[応募作品]『三匹の竜と荒天の庭』:1話
私の父は村の外れで果物を育てている農夫だ。
父と言っても生物学上の父ではない。幼い頃に拾われ育ててもらっている。
果物は売り物で、毎日毎朝街の中心部の八百屋に届けている。
私はまだ街へ連れて行ってもらったことがない。父が私が街へ行くことを許さないからだ。「どうしてダメなの?」と尋ねたことがあるが、「お前は少し人と違うところがあるから」と返されるだけで取り合ってもらえない。
人と違うところ。実は、私は火を操ることができる。
何もないところから火を起こすことができるし、暖炉に火種