度があったのか"など

少しでもそんな思いになりましたら是非ご購入をお願いいたします!!

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