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科捜研の女

科捜研の女―劇場版― を昨日、観てきた。パンフレットも購入した。公開初日の映画を観るのは初めてだった。

1999年の放送開始時は、まだ小学生。ドラマを見る習慣もなく、仮に見ていたとしても、内容は理解できなかった頃である。

本格的に見始めたのは、内藤剛志さんが土門さんとして出演された Season5(新・科捜研の女1 2004年)ぐらいからだと思う。

それ以前のシリーズも、全部一度は再放送等で見ている。マリコさんがゴミ袋に顔を突っ込んでいる奇行?から始まる第一話から、内藤さんが別役(プロファイラーの武藤さん)でお出になっていた頃も、今は宇佐見さんである風間トオルさんが犯人としてゲスト出演された回も全て。

早逝された泉政行さんや、深浦加奈子さんの最後のご出演回も印象に残っている。ずっと物理担当は乾くん(泉政行さん)だったので、相馬くん(長田成哉さん)に変わった当初の違和感は強かった(長田さんご本人がどうこうではありません。念のため)。


ガチガチの文系で、物理も化学も願い下げな人間でも、「科学捜査で分かること」が分かりやすく展開されていて、面白い。おかげでDNA鑑定やALSライトの照射で何が分かるのか、指紋や足跡痕の採取方法、防犯カメラ映像の拡大鮮明化など、知識の増量と見分の拡大に、一役も二役も買っている。さりとて、実生活に役立つ必要はない。近年のシリーズでは、各々の鑑定中に何をしているのかが表示されるが(e.g. 付着物成分分析、成傷器形状鑑定)、それがなくともマリコさんや宇佐見さんの鑑定が何なのか分かるようになってきた。それが楽しいのである。

有難いことに繰り返される再放送が多いので「また見てる」と笑われても、何回でも観る。サブタイトルを見るだけで、どんな内容で誰が犯人なのか分かるものが大半なのだが、それでも大概観ている。

「科捜研の女」が凄いと思うのは、250話以上ある中で観終わった後に後味の悪い思いをする回がほとんどないところだ。もちろん、観る人によって好みも分かれるだろうし、後味の悪い思いをする人もいるだろう。だが、残忍な手口で殺害されても、犯人がどれほどサイコパスな(話が通じない)人物でも、重い気分にはならない。ただ一つの例外は、Season13 科捜研の女 スペシャル(本放送:2013年12月25日)だと思っている。クリスマスに放送されたスペシャルということにちなんで「クルシミマス スペシャル」と銘打っているファンの方がいたが、言い得て妙だと思った。

どもマリで(科学捜査で)冤罪を作ってしまったことにより、監察官聴取を受けるだけでなく、マリコパパ(榊一郎:小野武彦さん)が科捜研の鑑定を精査するという展開になる。捜査から外されるマリコさんは、取調室に軟禁状態で辞職願まで書かされて。最終的に、土門さんとマリコさんの暴走の責任を取って佐久間刑事部長(田中健さん)が辞任するが、事件そのものと言い、展開の仕方と言い、気が滅入る内容だった。今でも観たくはなるが、気合を入れないと観られない話である。


「科捜研の女」の代名詞は、言うまでもなくどもマリである。私は、土門さんとマリコさんの屋上デートが大好きな、いわゆる”どもマリクラスタ”の一人だと自認している。列車に轢かれて生死の境を彷徨った土門さんが意識を取り戻した際「事件はどうなった?榊、どうせそこにいるんだろ?」とマリコさんが病室にいることを当然だと思っている土門さんの『どうせ』にやられ、警察学校から京都府警に戻ってきた直後の土門さんとマリコさんのアイコンタクトに安心した一人である。他に、フレンチのコース料理を前にして「これ、被害者の胃の内容物にあったわ」と平然と言うマリコさんも、それを聞いて「おい」と眉を顰めて窘める土門さんも大好きである。

基本的に”どもマリクラスタ”な私だが、それ以上に宇佐見さんが好きである。初対面で一目惚れした奏乃さん(奥田恵梨華さん)並みに、初登場時から宇佐見さんが好きだ(そもそも、風間トオルさんが好き)。

元航空科研の研究員で、科学者として優秀というだけでなく、山岳部出身(山登りに慣れており植物に詳しい)、お茶に造詣が深い(”優しいお茶を淹れられる”)孝行息子(京都に転職した理由)など、人としての魅力が溢れている。マリコさんの無茶ぶりに時に呆気にとられつつも、その意図を的確に理解し伴走できる、マリコさんに最も近い(似ている)常識的な人だと思っている。資格を持たないのに解剖してくれと頼まれた時も、「大丈夫です。マリコさんの仮説なら、間違いありませんから」と断言するし(その前に、わざと血を吐いた犯人さんにハンカチを手渡し、手首に触れて脈を取り、おでこを当てて犯人さんの熱を測った時点で悶絶した)、事件性なしの判断にもかかわらず鑑定を一人続けるマリコさんのもとに戻って「この手の鑑定には、私がいた方が良いはずです」と一緒に仕事をしていた(この長すぎる一文は良くない)。もっと言えば、Season13 科捜研の女 スペシャルで鑑定を禁じられたマリコさんへお茶を差し入れる際、茶道具の下にタブレットを隠し持って捜査情報を共有するほど、頭のキレる人である。さらに、その意図に気付いたマリコさんからの「できるだけ早く返したい」という伝言が意味する点も、瞬時に理解できる人なのだ。

欠点は、自分を好いてくれている人の心が分からず、結果的にその気なく振ってしまうことぐらいだろう。結果的に奏乃さんを振った時は、観ている方が憤慨した。早月先生(風丘早月:若村麻由美さん)との恋仲を望む声もあるようだが、そういう関係では科捜研の世界観が成立しなくなる気がする(とてもお似合いな二人だと思うが)。

宇佐見さんが科捜研に着任してから10年(2011年初回スペシャルより)。異動や転職による新たなメンバーとなることで続いてきた面もある、科捜研。だが、宇佐見さんにはずっといてほしい。着任前のシリーズも観ているために、仮に出演されなくなっても変わらず観る。でも、宇佐見さん、風間トオルさんは辞めないでと祈りながら観ているのである(土門さんはマリコさんと心中だと思っているため、心配していない)。


現実の科学捜査よりも一歩(半歩)進んだ世界が描かれているらしい「科捜研の女」。実際の警察にも最新機器が導入されたり、科捜研に女性研究員が増えたり、その影響力は決して小さくない(防犯カメラやナンバー解析等、映像の拡大鮮明化だけは、現実より鮮明すぎるようだが)。ドラマというフィクションでありながら、現実とかけ離れた世界観ではない点も、観ていて飽きない理由の一つだと思う。

映画公開を記念して、先月下旬から再放送が再開された。すべて何度も観ているものばかりだが、録画してある。ハードディスクに、いくつもの「科捜研の女」が並んでいると嬉しくなる。しかも、今回はSeason毎ではなく、人気の高かった作品が順番に(ランダムに)放送されている。視聴者が選ぶBest作品投票には参加しなかったが(優柔不断な性格のため、選びきれないと思ったから)、思いがけない作品をもう一度観られて感動している(個人的には、監禁されたマリコさんが灼熱地獄から生還する回をもう二度三度観たい)。

いずれにしても、少なくとも、もう一回は科捜研の女―劇場版―を観るつもりをしている(叶うなら三回目も)。歴代のキャストの皆様も勢揃いされているので、とても懐かしい気分にもなる。土門さんの妹、美貴ちゃん(加藤貴子さん)が出演されていないのが残念だが、またお目にかかりたい。


続く限り、私は「科捜研の女」を観る。年齢を重ねるたびに美しくなるマリコさん(沢口靖子さん)は、同性から見ても綺麗な人である。


いつまでも、マリコさんでいて頂きたいと思うのは、私を含めたすべてのファンの願いだと思う。

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