10/5 死を固定する
ふとダミアン・ハーストのことが気になってネットで検索した。
イギリスの現代美術作家であり「Natural History」という死んだ動物をホルマリン漬けにして展示するという作品で有名なアーティストである。
彼の作品をこう評する人もいるらしい。
死を固定する
死は誰にでも訪れるものであるがそれは一瞬である。死んだら人も動物も腐敗して分解され最終的には存在が無くなってしまう。それを、動物を真っ二つにして完全に死んだ状態にした上でホルマリン漬けにしてその存在をそのまま留めておく。その場に固定しておく。
初めてその表現を聞いたとき、なんとも言えない気持ちになった。そういう表現があるのかと。
芸術家、作家など作品を生み出す方々というのは独自の哲学のようなものをお持ちで、それに触れられるというのはとても良い学びになる。それが日々の仕事に活きるのか?と問われれば「決してそうではない」と思うが、自分の思考の幅を広げたり、想像力を高めるには良いチャンスになると思う。
最近、エリートは美意識が高い、つまり「エリートになりたいなら美意識を高めよう」、アートに触れよう。というような風潮があるが、ビジネス文脈でアートを語るのに違和感を覚えるのは私だけだろうか?
「ビジネス社会で勝つためにはアートが必要」なのかもしれないが、本来的にアートに何か機能的な何かがある訳ではないだろう。アートそれ自体で、腹は満たされないし(心は満たされるのか?)、道具にもならないし(燃やせば燃焼になるか?)、世の中に無くてはならないものではない。しかし、我々がアートを必要とするのは、なぜなんだろう。
少なくとも、ビジネス社会で勝つためではないような気もするが。そういう人がいてもいいかもしれない。もし仮に「私は教養があります」というアピールのためだけにアートを使うのであれば、それは何だかすごく悲しいような気持ちになる。