戦国時代の自動操縦【note毎週ショートショート】
朝焼けが街を焼き尽くす炎のようにかつては新宿だった廃墟を照らしていく。オゾン層が壊滅した地球の表面は暑い。ジリジリと焼けるような日光はヒト型兵器・アマテラスの表面に強い紫外線を当てる。
某国の売り込みとして、新宿を壊滅させるためにアマテラスがやって来たのは昨日だった。
今の戦争は博覧会だ。
新しい武器ができました。
このくらい虐殺できます。
壊滅できます。
おいくら出しますか?
その値段が死んでいった人の命の値段であり、アマテラスの値段だった。
その値段は紙切れであり、数字だった。
アマテラスはその端正な顔立ちで女性の体を持ちながら、ひと都市を一日で壊滅できる力を持つが、持ち主に従順にただ従うだけもできる。何体もの同じ機体が売れていくのを見た。
力を持つものを従えるのは自分が力を得たような錯覚を持つのかも知れない。
「アマテラス、売れたぞ」
その一言が、アマテラスの核に響く。
「………………」
アマテラスは暁の新宿を見る。
紫外線と宇宙からの有害線が肌を焼く。
ジジ…………と脳が焼ききれる音がした。
(455文字)
お題をお借りしました。
【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!11/12|たらはかに(田原にか) @tarahakani #note https://note.com/tarahakani/n/nd3c6d31cb49c
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