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我が子、この小説
書棚から何の気なしに既読の本を取る。その本がボロボロのヨレヨレになってるのは十年以上前にえらいこと読み返していたせいだ。引っ越しのゴタつきで蔵書がシャッフルされたゆえ、この懐かしい本も出てきたという話。よくあるのかないのかはわからんが、小説のハウツー本で、ディーン・R・クーンツの例のあれである。著者自体は一流だ。
いま役立つかどうか、ということもわからない。執筆する上での基本を手取り足取り教えてくれる親切な本ではある。めくってみれば俺の中で不文律めいていたいくつもの法則と再会できる。そうだそうだ、そうだったって。多くを教わったものだ。
改めて読んでみるに、さっき手に取って最初に開いたページがどうも最も有効に思える。というよりも勇気をもらえる。以下引用。
(4)出版社を三社も四社も訪ねて、どこからも出版を断られた場合、あきらめるまでいったい何社に持ちこんだらいいでしょうか?
すべての出版社を訪ねなさい。自信作を決してあきらめてはいけない。のちに大成功を収めた作品でも、何回も出版社から断られた例は少なからずあるのだ。
最早よくある話として語られることでも、改めていわれてみると頼もしい。というのもいままさに俺がこの状況にいるからであって、これまで通算三回落ちている三百四十枚の一編をまた他へ送ろうというのであり、この一編が愛し子というのか、ならば親の欲目もあろうが、見殺しにするのがどうにも惜しい。つらい。
せめて身綺麗にさせて送り出そう、というところ、リミットは月末。
余談、昔友人だった男が、これは小説ではないが新書を一冊出したことがあり、そのときは二百社の出版社を回ったそうだ。根性で通るものだなと思い出したんで、ちょっと見習おう。
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![金井枢鳴 (カナイスウメイ)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/58309395/profile_08328adfc4035f272a9a87178ceacdba.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)